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【タグお題】Zの最期の日

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 目的のブツは確か入口から数メートルの右側にあったはずだ。見渡す限り緑ばっかりで場所関係の把握が難しいが、あんな怪植物見逃しようがない。確かこの辺、という場所にきて探し回ったが、見つからなかった。そういえば、前回俺が喰われたヤツは預かりものだとか言ってたっけ。だったらもうないのか。
 頭を抱えた時、生い茂る観葉植物の向こうから緑の暖簾を潜って巨体の旦那が現れた。
「ザップじゃないか。会議に出てこないので心配していたが、大丈夫だったか」
 ヤベッ。いや、むしろチャンスだ。旦那に対するレオについての言い訳は考えてある。
「スイマセン、クラウスさん…来る途中でレオのヤツが怪しいモン拾い食いして、知り合いの医者に見せたらマリマリ何とかっつう…前にここら辺に置いてあった食人植物、アレを噛ませれば治るらしいんすよ」
「それは大変だ」
「そうなんす、大変なんすよ!なんで例のヤツがあったら、なくても持ってる旦那のお友達を紹介してもらえないかと思いまして……」
 背中で酔っぱらいが「にゃー」とか言うんでひっそり舌打ちした。何もわかってないから都合の悪いことも言わないだろうが黙ってろ。
「それはそれは困ったな」
「そうなんすよ、困ってるんす…よ」
 その声は背後から聞こえた。背筋が凍る。俺はギイギイ音がなりそうな程硬い動きで後ろを省みた。
「やあ、ザップ。重役出勤ご苦労様」
「スターフェイズさん、あの、その、これはレオが拾い食いを…」
「そうかそうか困った子だな。ところでさっきレオナルドから着信があったんだがすぐ切れてしまってね」
「あーそうっすね…間違えたとかじゃないっすかね…」
「ひどく酔っ払ってるみたいだから無理もない」
 背中のチビを取り上げて抱きかかえた。正直男なんかと密着するシュミはないので一日中背負っているのが苦痛でしかなかったが、今この瞬間だけは離したくなかった。だが拒否権はないので縛っていた血糸の帯を解く。
「おや?アルコール臭は全くしないようだね?」
「それは、ほら、あれっすよ、拾い食いしたやつで…」
「ほう、何を食べたんだい?」
「それは、えーっと……なんかこういう…」
 そこまでは考えてなかった。手で今朝の女の巨乳ぐらいの球を示す。メロンぐらいのやつ。
「そういえば今朝はレッドネイルズのイザベラ・スウィントンのところにいたそうじゃないか」
「何で知ってんすか?!」
 思わず叫んで同時に失敗したことに気づいた。イザベラはその道じゃ結構有名な女だ。レオには住所しか伝えてないはずだが、所属してる店のすぐ近くに住んでるもんだから、今朝の電話の横にいたのが番頭だったならバレていてもおかしくない。
「さて、彼はどうしてこんなことになっているのか、忘れてしまったからもう一度事務所の方で説明してくれるだろうか」
 神様なんか信じちゃいないが心の中で十字を切った。旦那の大事にしている温室から事務所に引っ立てられる。
 番頭に抱えられた酔っぱらいは上機嫌でニャーニャー言いながら男前の顎を触っているが、そいつは猫じゃない。癒しとは程遠い悪魔だ。頼むからこれ以上火に油を注ぐようなことをしないで酔っぱらいらしく眠り込んでくれ。
 温室を抜けるまでの十三階段を神様にお祈りしながら歩いた。