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普遍少年と変わる人たち。

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すっかり渋くなってしまいっているであろう紅茶を見て少し残念に思った。せっかくクラウスさんから美味しいからと貰った紅茶を無駄にしてしまった。どっかの誰かのバーガー買ってこいという横暴な注文がなければこんなことにはならなかったろうに……。
 「もう一回淹れ直すね。ちょっと待ってて。」
僕はそういうとガシャガシャと紅茶を淹れる準備をした。その間もホワイトは微動だにせず、ただ窓の外の世界を眺めていた。
 ポットにお湯を注ぐその時だった。
「レオと出会ってから私少し変わったってお兄ちゃんに言われたわ。」
「そうなの?」
「私は全然変わったとかわからないけれど、お兄ちゃんが言うからにはそうなんでしょうね。」
そう言うと彼女は先ほどまで窓の外を見ていた目をゆっくり閉じ、そしてこちらを向いた。
「レオに一度でも関わった人は変わってしまうのかしら?」
あまりにも儚い笑みを浮かべながら言われるものだから返答に困った。妹の言う記者魂とやらなのか何なのか、その顔を写真に収めたいという事をひたすら心の中で叫んでいた。撮りたい、撮りたい、と叫んでいた。
 「レオ、お湯こぼれてる。」
言われて手元を見るとポットから容量を大幅に超えたお湯が床に溢れていた。
「わあ!ごめん!!」
慌てて病院に備え付けられていた雑巾で床を拭く。
「火傷してない?大丈夫?」
「うん、全然平気。ありがとう。」
見惚れている場合ではなかった。ホワイトに言われなければお湯が空になってもずっと注ぎ続けていただろう。危なかった。
 零したお湯を拭き終わると丁度紅茶もいい具合になっていた。
「ホワイトはお砂糖いる?」
「3つ頂戴。」
「甘党だね、太るよ?」
「女の子はお砂糖で出来てるからいいのよ。」
また素っ頓狂な理屈だと思った。だが、同時に悪くないとも思った。確かに彼女は砂糖で出来ているのかもしれない。
 甘い紅茶をホワイトに渡すと、彼女はフーフーと可愛らしく冷ましながら飲んでいた。
「美味しい?」
「うん。すっごく美味しいわ。ありがとう、レオ。」
彼女の顔に花が咲いたように笑顔がこぼれた。先ほどの儚さのある笑顔はそこにはなかった。
「お礼は紅茶をくれたお坊ちゃんに言わなくちゃね。」
僕はそう言うと心の中でクラウスさんにお礼を言った。こうして彼女と二人でお茶できる機会を与えてくれた事に対して。
「そうね。でも私はレオにもお礼を言いたいわ。私のために紅茶を淹れてくれて、一緒に飲んでくれてありがとう。嬉しいわ。」
「て、照れるなぁ。」
そう言いながら僕はカメラを取り出した。今の彼女を写真に収めるために。
 「レオは変わらないわね。」
「僕だって変わっていっているさ。きっと変わっていっているさ。」
僕はシャッターを押した。