学園小話2
「ああ。あくまできり丸を助けたのは謎の忍者だからね」
行くぞと促され、手を借りて立ち上がる。
色々複雑な事情があるのはなんとなくだがわかる。わかるけれど、それは屁理屈のような気がする。
憮然とした顔に、ますます困ったように笑う担任は、元気を出せと背中を叩く。
「後は私たちに任せなさい。滝夜叉丸も悪いようにはしないよ。……彼が私たちを信用してくれればの話だが」
「え?」
いつもの頼れる先生の声に、ほんの少しだけ囁かれた小さな言葉。思わず見上げると、何を考えているのか読めない表情を浮かべて、じっと見つめられる。
どういうことですか。問おうと口を開けたところで、いつもの笑顔に戻った土井先生はもう一度背中を、今度は軽く叩く。
「なんでもないさ。さあ、教室に戻ろう。授業の時間だ」