二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

続々・香り

INDEX|2ページ/3ページ|

次のページ前のページ
 


一緒にごはんを食べて
大輝とまったりと過ごすのが
すずめは好きだった。

昔初めて自分の部屋に
大輝が来た時、
何したらいいんだろう、と
ドキドキして、
おじさんのアルバムで
時間をつぶしたのを思い出した。

「ふふ。」

つい思い出し笑いをする。

「なんだよ。」

大輝が急に笑い出したすずめを
訝しく思って尋ねた。

「付き合ってすぐの頃、
 大輝がうちに来たじゃん?
 何でか今それを思い出して。」

「ああ、おじさんが怖いからって
 呼ばれたやつな。」

大輝も言われて懐かしく思い出す。

「間をもたすために
 おじさんのアルバム見せたりとか。」

「ふ。あれ、どうすりゃいいの
 って感じだったよな。」

「何にもする気ないって
 宣言されたり。」

「何?して欲しかったとか?」

「んー。
 あの時カメちゃんがするかもよって
 言うから変に意識しちゃって、
 そうなったらどうしようって
 思ってたけど…」

「大輝にするつもりないって
 改めて宣言されたら、
 逆にえーって思ってた。
 変だよね?私。」

すずめはクスクス笑いながら、
その時の自分の気持ちを
初めて正直に大輝に伝えた。

「亀吉のせいかよ。
 でもそう言うオマエも
 期待してたんじゃねえか。」

「きたっ…違うよ?」

すずめは少し赤くなって
大輝の言葉を否定する。

多分自分でもどうしたいのか、
あの時はよくわかってなかった。

「今は?」

「えっ?」

「どっち?」

「何それ。何を言わせたいの?」

「シャワー浴びてくる?」

「あの時の大輝に
 6年後はこんなになるよーって
 教えたいね。」

「バーカ。早く行けよ。」

照れる大輝に小突かれ、
すずめは風呂場に向かった。

風呂場は、
あの石けんの香りが仄かにする。

そしてその石けんで洗うと、
自分の肌も、その香りになる。

くんくん。

洗い上がりの自分の腕を嗅いで

「一緒だなぁ。」

と、すずめは呟いた。

他の匂いがするものは
つけたくなかった。


そのまま部屋着に着替え、

ソファベッドの上で
音楽を聴きながら
雑誌をめくっていた
大輝の横に座った。


作品名:続々・香り 作家名:りんりん