艦これ知らない人がwikiの情報だけで酒匂書くとこうなる。
ともかく、理由を話してもらえてよかった。理由さえ聞けば解決は容易い。酒匂と話す時、酒匂がどんどん話すのに負けず僕も話せばいいのだ。
なんだか騒がしい会話になってしまいそうだが、そしてそういう賑やかな会話は少し苦手だが…酒匂の心がそれで慰められるならば是非も無い。賑やかな会話なら、金剛あたりを見習って頑張ろう。…いや、やっぱり金剛はやめよう。夕立くらいにしよう。
「…あ、ひょっとして!」
酒匂が何か気付いた様子で言う。
「夕立ちゃんの方がいい!?」
「え?」
僕が今しがた頭に浮かべた名前を口にされて、ドキッとする。心を読まれたわけではなかろうし、なんだ?
「時雨ちゃんは、割と静かだから司令の方から話してる。でも、夕立ちゃんは、割と静かじゃないのに司令の方からも話してる。…ということは、夕立ちゃんの真似した方が、酒匂も司令もどんどん喋って楽しいのかな!?」
なんだその理屈は。
しかし的を射ているのは、なぜだ。確かに夕立も結構よく喋るのに僕の方からも話す。興味深い事だ。夕立との会話と、酒匂との会話、その違いは何だろう…。
…いや、酒匂のどんどん喋りっぷりが夕立の比じゃないだけだ。例えば酒匂並にどんどん喋る相手…金剛やらと話している時は、酒匂との会話に近いではないか。僕は主に聞き手になる。
結局のところ、彼女たちが自分にやりやすい話し方をしてくれれば、僕は聞き手になろうが話し手になろうが構わない。静かな子に話しかけるのも、賑やかな子が喋るのを聞いているのも、僕にとっては等しく楽しい時間だ。そこを分かってほしい。
分かってほしいのだが、酒匂は自分の考えがとてもいい思いつきだと思ったらしく、さっそく夕立を真似ることにしたようだ。
「えーと、夕立ちゃん、夕立ちゃんの喋り方…。」
「いや酒匂。君は君のままで…。」
「ぴょい!」
「!?」
「…じゃない、ぴょ…ぽ、ぽい!」
いきなり噛んだ。
申し訳ないが、思わず吹き出してしまった。普段言い慣れている方の音が先に出てしまうのは仕方ないのだろうけれど、だったら酒匂は普段通りにしていればいいのだ。
それはそれとして、噛んだ上に笑われたのは恥ずかしかったらしく、酒匂は「ぴゃ」とか言って俯いている。
「酒匂、無理に人の真似をしなくたっていいんだよ。僕も酒匂に負けずにたくさん話すから。」
「ぴゃん!本当!?」
僕の言葉を聞いた途端に元気になって、酒匂は笑う。
「じゃあ、酒匂も前よりいっぱいどんどん話すからね!そしたら司令も負けずにどんどんいっぱいお話して、酒匂もいっぱいいっぱい話して、司令も…ぴゃああ!賑やかになって楽しそう!ね!」
その理屈はおかしい。そんなことをしていたら、最終的には金剛がドン引きするくらいうるさい二人組になってしまいそうだ。
だが、「そこまではちょっと」なんて否定したりするのは気が引けた。僕とたくさん話すことを楽しみにする酒匂の満面の笑みを見ると、僕は「そうだね」と笑って同意することしかできなかった。
結構大変なことを安請け合いしてしまったが…あの笑顔では、仕方ない。
作品名:艦これ知らない人がwikiの情報だけで酒匂書くとこうなる。 作家名:エルオブノス