二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

夏祭り

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 


蒸し暑くて浴衣もなかなか暑い。

汗が流れそうになる度
ミニタオルで汗を拭う。

「珍しいな。
 オマエのほうが先に来てるの。」

「あ、馬村。」


ツルと一緒に家を出たせいか、
随分早く待ち合わせ場所に着いて、
しばらく待っていると
馬村がきた。

「行くか。」

馬村が浴衣のことに何も触れず
歩き出す。

すずめは立ち止まったままだった。


「オイ?」

「どうし…」

馬村が不審がって振り返ると 
すずめの顔は盛大に膨れていた。

「!」

ボスッ

すずめは持っていた巾着で
馬村の背中を叩いた。

「イテッなにすんだよ。」

「なにすんだよじゃない!」

「は?」

「せっかく馬村が
 リクエストしてくれたから
 頑張って浴衣着てきたのに
 なんで何も言ってくれないんだよ。」

すずめの顔は膨れたままだ。

「沖縄の時も可愛い服を着て
 馬村のためにお洒落したのに
 何も言ってくれないし。」

「なんか自分だけ
 張り切ってるみたいで嫌だ。」

馬村はすずめの言葉を聞いて、
うぐ…と言葉を1回飲み込んだ。

「オマエだけじゃねーよ。」

「え?」

「…すんだよ。」

顔を背けて俯いて 
なにかをボソボソっと言ったが、

夏祭りの賑わいもあって 
すずめには聞こえなかった。

「何?聞こえないよ。」

「オマエが
 綺麗な格好してくると
 緊張すんだよっ///。」

馬村の顔は火が出そうなほど
真っ赤だった。

顔を覆って馬村は言葉を続けた。

「苦手なんだよ。
 褒めたりとかそういうの。
 その…ちゃんと思ってっから。
 …嬉しいから。フツーに。」

はぁ、とため息をついた。

「だって言ってくれなきゃ
 わかんないから…ごめん。」

って、なんで謝ってるんだ、
自分。とすずめは心の中で思った。

「そういうのうまく言えねえから、
 不安になったら今みたいに
 言ってくれていいから。」

馬村が少し顔をあげると、
すずめの顔も真っ赤になっていた。

「うん!」

すずめが嬉しそうに笑ったので 
馬村は安堵した。

言葉数は少なくても
気持ちを伝えると、
ちゃんと馬村は
誠意を持って応えてくれる。

比べちゃいけないと思いつつも、
すずめはそれが嬉しいと
思っていた。

ちょうど去年の今頃は、
先生が何を考えているか
わからなくて、
戸惑ってばかりだったから。


花火の時間が近づいて
人が増えてきた。


「とりあえず行くか。」

「うん。」

「はぐれるなよ?」

「うん…」

「ん。」

馬村が手を出す。

二人は手をつないで歩き出した。

作品名:夏祭り 作家名:りんりん