魔法少年とーりす☆マギカ 第十話「グリーフ・ラッシュ」
ときわランドマークタワー、非常階段の地上階。 草色の光と共に真新しい金属扉と立ち入り禁止の張り紙は容易く吹き飛び、転がる空のビグリューカラムと共に、荒れた金髪は姿を現した。 砕け散るガラス製。 ドラム缶が拉げる様な暴音を立てて転がる扉。 百メートルも無い目前には短い黒髪が身体を擡げ、薄紅混じりの黒煙が小柄な少年と思しき和風姿の負傷を覆って行く。
「久しぶりだな、キク」
何者にも見せた事は無いであろう、魔女的で口元が歪み、狂った様に視線の定まらぬ草色の瞳。
アーサー・カークランドのその笑みは、恐ろしいまでに全身に満ち、恐ろしい程に狂気的だった。
作品名:魔法少年とーりす☆マギカ 第十話「グリーフ・ラッシュ」 作家名:靴ベラジカ