続々・香り
大輝はすずめの腰に手を回し、
首筋にキスをした。
「同じ匂いなの、
なんか嬉しい。」
すずめがそう言うと、
「オレには違う匂いに思えるけど。」
大輝が応えた。
「同じ石けんなのに?」
すずめは、自分の腕と大輝の腕の匂いを
嗅ぎ比べてみるが、よくわからない。
「オレは石けんとか匂いとか
よくわかんねえけど、
オマエのが甘く感じる。」
そう言って大輝は
すずめの唇に軽くキスをした。
「?そう?わかんないなー。」
キスされながら考えごとをして
喋るすずめに、
「喋れないようにしてやろうか?」
と言って今度は
口を塞ぐようにキスをした。
「んっ!んーーーーっ!」
バンバンとすずめは
大輝の背中を叩いて、
ようやく離してもらった。
「くっ苦しかった…」
「もう考えごと禁止。」
「あ…ごめん。」
今度は優しくキスをする。
「大輝?」
「まだ考えんのかよ。」
そういい言いながら
頬に、首に、肩に、
大輝はキスを落としていく。
「ううん。あの時より
どんどん大輝のことが
好きになってるよ。私。」
「それもあの時の大輝に
教えてあげたいって思って。」
大輝はすずめの目を見て、
ふっと笑った。
「高校生のオレは
喜びで卒倒するかもな。」
そのまま大輝は
すずめの唇に柔らかくキスをして、
「オレも。」
「え?」
「オレもあの時より
好きんなってる。」
と言った。
「すごい、大輝。
底なしだね。」
「底…オマエもっと
他に言い方ねえのかよ。」
すずめは、あの時の自分にも
大輝といると底なしに幸せになれるよと
教えてあげたいと思った。
「今度こそホントに禁止。」
「…うん。」
2人は再びキスをして、
あの石けんの香りを溶け合わせながら
ひとつになっていった。