大地の初恋
大地がため息をつきながら降りてきた。
「寄りが戻ったの?」
すずめがたずねると、
「なんでそれっ!?」
大地が顔を赤くする。
こういう姿も大輝そっくりだ。
「ちげーよ。
でも諦めないとか言われて…
わけわかんね。」
はぁ~と深いため息をついて
大地は「親父達遅いな。」と言った。
ほんとだ…もう16時…
「ただいま~」
泥んこの美羽と、
ヘトヘトに疲れた
お義父さんが帰ってきた。
「わっどうしたんですか?」
「買い物帰りの公園で
散々おままごとさせられて…」
プッ
お義父さんがおままごと…
かなり似合わない。
「隣で遊んでた子と
旦那さんの取り合いみたいな
修羅場をままごとでさせられて…」
「もしかしてお義父さんが
その旦那さん役…」
「辛かった…」
美羽はどこでそんなことを
知ったんだろうかな?!
お義父さんも大地も、
リビングのソファに座って
ぐったりしていた。
馬村家の男は
みんな女を虜にしちゃって
色男だなぁ、と
すずめは思った。
吉森さんが勘づいたことも
すずめが気づくはずもなく、
大地はこの長い長い初恋を
吉森さん以外にはずっと秘めたまま
大人になっていくのであった。