魔法少年とーりす☆マギカ 第九話「ウラル・オパール」
こんな事。 あり得ない。 あり得ない筈だ。 でも其れは実際に起きていた。 黒く濁った曇天の下。 魔女化遺体達が、一様に、目を開けてフェリクスを見ていた。 よろめき立ち上がる姿を視線が追う。 バッシュの右手指がピアニストめいて順番に上下し、菊の脚が痙攣の様に僅かに跳ね、フェリシアーノの上半身は、何とも付かぬ組織を零しながら、元の背丈ほどの高さに浮遊した。 遺体に付着していたであろう僅かな呪いが異常成長を遂げて増幅され、元魔法少年達の肉体を、ときわ町の空を、少年達の世界の全てを黒く覆っていく。
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緋の魔法が自動解析によって、呪いの僅かな一欠けらを読み取っていく。
穢れの黒が町の要所要所に固まり、数十に別れて吸収されていく。 それは少年達の遺体に埋め込まれた、三つのグリーフシードも例外ではない。 重い鼓動が拍を早め、元魔法少年達は、マリオネットの様に不自然に立ち上がり―、
彼らが纏う、人間の装束であったものは、おぞましい淀みを放つ呪いの装束へと作り替えられた。
「知ってる? 病気で死んだり、親に殺された赤ちゃんの事は、水子って言うんだって」
残酷で無邪気な声。 イヴァンは悪魔のように笑みの無い目で口角のみを笑わせて言った。
「じゃあ、人間に受け入れられずに殺された、水子の様な魔法少年がもう一度魔女に生まれ変わったら、その子達は【水子魔女】って言うのかな?」
首が据わらず、淀み切った瞳で淫靡な表情を浮かべる、魔法少年であった者達。
彼らの暗き慟哭が、パンデミックの始まりを告げた。
作品名:魔法少年とーりす☆マギカ 第九話「ウラル・オパール」 作家名:靴ベラジカ