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距離

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「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

ケンカなんてしたくないのに。

携帯をのぞき込む。

メールしようか…

何て?


「「あーーーーーっもう!」」


2人は玄関を出て走り出した。


「わっ!」

「えっ!」

出会い頭に人に
ぶつかりそうになって
びっくりした。

さっき別れた道に、
お互いの想い人が息を切らして
立っていた。

「オマエ何やってんだよ。」

「馬村こそ!」

「オレは…わかんねえけど、
 とりあえずケンカは嫌だと思って…」

「会いに来てくれたの?」

「なんだよ。悪いかよ。」

「いや…嬉しいよ。」

すずめが頬を染めて
俯いて嬉しそうにする。

「ほら!それが爆弾だっつってんだよ。」

「は? 意味わかんないよ。
 嬉しいって言ったらダメっての?」

「そういうかわいいこと言うと、
 オマエが心の準備できるまで
 我慢できなくなるっつってんの!」

「かわっ!////」

「いい…?」

私が?

「なんでこんなこと言わなくちゃ
 いけねえんだよ。
 気づけよ。マジで。」

馬村は真っ赤になって
手で顔を隠した。

「だから衝動で動けない距離
 保ってたってのにオマエは!」

「えと…ごめん?馬村…」

「オレの努力をわかれよ。バカ。」

自分が素でやってることで、
馬村がそんな気持ちになるなんて
思いもしなかった。

どうしよう。

馬村に我慢させないほうがいいの?

「でもこれ知ったからって
 無理して心の準備
 しようとすんなよ?」

すずめの心を読んだかのように
馬村がすずめの思考を制した。

「えっでも…」

「オマエがそう考えると思ったから
 言わなかったんだよ。
 自然に思うようになるから。
 今言ったことは忘れろ。」

「馬村……」

「ギュッとするのもダメ?」

「い…今はマズイ。」

やっぱり2人には距離がある。

でもそれは、馬村が自分を大事に
してくれるための距離だ、
とすずめは思った。

「わかった。」

自分にいつ心の準備ができるかわからない。

こういう話を聞いてもまだ
自分と馬村がとか想像できない。

「待たして悪いとか考えんなよ?」

「オレは100%オマエがオレに
 預けてくれる時じゃないと嫌だ。
 だから無理してそうなっても
 嬉しくねえから。」

「…うん。」

馬村の気持ちが嬉しかった。

私は本当に幸せ者だ。

その時、自分が最高に
馬村を幸せにできるよう、
ちゃんとこの恋を育てていこうと
すずめは思った。

触れることもないまま、
「じゃあ、また学校で。」
と、この日2度目のバイバイをした。

だけど最初の時よりも
すずめはうんと心が満たされていた。

この微妙な距離が、
触れたい、触れて欲しいという
すずめの気持ちを育てていくことに
なるのだけど。

まだまだしばらく我慢我慢の馬村だった。
作品名:距離 作家名:りんりん