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エルオブノス
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novelistID. 54547
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艦これ知らない人がwikiの情報だけで酒匂書くとこうなる。

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最近、酒匂がおかしい。

 無論おかしな言動はいつもの事だ。しかし問題はそこではなく…と言うより、そこが問題なのだが…ややこしいので、聞いてもらった方が早い。

「酒匂、先日の演習の事なんだけど…。」

「どうしたんだい、提督?何か問題があったかな。」

 問題があるのはその発言だ。
 まず、口調がおかしい。普段の酒匂とまるで違う、その割にどこかで聞いたことがあるような、そんな喋り方だ。どこで聞いたのだったか。
 それから、酒匂は僕を「提督」とは呼ばなかった。「司令」だったはずだ。誰に感化されたのだろう?

「…ええと、そう。どこかに直撃を受けたりしなかったかい?頭とか。」

「まさか。僕はそんなドジを踏んだりしないさ。」

「え?あ…ああ、なるほど。そうか。」

「そうさ。」

 酒匂は胸を張って同意しているが、今の「なるほどそうか」は酒匂の発言に対してではない。誰の感化を受けたのか分かったのだ。
 一人称が「僕」なのは、僕か時雨だ。すると、どうやら酒匂は時雨の真似をしているらしい。僕を「提督」と呼ぶのも時雨か。

 しかし分からないのは、何のつもりなのかという事。
 なぜ突然時雨を真似始めたんだろう?

「提督、考え事かい?悩みなら、僕に話してよ。」

 僕の顔を覗き込みながら、酒匂は優しげに言ってくれる。相変わらず違和感がすごい。

 そうか。悩みを言えと言うなら、正直違和感がすごいので戻ってほしい。…が、酒匂も何か目的があって時雨を真似ているのだろう。あるいは、自分に似合うと思ってか。
 いずれにせよ、無碍に「酒匂その喋り方変だよ」と言ってしまうのは気が引ける。自分で「違うな」と気付いてくれるのが一番いい。気付くまでにどれだけかかるか分からないが…と言うか、いつか気付くのだろうか?心配だ。

 何より、普段からその調子で喋られると何かと厄介だ。例えば時雨本人が、酒匂が時雨の真似をして喋るのを聞いたらどうなるか。下手をすると、僕が酒匂にそうさせて影で時雨をからかっていた、とか思われかねない。
 そしてそれは時雨に限らない。例えば夕立あたりが耳にして、「時雨ちゃんの真似をしてるっぽい。」と思って、「提督さんがやらせてるっぽい?」となって、「提督さんはおかしいっぽい!」と閃かれても困る。夕立が聞いたら多分時雨に伝わるし。

「…酒匂。」

 意を決する。今面倒を避けて、後の面倒の種にするのは愚行だ。

「どうして時雨の真似をしているの?」

「え?べ、別に真似してないよ。」

「いや、完全に真似してるのに否定されても困るんだけど…。」

「むむ…。」

 困っているのは僕の方なのだが、酒匂は露骨な困り顔でそっぽを向いた。

 どう聞いたら説明してもらえるのだろうか。皆に心を開いてもらうのも提督の役目に違いないし、酒匂に説明してもらう方法を考えよう。
 
 提督だから、上官として命令するという手はある。しかし、それでは心を開かせていない。
 心を開かせそうな言葉…正直な気持ちを言葉にするのがいいか。正直な気持ちは、「なぜ時雨の真似をするのか知りたい」だ。それは既に言ったから、もう少し言い方を変えてみよう。酒匂がなぜそうするのか知りたい、それで酒匂が僕に何を求めているのか知りたい…つまりひっくるめると、「酒匂の気持ちを知りたい」という事になるか。いや、それはなんだか方向が違う気がする。告白みたいだ。

「…だって。」

 僕がいつまでも悩んで口を開かない事に焦れたのか、あるいは黙って怒っているとでも思ったか、酒匂の方から話し始めた。

「司令は酒匂のこと、あんまり好きじゃないんだもん!」

「は?」

「酒匂は司令といっぱいお話したいのに…酒匂が話すだけじゃなくて、司令のお話とか聞きたいのに…司令は酒匂と話す時、いつも聞く側ばっかり。司令は酒匂が話すのを聞くだけで、酒匂がどんどん喋ってるよ。」

 そうだろうか。思い返すに、確かに酒匂と話していると聞き手に回ることが多いかも知れない。なるほど。

 しかし、それは酒匂がどんどん喋るからだ。そして、僕は酒匂が楽しげに喋るのを聞いているのが好きだからだ。楽しい気分になる。今も膨れて「ぴゅう」とか言っていて、酒匂のそういうのを久しぶりに聞けてちょっと嬉しく思ってもいる。
 僕のそういうところで酒匂が心を痛めていたというのは寝耳に水だが、確かに聞いてばかりというのも悪かったか。反省すべき点だ。

 …ところで、それはさておき。なぜそこから「時雨の真似をする」という事になるのだろうか?

「僕は酒匂を好きだし、酒匂が僕の話を聞きたいのも分かったよ。でも、どうして時雨の真似をしていたんだ?」

「だって、司令は…時雨ちゃんと話す時は、司令からも話してるから。だから真似したら、司令からも話してくれるかなって…ぴゅー。」

「…そういう事ね。」

 なんとも健気な事だった。僕との会話に関して気に病んで、それでどうしたらいいか自分なりに考えて出した結論、というところが涙ぐましくも嬉しい話だ。