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靴ベラジカ
靴ベラジカ
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魔法少年とーりす☆マギカ 第三話「ジュネーヴ・ルビー」

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 僅かに後。
 「どうなってんだ!? ジェムの反応がどっちもおかしいぜ!?」
全力疾走で、頭部の触手をダウジングのように右往左往させながらギルべぇは困惑の念を叫ぶ。 後に続くエリゼベータはいつになく激昂して問い正す。
「ソウルジェムの様子は!?」
彼女達の此処までの動揺をトーリスは理解出来ずにいた。 魔女と戦っている最中に魔法が使えなくなっては確かに危険だが、何事も無い時に魔法が使えなくなっても普通に生活出来るだろうに。
 それよりも彼は、慌ててエリゼベータが途中にあった立ち入り禁止とあるチープな扉を蹴り飛ばした事に気を取られている。
 「ローデリヒのジェムは拍動がねぇ、情動にジェムが【同期してない】って感じだ」
 「同期してない…!? 奪われたのかも、ローデリヒさんとジェムを!」
 「おい待てよ! 俺様の大事な話を最後まで…」
彼女は古びた建物に駈けて行った。 住居と言った風合いではない。 何かの工場だったのだろうか。 辺りが真っ暗で良く見えないが、外壁は傷だらけで窓は割られ、何か黒ずんだものが大量に付いている。 足下を見ると、点々と何かが街道に滴り落ちている。 足で擦ると落ちた点は容易く引き伸ばされた。 乾いていない。
 「これ、血なんよ。 まじ新しいし…」
親友の一言。 背筋に冷たい感覚が奔る。 トーリスは血の落ちる先を辿っていく。 無意識に歩みが速まる。とても、とても嫌な予感がした。 崩れかけた石垣の上に、覚えの有るライラックの光。 丁重に其れを掴み取る。 幾度と彼の祈りを叶えたそれと同じ姿の、魔法の卵型。
 「ローデリヒのだ…!」
血痕はまだ続いている。 不安はまだ拭われていない。 何かを促そうとするフェリクスを余所に、彼は仲間のソウルジェムを手で包むように持ち血の跡を追う。 ほんの数秒で、予感は事実に変わってしまった。 瓦礫の上に、ぐったりと倒れ込んで動かない同年代の男子。 金髪の下に流血の跡がくっきりと残り、目は完全に閉じずにうっすらと、寝惚けているか様に柔らかく開いている。 永遠の眠りにつこうとするかのように―
 「大丈夫!? しっかりして!」
反応は無い。 ライラックのジェムを傍に置き必死で抱き寄せるが、見知らぬ金髪の少年はだらりと腕を投げ出したままだ。 トーリスの身体中に、少年の傷から染み出した血が付いていく。 顔を撫でても、手を掴んでも応じない。 握り締めた肌荒れの酷い手は厭なまでに冷たかった。 遠巻きの少女の悲鳴が他人事のよう。 震える手で自身の鞄からひとつ取り出す。
 『この人を助けて』
緋のソウルジェムは応えない。 均一な輝きを変わらず放ったままだ。 背後から重い足取りと駆け足が近寄る。
 「ローデリヒさんが、ローデリヒさんが… !」
 「ソウルジェムじゃねえか! ちょっと貸せ!」
ギルべぇは掴み取ったライラックをローデリヒに手渡した。 いや、むしろ持たせたと言うべきか。 当のローデリヒはエリゼベータに抱えられ、力なく足を引き摺っていたのだから。 彼の目に光は無い。 丁度、トーリスが抱えている少年と同じ目をしていた。 間を置いてローデリヒの手は僅かに動いた。

ソウルジェムを持たせれば、この人も助けられる?
混乱する感情の中で、茶髪の少年はひとつの希望をすがるように見出す。 自分が握っていた為に温もりの残っていた手に触れ、見知らぬ少年は息を吹き返したと、緋の少年は錯乱していたのだ。 自身のジェムを握らせようと手を開く。 

 親友が震えながら呟いた。

 「ソウル… ジェムが」

フェリクスが指したものは、彼の持つ、緋のジェムではなかった。 頂点に、十字架の上に横棒を足した様な意匠があしらわれた、青緑に墨を混ぜた様な色の、淀み切ったソウルジェム。 トーリスが抱える少年の濁った瞳と良く似た宝石。 場の全員がその奇妙な浮遊を見届けた。 濁り切った外殻は砕け、おぞましい色彩が辺りに振り撒かれ― それは、現れた。

新たなグリーフシードが… 誕生した。

「なんで、」

「ソウルジェムから、…グリーフシードが」

バッシュ・ツヴィンクリは答えない。 代わりに、

【太陽の魔女】は産声を上げた。