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靴ベラジカ
靴ベラジカ
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魔法少年とーりす☆マギカ 最終話「ゼア・イズ・ブライト」

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『次のニュースです。 二千××年、○○県あすなろ市ときわ町で発生した小型スーパーセル群同時発生災害から丁度五年となりました。 目覚ましい復興を遂げ、再開発地区に開校したときわ大学敷地内の慰霊碑には今も尚、犠牲者五百三十四名へ花束を手向ける人が後を絶ちません。 現場のサカエさんと中継が繋がっています。
サカエさーん―』

 再開発の計画が頓挫し、不法投棄の温床として打ち捨てられる筈であった旧ときわ廃工場地区。 災害が起きた当時、ときわ町ほぼ全域に被害が及んだ中で最も被害が軽微であった、立ち入り禁止となっていた地区の古びた海港付近で一人、そばの海底で一人、少年の遺体が発見された。
 この地区は当時四年前のときわ快速ライン脱線事故の現場付近でもあった為に、当初は慰霊碑と公園のみが設けられる手筈であったが、用地を探していたときわ町出身の市長による【この町の歴史に残る大災害を忘れてはならない】と言う鶴の一声により、この国立ときわ大学が開校したのである。
 キャンパス内に設けられた立派な慰霊碑と献花台の傍には老若男女問わず、昼時には時折ときわ中セーラー姿の少年少女も訪れる。 あの悲惨な大災害で、何の悲しみも味わうことの無かった、幸運なときわ町民はまず居なかった。

 「もう、五年になるのか」
スマートフォンのテレビ機能をオフにし、スケジュールを確認する、無地の半袖ポロシャツとデニムのスラックス姿の大学生、トーリス・ロリナイティス。 小型スーパーセル… 世間ではそういう事になっているが、厳密には魔女大発生の猛威から、魔法少年達の戦場の最前線から生き延びた当時中学生の少年は、猛烈に勉学に務め、今では同学年でも名の知られたときわ大でも指折りの優等生として、人間の生活を続けている。
 蝉が泣き喚く真夏の昼時。 木陰のベンチが随分と心地良く感じる程の熱気と追想する悲しみが、献花台周囲にも滲んでいた。
 献花と祈りを捧げ終え、眼鏡をかけ奇妙に癖毛が跳ねた金髪碧眼、ガタイの良い、謎の青文字がプリントされた安物の黒Tシャツ姿の青年がベンチのトーリス横に腰掛けた。 本来なら、【彼】の定位置であった席に。
 「花はあげなくていいのかい?」
 「お昼は混むからね。 講義の前にあげて来た」
傍のアルフレッド、親友の次に交流の深かった友人に目配せをし、トーリスは今日の日程を確認しつつ答える。
 午後の講義は無い。 予定外だが有り難いフリーの時間。 くりくりと輝く青い瞳が液晶画面を覗き見る。 金髪碧眼は手持無沙汰にした後、原色で纏まった派手なリュックサックからライトノベルの単行本を捲り始めた。表紙には記憶の中のあの少女と何処となく印象の似た、アニメタッチで描かれた長い金髪緑眼でスタイルの良い少女が、片刃剣を強引に柄と柄を繋げた様な奇妙な武器を携えているイラスト。
 興味を惹かれている友人に向け、態とらしく誇示するようにアルフレッドが見せ付ける裏表紙には、同じくアニメタッチでプラチナブロンドの紫眼をした、黒服からメカニックな金の翼を生やした少年が大きな銃を構えるイラストがあった。
 「マギカ・アンバー、今ホットなラノベなんだぞ! 期待の新人が綴る、萌え萌えOTAKU狙い描写は一切皆無、キュートでセクシーなアンバーと、クールでストイックなアズライトがぶっ続けで繰り広げるエキサイティングな燃え燃え剣と銃と魔法のバトル、腐敗した世界に生きる人々を、生かしも殺しもするハードな世界観… アー最ッ高にクールなんだぞ!」
アルフレッドの熱弁が始まった。 こうなっては暫くは止まらないだろう。 既に亡き魔法少女が、今彼女が予想すらしなかった、ライトノベルの主役と言う姿で生まれ変わっているかも知れない、奇跡の様な偶然の一致。 身勝手な妄想と、これが繋がりある奇跡であったらと願う思いに、トーリスの顔は複雑に微笑んだ。
 「へぇ、見かけたら買ってみようかな」
 「税込八百円なんだぞ! 安い安い実際安い、見つけ次第買うでゲイツ!」
同好の士候補が現れた事に歓喜してか、金髪碧眼は眼鏡の奥の澄んだ青色を更に煌めかせて言う。 急な空き時間にする事が見つからず、トーリスは白熱する友人のアニメ語りを半ば聞き流しキャンパス内の広場をぼんやりと見ていた。
 祈りを捧げる、胸元の肌蹴た赤いドレスシャツ姿をした褐色小麦肌の若い男。 ふと視線がいった。 大波乱を巻き起こしながらも、最期は罪を悔い改め死力を尽くして町中の呪いを祓った、と聞いた、トーリスの日常を粉砕しかけた悪魔、無色の魔法少年による大災害を終結させた、裁きの天使。
 あの深緑の魔法少年をそのまま順調に大きく成長させたような、ゆるくウェーブした肩程の焦げ茶の髪を一つ結びにした青年。
 「…ワオ、もうこんな時間なのかい? 追悼アンソロの執筆が… グッバイトーリス!」
足早に立ち去る友人に手を振り、死者の生き写しの様なヒスパニック系に、茶髪ボブの緑眼は意識を傾け注視した。 あの少年にはよく似ているが、よくよく見れば右目の下に泣き黒子があり、顔立ちもややきりりとした印象の青年だ。
 「…何やあんた、俺の事じーと、どないしたん」
焦げた茶髪の褐色が茶髪ボブを怪訝な目で見返した。 気付けば一礼出来るか出来ないかの至近距離。 トーリスはぎょっとし後ずさるが、怒りを顕わにすると思っていた深緑の生き写しは慰霊碑に刻まれた、アントーニョ・ヘルナンデス・カリエドの名を横目に、間もなく穏やかで侘しく返す。
 「あんたも近しい人、亡くしたんか」