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オダワラアキ
オダワラアキ
novelistID. 53970
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もう少しだけ待って

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人数分のお茶を買い、すずめの待つ席へ戻る途中、ゆゆかが馬村に話しかける。
「ね〜馬村くん…ちょっと聞きたいんだけどね…。あのさ…すずめちゃんと、して、何か変わった?」
そう聞くと馬村は驚愕の表情を浮かべ、次の瞬間何を思い出したのか真っ赤になる。
いくら色々なことがバレバレとは言え、そんな話が出来るほど図太い神経は持ち合わせていない。
「はっ!?な、んでそんなことおまえに言わなきゃなんないんだよっ!そーいうのって、女同士の話だろっ!」
馬村に睨まれ、一瞬押し黙るがゆゆかは負けなかった。
「ふーん、すずめちゃんは教えてくれたけど…」
とチラリと馬村を横目に見る。
「えっ…」
「聞きたい?」
分かりやすく動揺した馬村に、さらに追い討ちをかける。
「馬村くんも教えてくれたら、すずめちゃんがなんて言ったか教えてあげるわよ?」
ニッコリ笑うゆゆかに、馬村は恐怖した。こいつやっぱりすずめと類友だと。
「つーか、何で、そんなことが聞きたいんだよ…?自分の彼氏に聞けばいいだろ」
「彼氏とはまだ、だから。男の人ってさ…1回やっちゃうとそういうのばっかりになるって言うじゃない?まぁ、馬村くんは違うんだろうけど…。だから…Hした後も気持ちはそんなに変わらないもんなのかなって思って。した後、すずめちゃんのことそういう風にしか見られなくならない?」
ゆゆかは真面目な顔で、馬村をジッと見つめる。
「別に…する前から、俺にとってはそういう存在だったから…。やらしい話だけど、おまえの言う『そういう風』にしか見てねぇよ。泣きそうな顔してたら抱き締めたくなるし、笑ってても抱き締めたくなるし。ただ…」
「ただ…?」
馬村は一呼吸吐いて、顔を背けると真っ赤になりながら、吐いて捨てるように言った。
「好きが、愛してるに変わったぐらいだろ!」
もうこれ以上は話さないぞと言わんばかりにゆゆかを無視して先を急ぐ。
フリースペースに座っているすずめの場所に、知らない男が近寄っていくのが見えた。
馬村は慌てたように、すずめの所に戻り、買ってきたペットボトルをドンッとテーブルに音を立てて置いた。
「俺の連れなんですけど…?何か?」
「あ、馬村〜?なんかね〜この人アイス買ってくれるって〜」
「はぁっ!?おまえ…分かりやすいナンパに引っかかんじゃねーよ!」
アイス云々と話しかけてきた男は、そそくさとその場を立ち去った。


ゆゆかが、土牛が4人分の食事を持ってくるのは大変だからと、ハンバーガー店に迎えに行くと、土牛はちょうど会計を済ませたところだった。
「ゆゆかちゃん…さっき、馬村くんと何話してたの?」
心配そうに尋ねる様子は、とても学園の王子とは思えない。
(この人…本当は、自分に自信なんてないんだろうな…)
「あの2人のノロケ話聞かされてたの」
「ふーん」


午後も目一杯遊んで、16時なる頃には4人ともクタクタだった。
ご飯を食べてから帰る、というすずめ達と別れて、ゆゆかは土牛と駅に向かう。
「馬村くんってさ〜すずめちゃんのこと大好きって見てるだけで分かるのよね…つうか、すずめしか眼中にありませんって感じ!」
「俺だってゆゆかちゃんのこと大好きって、見てるだけで分かると思うけどなぁ」
「先輩は…そのプレイボーイっぷるの止めたら、そう見えるかもね」
「プレイボーイって何よ…。俺はいつも超真面目です。でも、ゆゆかちゃん…2人っきりじゃないと全然甘えてくれないからなぁ。俺としては寂しいかな」
「だって…恥ずかしいし…あの2人みたいなのは、無理よ…」

(わたしだって、すずめちゃんみたいに素直になれたらって、思うけど…)

「ゆゆかちゃんは、そのままでいいよ…。俺は素直じゃないゆゆかちゃん好きだよ。ほら、その分俺が素直でいるからさ」
ほらと手を出されて、ゆゆかはその手をギュッと握る。
その手を強く引かれて、土牛の胸に倒れこむ。
「これぐらいは大丈夫なんでしょ?」
抱き締められ、ゆゆかは頷きながら土牛の肩口に顔を埋める。
「Wデートはもういいかな…次はゆゆかちゃんがいっぱい甘えてくれますように…」
そういえば…と、ふと思い出したように抱き締められたままゆゆかが言う。
「すずめちゃん、途中から帰りたそうだったわよね?」
疲れてたのかな…と心配そうに話す。
「あぁ、あれはしょうがないよ…。お昼の時、すずめちゃんナンパされてたでしょう?それにムカついた馬村くんがすずめちゃんを苛めたからだよ」
「苛めた…?馬村くんが?」
まさか…と訳も分からず聞き返すと、土牛がこっそり耳打ちしてくる。
「………」
ゆゆかは真っ赤になりながら、目をパチパチさせる。
「俺たちはゆっくりしようね…。待ってるからね」
ゆゆかは赤面のまま頷くしかなかった。


(あ、そういえば…馬村くんにすずめちゃんが何て言ってたか教えるの忘れちゃった…。まぁいいか。2人とも同じ気持ちだってことだもんね。
〝したら、もっと好きになるよ〝って)


fin