つぼみの家
歳は20でも、
自分達はまだまだ子どもだ。
一緒にいたくても
いろんな大人の協力で
やっとだ。
ただ好きだなんだと
それだけでいられた
高校時代とは違うんだな…
と思うとすずめは、
ようやく、当時獅子尾が、
好きでも離れる、
という選択を、
大人としてせざるを得なかった
その気持ちがわかった気がした。
「大人って責任なんだね。」
すずめは思わず口にした。
「大人って認められたら、
こんな間借りじゃなくて
ちゃんと住もうな。」
大輝が言葉を返す。
「うん。」
「オレも頑張るから。」
「うん。私も。」
そうして、つぼみの家での
自宅時々間借り生活が始まった。