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オダワラアキ
オダワラアキ
novelistID. 53970
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募る想い

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(頼まれごとって…姪の偵察かよ…。まあ、タダ飯に釣られて行く俺が悪いか…)
獅子尾は、重い足取りでマンションへの道を歩いていく。
(合い鍵で勝手に入れって言ったって、万が一事の最中とかだったらどーすんだよ!つーか、10代の男子なんて彼女といたらその事しか考えてないだろ。俺だってチュンチュンのそんなとこ見ちゃったら、更に傷えぐられるっつーの!)
そんなことを考えるが、本当に嫌だったら断ればいいはずで、それをしなかったのは、卒業式以来のすずめに会いたかったからに他ならない。
そうこうしているうちに、マンションに着いてしまった。
ここに来るのはゆきちゃんに頼まれた家庭教師以来だな…などと思い出に浸る。
が、どうしても勝手に入ることは出来ずに、仕方なくチャイムを鳴らす。

待つこと1分…インターフォンに出るまでにそこまで時間がかかる時点で、予感が的中したことを悟った。
宅急便だったら、不在票置いて帰るぐらいの長い間だ。
『はい…どちらさまですか?…って、先生!?』
懐かしいすずめの声が、インターフォン越しに聞こえる。カメラで顔を確認したのだろう。驚きとどこか懐かしむ響きがあった。
「え…と、久しぶり…ちょっとゆきちゃんのおつかいで…開けてもらえるかな?」
『は…はい』
とりあえずすずめの顔だけ見て、あとは言われた通りに忘れ物を取りに来たのを装って帰ればいい。
ドアが開いて、すずめを見たとき、やっぱりこんな頼まれごと受けるんじゃなかったと心底後悔した。
頬は赤く染まってるし、目は潤んでるし、髪は乱れてるし、おまけに付いたばかりだと思われるキスマークまで見てしまった。
「久しぶりだ…な…」
「は…はい…先生も元気そうで…」
「馬村来てるって聞いたけど?」
「え…と、どこだろ…トイレかな?」
獅子尾は深くため息をつく。
「あのな…君ね…一言言わせてもらうと、いくら彼氏でもそんな隙のある服着てると、襲われるよ?」
獅子尾の言葉で何かを思い出したように、顔を真っ赤にさせて俯く。
(そりゃあ、もう襲われたか…。馬村は…十中八九トイレだろうな。状態から見て最後まではしてないだろうし…はぁ〜帰りて〜…)
この子が、どんな風に触られるとどんな風に乱れるのか、そんなことを想像させられる。
獅子尾にはそんな権利などないのに、馬村のことを殴ってやりたいとさえ思う。
「あ、ゆきちゃんからメールだ…。忘れ物やっぱり大丈夫だって。悪かったな…じゃあもう行くわ」
入ってもいないメールで、嘘をつくぐらい、この場から逃げ出したかった。
(ゆきちゃんめ…やっぱりわざとだろ)

「ど…ど…、どうだった!?」
獅子尾が店に戻るなり、諭吉の質問攻めにあうが、はなから真面目に答える気はなかった。
「うん?まぁ…仲良くしてたよ?」
「はぁ!?どういう意味だよ?なあなあ。やっぱりなんかあったのか?」

(俺の傷が癒えた頃に、教えてやるかな…何年後になるか分からんけど)
獅子尾はまた本日2度目の深いため息をついた。

fin
作品名:募る想い 作家名:オダワラアキ