続•香り
次の日の放課後、すずめは
馬村と2人で帰りながら、
「馬村、これ、
やっぱり返す。」
と、馬村からもらった石けんを返した。
「何でだよ。」
馬村は石けんを手にして
少し不服そうに言った。
「馬村がそこにいるみたいで
最初いいかと思ったけどね。」
「同じ石けんって
ヤラシーって言われて。」
「は?///誰にだよ。」
馬村もそういう考えには
至らなかったようだ。
「それだけじゃないんだけど…」
そう言いながら、すずめは
ぽすっと馬村の胸に頭を置いた。
「オイ!何やって…」
突然すずめが近づいてきたので、
馬村はびっくりした。
そんな馬村をよそに、
すずめは言葉を続ける。
「私、石けんそのものの匂いより、
石けんの匂いがする馬村の
匂いがいいんだなってわかったんだ。」
「なっ////」
馬村は耳まで赤くなった。
すずめは馬村の胸に
頭を置いたまま、
ゆっくりと息を吸い、
「うん。やっぱり石けんより
本物がいいや。」
と言った。
そう言ったと思うと、
すぐにパッと顔をあげ、
「ありがとう。
じゃあ、また明日
学校でね。」
そう言いながら満足した顔をして、
すずめはさっさと帰っていった。
「ちょ…なんだよ。」
「また爆弾落していきやがって…」
「本物がいいって言うなら、
一緒にいたいって
なんで言わねんだよ。」
ブツブツ言いながら、
赤い顔を片手で覆って
フラフラしながら
馬村も帰っていった。