DEATH TRAP -Claw of time-
プロローグ
たった一人の大戦争
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
何時間走っただろう、これでも疲れるだけとは
今回ばかりはこの身体に感謝する
処刑所が見える・・・あと少し!
「止めろ!!」
野次馬達がこちらを見る
博士はもう処刑台に固定されていた
「博士から離れろ!!これ以上俺達を苦しめるのなら・・・!」
剣を取り出し威嚇する、が
「もういい!!」
「・・・えっ?」
予想外な人物からの仲裁で驚く、止めたのは博士
「もういいんだ、僕が死ねば皆幸せになれる」
「それなら・・・僕は喜んで死ぬよ」
その言葉に少しの安堵と怒りを覚えた
「駄目だ!!博士が死んだら・・・何すればいいんだよ、俺達。」
博士はその言葉に悲しそうな表情といつも通りのあの言葉で答えた
「皆を幸せにしてくれ・・・これが願いだ」
最後まで他人を思う優しいその言葉にすら野次は飛躍し続ける
そして博士の後ろで待機していた男が抜刀して構える。
「止めろ・・・止めろ・・・止めろ!!」
その声虚しく剣は博士の背後へ吸い寄せられる
俺は無我夢中で走りながら手を伸ばすが、目の前に人だかりもあり・・・
届くわけがなかった
「博士!!!!」
「###########」
博士の背中から大量の血が現れる
自分の声が大きすぎて博士の最後の言葉も聞き取れず、人々は歓喜の声を上げる
「ザマァミロ!クズ科学者!」
恐ろしいスピードで走馬灯が過る、しかし、何故かその走馬灯には・・・
博士が一度も映らなかった
何故・・・何故だ、どうして博士が死ななきゃならない
人々の幸せを心から願っていたのに
・・・お前達はいったい何を望んでいるんだ
許さない・・・絶対に許さない!!何が何でもぶっ殺す!
俺は怒りに身を委ね、力の全てを解放し、刃を構えた
幾つもの謎を抱えながら、俺は初めて、無計画な行動をとった。
作品名:DEATH TRAP -Claw of time- 作家名:バルマドル