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オダワラアキ
オダワラアキ
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もう少しだけ待って

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ひるなかの流星【もう少しだけ待って】
馬村とすずめ、土牛とゆゆか4人でのWデートのお話。


今日は朝から、雪がパラパラと降っていた。
せっかく馬村とデートの約束をしている日曜日。
晴れていたら、遊園地に行くはずだった。
しかし、たまにしか会えないのに、会う予定をキャンセルするつもりはお互いなかった。
雪がパラついている為外は寒く、歩いていても身震いするぐらいで、2人が滅多に行かない映画館に足を運んだのもその為だった。


「なに見る?でも、結構混んでるね…。今の時間からすぐ見られるのにしよっか〜」
「そうだな…だと、すると…これか…」
「うん。私チケット買いに行ってくる!」
「じゃあ俺、飲みもんとか買ってくるわ。ほら、チケット代」
「ありがと!じゃあ買ったら、またここ集合ね」
そう言って、すずめはチケットカウンターへ、馬村はかなり並んでいる売店へと行った。
馬村は外にいるときに、すずめのことをあまり女の子扱いしない。すずめがそう望んでる節があるからだ。
それでも、たまに出てしまう甘い雰囲気は隠しようがないけれども。

先に戻ったすずめは、混み合っている売店へと視線を向けていると、後ろから肩を触られた。
「やっぱり!あんたが映画なんて珍しい!なに、馬村くんとデート?」
「ゆゆかちゃん!何してるの?」
「そんなの、見ればわかるでしょ!?」
と、視線の先には土牛の姿があった。
(そっか…うまくいってるんだ…。良かった)
すずめは、土牛にあまりいい思い出がないが、とりあえずゆゆかの好きな人だから、悪い人ではないのだろうと、ぺこりと頭を下げる。
「すずめちゃん、久しぶりだね。いつかはごめんね」
そこへ、売店に行っていた馬村が驚いた様子で戻ってくる。
「あ、馬村〜。ゆゆかちゃんたちに会ったよ〜」
「ああ、見ればわかる」
「あんたたち、なんの映画見るの?あ、これかぁ、じゃあ一緒ね!」
「そうなの!?じゃあ映画見たら上のアミューズメントパーク一緒にどう?」
すずめは、馬村にチラリと視線を向けると、馬村は了解の意味で頷いた。
すずめのオフ日は、ほとんど馬村と過ごしている為、ゆゆかとは電話では話すが、全然会えていないことを知っていたからだった。
「私たちも、元々そこ行くつもりだったのよ」
「じゃあ映画終わったらね〜」
映画は指定席のため、予約で前もってチケットを取っていたゆゆかたちは真ん中のいい席へ、当日券のすずめたちはゆゆかより3列前になった。

始まって10分もしないうちに、すずめは寝息を立てて寝てしまっている。
(やっぱりな…)
馬村はため息をつきながらも、すずめの頭を自分の肩に乗せると、手を繋いだ。


映画は、ゆゆかがずっと見たかった邦画のラブストーリーで、本当なら画面に釘付け…のはずが、開始数分で寝て、彼氏の肩まくらにもたれかかるすずめのことが気になって仕方がなかった。

羨ましいと思った。

すずめはどんなことでも素直で、馬村と2人でいる時も甘えているに違いないから。
自分にはその素直さがまるでないから。

隣にいて、手を繋いでほしくても、恥ずかしくていい出せない…ゆゆかは、そんな自分が嫌いだった。

映画に集中出来ずに唇を噛み締めているゆゆかを、土牛が心配そうに覗き見る。
そして、ゆゆかの手を取り手のひらに『大丈夫?』と書いた。
ゆゆかは、そのまま手をキュッと握るとコクリと頷いた。

