遺伝
「…男の趣味。」
「!!!ちがっ!!」
すずめは慌てふためく。
「あーあ、どう思うかしらね。
馬村くん。母娘二代で初恋が
獅子尾先生なんて。」
「初こっ!ええっ?!」
すずめはパニックになっているが、
ゆゆかはクックックッと
完全に面白がっている。
「似てないと思ったら
よりによってそこ?!
って感じでしょうねぇ。」
「夫婦最大の危機かしら~。」
たたみかけるように脅され、
「お願い、ゆゆかちゃん、
大輝にはこのこと言わないで!」
とすずめは半泣きで懇願する。
「さぁ?どうしようかしら。」
「そんなぁ!
あっ今日ここ奢るから!
今度マッサージしてあげる!
あとえっと…」
すずめは必死で思いつくままに
口止め条件を口にする。
「アンタ必死ね…」
「大輝はこの話題の時だけ
怖いのだよ…」
「ふーん。愛されてるわね…」
「へ?」
と言いつつ、
すずめはカァァァと赤くなる。
「ま、私には関係ないしぃ。」
「ゆゆかちゃーん!!」
思いがけぬとこが
遺伝していたおかげで、
獅子尾は1ヶ月
カフェを出禁になったという。