辰馬×銀時
『なんでそんな暗い顔してるんじゃ金時!!
しばらくわしと会えないからって泣くんじゃないぞ金時!アハハハハハ!!』
『それにわしゃ自分の船だけでなく旅行用の船にも乗るきに 運が良ければ会えるかもしれないぜよ!』
(なんだ…少し安心した。まぁ船に乗る金なんかないけどね)
「誰が泣くか…!それにお前と違って俺は金なんかねぇ!!船なんて無理に決まってるだろ」
『アハハ‥ そりゃ残念じゃのぅ』
辰馬目線――
寂しがってほしいなんて
無理な願いぜよ
寂しいのはわしの方じゃ…
こりゃ次会える日まで気持ち押さえられそうにないのぅ
だから今のうちに…
そしたらこれからの日々
もっと頑張れるきに、このわがままだけは受け取ってほしいぜよ…銀時
銀時目線に戻る――
(寂しいけど会える日まで頑張ろう
…寂しいのは俺だけか)
『銀時 ちょっとこっちにくるぜよ』
「…?何だよ?たつ……んッ!!」
辰馬は銀時にキスを落とした
風に舞う桜の花びらのように優しく 少しだけ長いキス
((すまんのぅ…銀時。愛してるぜよ))
満足した辰馬はゆっくり唇を離した
「……辰馬…ッ?」
『じゃあわしゃそろそろ行くぜよ』
銀時に背を向け歩いていく
「え?…おっ おい待てよ辰馬!!」
最初は突然すぎて何がなんだかわからなかった銀時だが
やっと今起きた事を理解したようで、逃げるように去った辰馬を追いかける
(何だよ‥アレ。あの野郎…不意打ちなんてずりぃ。…つか今まで我慢してた俺はどうなる訳? あーッ糞!!!)
「ハ…ッ 待てってば!」
『ん?なんじゃ銀時……ッ!!?』
今度は銀時が振り向きざまの辰馬にキスをした
辰馬が落としたキスとは真逆の乱暴なキス
でもそのキスには銀時のありったけの気持ちがこもっており
もちろん辰馬に伝わっていた
『……ッ!!なにするんじゃ銀時!?』
「何するんじゃじゃねーよ!!
なんだよさっきのあれ!
不意打ちすぎるだろ…
しかも今までお前への気持ち押さえて我慢してた俺が馬鹿みてぇじゃねぇか…だから仕返しだ!!///」
『ほうか…悪かったのぅ。わしも押さえてたんじゃが…最後の最後で我慢できんかった アハハハ』
「アハハハじゃねーよ!つーか…あれ?何コレ‥
俺たちー…両想い…?」
『そうみたいじゃな!!向こうに行く前に銀時からキスされたなんて最高の思い出ぜよ!いやー まっこと愉快じゃ!!アハハハハハ!!』
「だー!!俺からとか言わなくていいから!恥ずかしいから…//!」
『お?なんじゃ照れてるのか銀時!可愛い奴じゃのぅ』
ギュッ―――
少し強く銀時を抱きしめ辰馬は言葉を続ける
『わしゃ諦めが悪い男きに‥。もう一度……もう一度だけ聞かせてほしいぜよ。――わしと一緒に来んか?銀時』
(そうか…俺たち両想いなら一緒に行っても――…でもやっぱり駄目だ)
「いや…さっきも言っただろ?お前が落ちてきたら釣り上げるって。
隣で支えるのはこれからつくる仲間でもできる…でも落ちてきたお前を釣り上げれるのは俺だけなんだ。
だからすげぇ寂しいけど、俺はここでいつでも釣り糸たらしててやる。」
((本当にコイツは…。))
『…わかったぜよ。しばらくは会えんが 次会える日まで待っててくれよ?銀時』
「あ…あぁ///」
((まっこと可愛い奴じゃ…))
『好きじゃ銀時……愛してるぜよ』
「ーッ///!! あぁ俺も大好きだ。――愛してる…//」
辰馬の顔が銀時に近づき、互いに目を閉じ再びキスをした。
一度ではなく 二度、三度と…次会える日までの時間を埋めるかのように―――
『よしっ じゃあまたのぅ銀時!浮気なんかしたら許さないきに!!アハハハ!』
「お前こそっ!!…じゃあまたな 辰馬」
『あぁ…』
銀時を愛おしそうに見つめながら優しく髪を撫でると
今度こそ辰馬は宇宙(そら)へと旅立った。
そんなやりとりをしてから早数年―――
"万事屋銀ちゃん"を営みながら今日も怠そうにしている銀時
隣には新八
神楽は買い物に出ていて今は居ない。
つけているテレビには
"宇宙旅行の旅"
なんていうCMが流れている
(宇宙旅行…か。――そろそろ帰ってくるかな、あの馬鹿。俺は船乗る金もないしなぁ…)
「どうしたんですか?銀さん。なんか元気ないですよ?」
駄メガネの新八に言われた
「んー?んなことねーよ。
つーか新八ー。お前さ、宇宙旅行行く金とか持ってる?」
「は!?なんですかそれ…。今のテレビの事ですか?そんなお金あるわけないじゃないですか。お給料も貰ったことないのに…。」
「だよなー。ある訳ねぇよなー。駄メガネだもんなー。」
「ちょっとォオ!!そこメガネ関係ないでしょ!!!」
(はぁ…そろそろ寂しいんだけどな銀さん。会いてぇな)
「って聞いてますか銀さん!無視ですか!?まったく…」
この数分後
"ケツ拭く紙"は忘れたが
福引きで当たった
"宇宙(そら)を飛べる紙"
を持って神楽が帰ってくるのである
が、このときの銀時はそんなこと予想もしていなかった――――――。
END