やっぱり映画の内容は、さっぱり頭に入ってこない。



「映画なかなか面白かったね〜」
土牛が言うと、女子2人の目が泳ぐ。
「そ…そうです…ね。あの銃撃戦とか…凄かったで…すね?」
「バカ…あれは違う映画の予告だ」
すずめは馬村に言われ、じゃあ馬村どんな話なのか説明してよと詰め寄る。
「俺は、寝てるおまえの世話で忙しかったんだよ!ほら、上のアミューズメントパーク行くんだろ?」
馬村はほらとすずめに手を差し出すと、すずめも当たり前のようにその手を取った。

「俺たちも行こうか?」
「あ、うん」
土牛はゆゆかの手を掴むと、馬村たちの後ろを歩き出す。

エスカレーターに乗ると、はしゃぐすずめが落ちないように繋いでいた手を腰に回した。それを後ろで見ていた土牛が、笑いながら話しかける。
「馬村くんってさ〜」
「えっ…はい?」
突然後ろから自分の名前を呼ばれたので、馬村は驚いて振り返る。
エスカレーターを降りて、受付に並びながら話の先を促す。
「いや…馬村くんは、そーいう甘々な雰囲気隠そうともしないんだな〜って、ちょっとビックリした。イチャつくカップルとか嫌いそうに見えるから」
馬村もすずめもイチャついている意識は全くなかったので、2人で目を合わせて首をかしげる。その間も繋いだ手を離すことはなかった。
「イチャついてるように…見えます?」
「うん…かなり…。ゆゆかちゃんが羨ましそうに見るぐらいはね」
「はっ!?別に羨ましそうになんか見てないわよ!」
ゆゆかが、心外そうに土牛を見る。
馬村は少し考えるように、天井を仰ぎみる。
「あ〜俺が心配なだけ…ですよ。こいつ、ちょっと目を離した隙に遭難するし、田舎育ちだから、人混み苦手で…避けられなくて色んな人にぶつかるから」
ゆゆかもそうだそうだ、とでも言うように、首を縦に振る。
「えっ…遭難って…、私、そんな心配させてるの?」
「おまえ…自覚なしか…」
馬村はため息をつくと、すずめを見て薄く笑った。

「ふーん、そっかぁ。…でも、映画館ですずめちゃんのおデコにキスしてたよね〜」
土牛がニヤリと笑って言うと、馬村は真っ赤になって凍りつく。


映画館の上の階、2階〜4階にあるアミューズメントパークは、ゲームセンターやボーリング、バッティングセンターまでもが全て室内にあり、何時間遊んでも料金は一律という、若者向けの施設だった。
4人は受付をしてから、パーク内のバッティングゲームで遊んだ。
ゆゆかは見ているだけだったが、すずめが100キロの球でホームランを出し、誰よりもうまかったことは言うまでもないだろう。
「あ〜もう、楽しい!ね、馬村!」
「そりゃ、良かったな」
はしゃぎながら笑って馬村を見ると、馬村も笑う。
馬村と土牛がゲームをし、順番待ちのすずめがゆゆかの隣に腰を下ろす。
「ゆゆかちゃん、先輩とうまくいってるみたいで良かった」
「まぁね…。でもあの人、私みたいな大学生と違って社会人だからさ、忙しいけどね」
あんたのとこと一緒だけど、とゆゆかは言う。
「ねぇ…あんたさ〜」
ゆゆかはどうしてもすずめに聞いておきたいことがあった。
「なに?」



「みなさーん、私ちょっと疲れちゃったから休憩〜」
バッティングゲームを1人で4回もやっていたすずめは、疲れからフリースペースの椅子に腰を下ろす。
「じゃあ、ちょうどお昼だから、ご飯にしようか?俺まとめて買ってくるよ。何でもいい?あ、ゆゆかちゃんも待ってていいよ」
土牛がアミューズメントパーク内にある、ハンバーガー店へ向かう。
「おまえは、はしゃぎすぎなんだよ…仕方ねぇな…座っとけ」
馬村は全員分の飲み物を買いに、自動販売機へと歩いていく。
「あ、私も手伝う」
「いってらっしゃーい」
ゆゆかも馬村の後をついて行く。