HappyBirthday
「ただいま~」
そこへ諭吉が帰ってきた。
「あ、おじさん、グラタン温め直そうか?」
「…馬村くん、我慢強いね。」
「「は?」」
まだダイニングで食事をしてて、
何も進展してなさそうな2人を見て
諭吉はホッとした。
少しの間、3人で食事をし、
最後にケーキを出した。
「これはオマエじゃないよな?」
「これはおじさん作です。」
「すずめにやらせようとしたんだけど
卵何パックあっても足りないから。」
相当材料の無駄遣いをして、
結局作れなかったらしい。
「そうは言っても
メレンゲって難しいんだよ。」
メレンゲ?ってなんだろう。
「はい、馬村。しつこいけど
お誕生日おめでとう。」
すずめは切り分けたケーキを渡して言った。
「馬村くん、おめでとう。」
「ありがとう…ございます。」
諭吉のケーキは、甘くなく、
サッパリとして美味しかった。
「あ、美味い…です。」
「よかった、お口に合って。」
「ゆゆかちゃんもおじさんのケーキの
ファンなんだよ。」
「一応プロだからね。」
3人でケーキを食べ、
コーヒーを飲んだあと、
「じゃあそろそろ」
と馬村は席を立った。
「もう遅いから玄関でいいから。」
見送ろうとするすずめに
馬村は言った。
すずめは少し残念そうな顔をしたが、
「じゃあ、土曜日、一緒に出かけよう?」
と誘った。
土曜日はバレンタインだった。
「わかった。
じゃあ、ごちそうさまでした。」
「うん。気をつけてね。
またおいで。」
「はい。お邪魔しました。」
そう言って馬村はすずめの家をあとにした。
「いやあ、馬村くんは礼儀正しいね。
我慢強いみたいだし。うん。」
我慢強い?ってどういうことだろう?
とすずめは思ったが
諭吉が馬村を気に入ってるようで
すずめも嬉しかった。
「よし、次はバレンタインだ!」
気合いを入れるすずめの後ろで、
「ハイハイ。協力しますよ。」
とため息をつく諭吉だった。
作品名:HappyBirthday 作家名:りんりん