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ジメジメ

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大輝side
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高校を卒業して3ヶ月。

梅雨に入った。

毎日しとしとと雨が続いている。

気温も高くなり、
蒸し暑い日々。

久しぶりにバイトも学校もないので、
すずめと約束をした。

と言っても、この雨なので、
室内しか無理だ。
外にいると不快指数があがる。

映画のあと、うちに呼んだが、
家の中もそうとう蒸すので、
とうとうエアコンを入れた。

「悪りぃな。暑くて。」

「まだ6月なのに毎日暑いねー。
 うちも結構暑いよ?」

すずめの長い髪が、
汗で額や首に張り付いていた。

エアコンの真下で風に当たって、
「ほわー!気持ちいい!」
と、色気のない声を出しながら、
本当に気持ちよさげな顔をする。

声とは裏腹に色気を感じるオレは、
なんだか最近、我慢の限界がきている。

家に連れてきたのは失敗だったか?

そういやいつだったか、
心の準備ができるまでって言われたけれど、
それはいつになったらできあがるんだろう?

そしてできあがったとして、
どうやったらそれがわかるんだろう?

コイツのことは大抵わかると思っているが、
そういうことはよくわからない。

「髪、汗で濡れてる。風邪ひくぞ。」

と髪に触れると、ビクッとされた。

まだ嫌なのか…

怖がらせたくないし、大事にしたい。

と思う反面、

自分も男なので、
そろそろ準備終わって欲しいんだけど、
と思ってしまう自分もいる。

とりあえずタオルを取ってきて
頭をガシガシ拭いてやる。

「わっ!大輝?」

付き合ってもうすぐ2年になる。

2年でようやく名前呼びとか。

あーーーーっもう!

少しイラッとして、
拭いていたバスタオルで
ガッとアイツをくるんで
濡れた髪が見えないよう
ホールドした。

「わっ?苦しいよ!大輝?」

ホールドしたままタオルの上から
キスをする。


そういや、猿丸が、
大学に入ってできた彼女と
そういう関係になった、と
聞いてもないのに嬉しそうに
うちに来て話していったっけ。

根掘り葉掘り、
こっちのことも聞きたがったが
絶対言いたくねぇ。

興味がないわけではない。

ていうか、ぶっちゃけ男だし?

あるにはあるが、

自分がそういう気持ちの時は、
やっぱりすずめも
そういう気持ちでないと、と思う。


どうしたら、そういうふうに思ってくれんの?


そういうシーンの映画観るとか?

いやいや、あからさますぎるだろ。

こればっかりはわかんねえ。


「大輝?どうかした?」

「えっいや…DVDでも観るか?」

「あ、うん。映画尽くしだね。今日。」

「雨だからな。」

結局選んだのは、普通のアクションもの。

一人でがっつきたくないし。

もう待つしかない。

隣に座ってオレ達は映画を観始めた。


作品名:ジメジメ 作家名:りんりん