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感情

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「大輝?だーいき?大輝さん?」

クラス会から一夜明けて、
大輝は今までにないくらい
機嫌が悪かった。

嫌な予感が的中した、と
ブツブツ言っていた。

すずめが呼んでも返事をしない。


今日はすずめの田舎へ
三人で帰省する予定なのに、
こんな気分で行くのは嫌だな、
とすずめは思っていた。


大輝も、頭では
誰が悪いんでもない、
ということはわかっているのだが、
心がどうにも収まらない。



「大輝、新幹線の時間だよ。」

「わかってる!」


ふてくされたまま、
帰省ラッシュで
混み合う車内に乗り込む。

美羽は大輝に抱っこされ
ぎゅうぎゅうの車内で守られていた。


「ふぅ~」

ようやく着き、
すずめ父が駅まで迎えに来ていた。

「父ちゃん!」

「おじいちゃん!」

美羽は相変わらず
愛想たっぷりで
すずめ父に駆け寄る。

「美羽~~よしよし。
元気だったか?」

「うん!びよき、してないよ。」

「そっか、そっか。」

と今度はすずめ父に抱っこされ
美羽はニコニコしていた。


「やっぱ美羽は
オマエに似てんな。」

「え?どのへんが?」

「オレ以外の男に愛想ふりまくと
オレがイライラするところ。」

「私イライラさせてる?」

「昔な。」

「またその話!」

まだ怒ってるのかと
いい加減すずめはあきれ顔だ。

こんなに感情に振り回されてる
大輝は珍しい。


大輝は自分でも何でこんなに
イライラするのか
わからなかった。


帰ったその足で墓参りをし、
すずめの実家で美味しい料理を食べ、
夜の虫の声を聞きながら
大輝は縁側に座っていた。

田舎の風景をみると
少しだけ癒される。


すずめは美羽と
風呂に入っていた。


すずめの父が
ビールと枝豆を持って

「大輝くん、一杯やらないか?」

と誘ってきた。

「あ、いただきます。」


大輝は誘いに応じ、
二人で飲みながら、

「美羽はずいぶん愛想がいいね。」

とすずめ父が話し始める。


「はぁ。オレもすずめも
愛想いい方じゃないのに
なんで?って感じです。」

「ちょうどいいお手本だなぁ。」

すずめ父が言う。

「お手本?美羽が?」

「そう。大輝君もすずめも、
あんまり思ったこと言ったり
しないだろ?」

「そう…ですかね。」

「ま、二人では思ってること
ちゃん伝えあってるのかも
しれないけどさ。」

「いや、そうでもないっす。」

美羽が獅子尾を気に入ってることを
すずめに内緒にされてたのが
大輝は正直面白くなかった。

言いにくいだろうと
わかってはいても。


「美羽は思ったことを
すぐ口にするよな。
好き~とか、うれしいとか。
愛想がいいというよりも、
自分の気持ちに正直なんだろうなぁ。」

なるほど。そうかも。

「すずめは、自分の気持ちがそうでも、
まず相手はどんな気持ちになるだろう
とか考えて、考え過ぎて
ま、バカやるんだけどな。」


「ぷっ…そうかもしれないですね。」

いろいろ思い出して笑ってしまった。

「生まれつきの性格があるからなぁ。」

すずめ父もすずめの子どもの頃を
思い出して笑う。

「ま、そこんとこ
わかってお互いな、
やってくれればいいよ。」


お義父さんは、今日の
オレ達の微妙な空気を
感づいていたのか、
そんな話をした。


作品名:感情 作家名:りんりん