クリスマスの約束
「じゃあ私もプレゼント
リクエストしていい?」
「なんだよ。」
「沖縄の時みたいに
もう一回して欲しいなって。」
すずめは自分が言ったことが
恥ずかしくなって
顔を背けてしまった。
「や…やっぱ今のナシ。」
そう訂正したが
馬村はすずめの両肩を抱き、
「オイ、こっち向け。」
顔が真っ赤のまま、
おずおずとすずめは
馬村のほうに顔を向ける。
馬村の顔が近づいて、
ゆっくり馬村の唇と
すずめの唇が合わさる。
すずめはまた
じわっと心が温かくなった。
合わさるのと同じくらい
ゆっくりと唇が離れていく。
また馬村はすずめを抱きしめ、
「好きだ…。」
と言った。
「うん。私も好きだよ。」
とすずめは抱きしめ返した。
しばらく余韻に浸っていたが、
「兄貴戻ってくるかもな。
メシでも食いに行くか。」
「あ、じゃあ、回転寿司!」
「クリスマスに回転寿司?」
「あっでも今日は
馬村の行きたいとこに
行くんだった!」
「ふ…別にいいよ。オマエがいいなら。
誕生日どこも行けなかったしな。」
「わ!やった!お寿司!」
「寿司好きだな…」
そう言いながら二人は
兄の研究室を後にする。
戻ってきたはいいが
二人がいい雰囲気だったので、
なかなか入れなかった、兄大志。
「甘酸っぱいねぇ、高校生は。」
と羨ましくもあり、
女嫌いの弟に愛を語らう
彼女ができたことが
嬉しくもあり。
兄はずっとこのまま
続いてくれることを
願っていた。