夏祭り
「馬村、ありがとう。
今日誘ってくれて。」
家の方に向かいながら
すずめが言った。
「具合悪くなったのに?」
「それは馬村のせいじゃないし。」
「やっぱり私、馬村といると
楽しいや。」
「またどっか行こうね。」
まだどこかぎこちないけど、
いっぱい二人で出かけて、
少しずつ慣れていけるといいな、
と、そんなことを話してるうちに
家の前についてしまった。
「あ、着いてしまった。」
「じゃあな。」
「......」
「……家、入らねーの?」
すずめは立ち止まったまま、
何かを考えるように下を向いていた。
ふいに顔をあげ、
「馬村、ちょっとしゃがんで?」
すずめが手のひらをちょいちょいと振る。
「ん?なんかついてんのかよ?」
馬村が髪の毛に手をやり、
少し前かがみになると、
すずめはグッと馬村の腕をつかんで、
ほっぺたにチュッとした。
「じゃあ!!また月曜、夏期講習でね!」
「~~~~~~~~~」
バタン、とすずめは
家の中にやり逃げで入って行った。
フラフラフラっと馬村は壁にもたれかかり、
「なんだよ、コレ。」
「あー暑ぃ...」
と真っ赤になりながらつぶやいた。
体温が2度はあがったような気がした。
そんな暑い、熱い、夏の思い出。