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靴ベラジカ
靴ベラジカ
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魔法少年とーりす☆マギカ 第七話

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 おお… 何と言う事か。 こんな事はあり得ない、不可能なはずだ。 被写体に捉えられていたのは、フェリクスと、頂点に井桁を掲げ、白濁し墨の様な黒点を孕んだ液状の中、僅かに緋色を煌めかせる彼のソウルジェム。
 映像は三週間前、魔術部が最後に行った、定期的な映像の確認作業から二日後のものであった。 自身の魂の傍でガクガクと強いひきつけに身悶えながら倒れ込み悲鳴を上げる緋の魔法少年。
 ジェムが薄汚い白となり完全に濁り切ったかと思いきや、汚れ切った宝石はアメーバ様に一部を分離され、金髪を振り乱したフェリクスが最も足を暴れさせた、次の瞬間。 ソウルジェムの分離した部分は水を満たす様に修復、切り分けられた病変は井桁を頂点に携えるグリーフシードに変化した。 ふらつく魔法少年。
 …数分もしない内に、緋のソウルジェムは穢れなど無かったかの様に美しく浄化され、死にも等しい苦痛に耐え凌いでいた筈のフェリクスは、自身のソウルジェムから産まれたグリーフシードを隠す様に手に取り、何事も無かったかのように撮影範囲から去って行った。

 「本当に、こいつが、頻繁にグリーフシードを産んでいたって、言うのかよ」
 アーサーが重く論ずる。 頭に浮かぶ、忘れ得ぬおぞましい記憶。 魔法少年になったあの日、親友が痛々しい悲鳴を上げ、 ―魔女化した惨状。 額を手で覆い、アーサーは答えた。
 「レディに、 …エリザベータに連絡しろ」
 「!? だば、あいづどは(!? でも、あいつとは)」
 「今は協定どころじゃねえ、急げ! バッシュが資料に書き残した【アレクサンドリアの商人】、アレは出任せでもなきゃ、むかつく奴へのしょっぱい蔑称でもなんでもねぇ!」
 戦友の魂を使った【クラシカルで伝統的な手】でのグリーフシードの量産。 冷酷だが矢鱈と体面を気にするせいで目的と手段がごっちゃになる様な、そんなお坊ちゃん野郎一人が思いつき、実行に移せるような生温い戦略じゃねぇ。 自らも仮説と立証が錯綜する、慌ただしい部室内。 アーサーは太い眉毛を掻き毟り、手にしたスマートフォンに、もっとも新しく登録された番号に通話を始めた。 接続中の単純アラート音も惜しみ、頭の中、架空書庫内の安楽椅子に、ゲジ眉探偵は腰掛けた。

 共犯はe383ade383bce38387e383aae38392、となれば主犯はe382a2e383b3e38388e383bce3838be383a7か。 ならば実行犯は? 目の前にある幾つもの記憶。 数年前。 いや、一年前。
 アーサーは色つきの風を超え、電気信号の速度で脳内書庫を探し回る。
 「はい、もしもし? トーリスだけど」
 表紙の煤けた日記帳。 ぼやけた仮説を確証に変える、記憶の中の証拠記録。 草色の魔法少年が触れた時、マギクスワナビへ回線が繋がった。