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ファーストステップ

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カフェから家まで馬村に送ってもらう途中、
馬村がすずめに言った。

「あのさ、合格祝い、
 何かしてくれるって言っただろ?」

「あっうん!」

「あれ、リクエストあるんだけど。」

「えっいいよ。高いものは無理だけど。」

途中の公園に腕を引っ張られて入った。

「?馬村?」

馬村がジッとみつめる。

改めて見ると、
馬村ってかっこいいんだなぁと
すずめは思った。

「あんまり見るな///。」

「えっでも馬村が見るから…」

「わかってるけど。
 見られると自分からしたくなるから。」

「?何を?」

「キス。」

「えっ!!//」

「合格祝い。キスがいい。」

「えっ?!////」

思わぬリクエストに、
すずめは真っ赤になった。

「わっわたしから?」

「うん。ダメ?」

「えっダメって言うか…」

モゴモゴすずめは口ごもる。

「したくない?」

「そういわけじゃっ…///
 恥ずかしい…けど。」

「じゃあ、祝ってくれんだろ?」

「~~祝うって言ったけど…」

すずめははぁっと息を吐いて、
「じゃ、じゃあ。目、つぶってて。」
覚悟したように言った。

「わかった。」

馬村はベンチに座って
目をつぶって待った。

月明かりで馬村の綺麗な顔が照らされる。

やっぱりジッと見つめてしまう。

しばらく見惚れていると、
馬村は片目を開けて、
「まだ?この体勢でまつの、
 いい加減恥ずいんだけど。」
としびれを切らして言った。

「あっごめん!今度こそ。」

もう一度目をつぶってもらい、
すずめはスーハーと深呼吸した。

そして馬村の肩に軽く手を置き、
ゆっくり唇を近づけてキスをして、
自分も目をつぶった。

じわっと唇から、
温かい気持ちが流れ込んでくるようだった。

近づけたのと同じくらいゆっくり、
名残惜しそうに唇を離し、
目を開けて、「合格おめでとう。」
と馬村に言った。

馬村はすずめの腕を引いて
ぎゅっとすずめを抱きしめ、
「ありがとう。
 学校違ってもずっと
 大切にするから。」
と囁いた。

「だからもう一回。」

甘えたように言った。

「えっ!」

すずめは言葉では躊躇ったが、
今度はお互いに近づきながら
長いキスをした。

「オレ、こういうこと
 する気ないって言ってたのにな。
 オマエを前にすると無理だわ。
 自分にこういう気持ちがあるなんて
 高校でオマエに会って初めて知った。」

「わたしも馬村に会って
 初めて知った気持ち、
 たくさんあるよ。」

「オレもこの高校来てよかったって
 オマエに会えてよかったって思ってる。
 オマエがいない生活なんて
 マジ考えられねえ。
 違う生活の中でも会う時間も
 話し合う時間もちゃんと作るから、
 何があってもずっとオレと一緒にいて欲しい。」

馬村にそう言われて、
ただでさえ緩んでいたすずめの涙腺が
また崩壊した。

「えっ、うわ!また泣いてんのかよ。」

「だって馬村がそんなこと言うからぁ~」

「そうあんまり悲しむなよ。」

「ちがっ…嬉しくて…
 わたしもずっと一緒にいたいよ。」

すずめがそう言うと、
馬村からもう一度キスをして、

「ヤバイ、これ以上ここにいると
 帰れなくなる。また続きは今度な。」

と言った。

二人は立ち上がり、
手をつないで帰った。

卒業は別れではなく、
この先永く一緒にいるための
ファーストステップにしようと
思いながら。
作品名:ファーストステップ 作家名:りんりん