同窓会
「与謝野さん?どうかした?」
ゆゆか狙いと思われていた、男性がすずめに話しかける。
「あ、ううん?なに?」
「あ、いや…。与謝野さんって、まだ馬村と付き合ってるのかな、と」
「うん。付き合ってるよ?」
「そっか…」
高校の頃から、馬村とすずめが付き合っているのは有名だった。
今日のすずめを見て、惜しいことをしたと思っているクラスメートはたくさんいるだろう。
事実、すずめの肯定に肩を落としたのは、聞いてきた男性だけではなかった。
同窓会は、二次会もあったが、すずめたちは一次会のみで帰ることにした。
ヒールでずっと立ちっぱなしなこともあって、すずめが靴擦れを起こしてしまったからだ。
当たり前のように跪き、すずめの踵を膝の上に乗せ絆創膏を貼っている馬村の姿は、まるで少女漫画の世界の執事のようで、全員の視線が注がれていたのだが、本人たちはそのことに全く気が付いていなかった。
とりあえず、何枚かの絆創膏で応急処置をして家路を急いだ。
「ふぁ〜疲れたけど、楽しかったね〜」
すずめはお風呂上がりに、タオル地のワンピースタイプのルームインナーを着用し、大体はそのままパジャマに着替えずに寝てしまうことが多い。
パジャマに着替えさせてもらえない、というのが本当の理由ではあるが。
馬村に至っては、暑いのか上半身裸で、2人で風呂上がりのビールを飲む。
「そうか…?良かったな」
仏頂面でそう言う、最近ヤキモチやきの恋人が不機嫌な理由は、何となく見当がつく。
同窓会も終盤に差し掛かった頃、馬村と付き合っていると何度言っても、酔っ払ってアドレス教えてくれとすずめに懇願してくる男がいたからだ。
すずめが二次会に参加しないと知ると、家まで送ると言いだす始末で、最終的には馬村が、俺たち一緒に暮らしてるからと一蹴した。
色々な意味で、すずめたちカップルは注目の的であったことは言うまでもない。
「なんで、機嫌悪いの?」
理由は分かっているはずなのに、そう言って甘えたように、馬村の腕をキュッと抱き上目遣いに聞くすずめに、馬村は肩を落としため息をつく。
風呂上がりの香りがふわりと漂うと、下着を着けていない胸が、馬村の腕にあたる。
「確信犯だな…」
そういう風に開花させたのは自分だけど。
「おまえ、外で他の奴にすんなよ?」
「するわけないじゃん!大輝仕様だよ」
「俺仕様って…おま…」
可愛い恋人に手のひらで転がされているのも、決して嫌ではない。
覚悟はしていたが、自分はやはりすずめに一生振り回されるんだろう。
「ねえ、今日ね…綺麗になったって、みんなに言われたよ?」
馬村の胸にコツンと額を置くと、逞しい両腕で抱きしめるように腰を支えられる。
「知ってる…」
「そんなに酷かったのかなぁ…高校の頃…ねぇ」
口を尖らせて首を傾げるすずめに、馬村はキスしたい衝動に駆られる。
「あの頃も可愛かったけど、今は…」
「今は…?」
「なんつーか、ヤバイ…」
「えっ!?そこ、綺麗とか言うんじゃないの!?なに、ヤバイって…っん」
言葉の途中ですずめの口を塞ぐ。
「ふっ…んっ、はぁ、ん」
すぐに頬を紅潮させ、濡れた瞳で見つめてくる様は、誰にも見せたくない。
「こういうことしたくなって、ヤバイってこと」
「毎日してて、飽きない?」
「全然。おまえは飽きたの?」
怒ったように聞く馬村が、可愛くて愛おしくて。
「大輝に抱かれるの、好きだもん。でも、もうちょっと手加減して?私、おかしくなっちゃう」
「手加減なんか出来るかよ…」
抱き締める腕に力を込めて、ゆっくりとすずめをベッドに押し倒した。
「大輝、女の子にいっぱい囲まれてて、ちょっとヤキモチ妬いちゃったし…。今日は仕方ないからいっぱいしてもいいよ?」
「普段の俺の気持ちが分かった?いつも妬いてんのは俺の方だから」
そう言って長く深く唇を重ねた。
「そういえば、靴擦れしたとこ大丈夫か?」
「ん…?うん、平気」
「足見せてみ…」
このままHになだれ込むのだろうと期待していたすずめは、突然靴擦れの心配をし出す馬村に拍子抜けさせられる。
「うん…ほら、まだちょっと痛いけ…って、なに?いたっ…」
ベッドに寝転がって足を見せると、馬村は足首を掴んで傷痕を舐めた。
足を上げられたことで、ウェアが捲り上がり腿の付け根まで露わになる。
「…っ、ちょ…いたっ、なにしてんの!?」
「ん?消毒?」
傷痕をピチャピチャと舐められると、背筋にゾクゾクと悪寒のようなものが走る。
「っ、ふっ…ぁん、痛いって、大輝っ」
すずめの声が明らかに痛いだけのものではなくなる。
馬村が足の指の間を舐めると、すずめの身体が震え腰が自然に揺れて、反対の足でシーツを何度も掻く。
「あっ、ん…ダメ、はぁ」
馬村は、すずめのウェアを手早く脱がせると、スリップ1枚にさせた。
「…っ、恥ずかしいよ…」
「いいだろ?俺の趣味」
去年ぐらいからか、誕生日やホワイトデー、クリスマスプレゼントに至るまで、全て下着で。
もちろんそれだけではなく、ちゃんとディナーの予約もしてくれるし、アクセサリーなども貰うが、それら全てに下着がセットで付いてきた。
中でも、下が透けて見える白のスリップは馬村のお気に入りらしく、大きく開いた胸元にはレースがあしらわれ、透けていなければ下着がギリギリ見えるか見えないかぐらいの丈のワンピースのようだ。
絶対にブラをせずにスリップを着ろと替え用も入れてまとめて3枚ももらった。
すずめが、足でシーツを掻くたびに、スリップの隙間から下着が見え、ブラをしていないため乳首がプッツリと立っていくのも透けて見える。
「はぁ…っん、大輝っ、おねが…」
耐えられずに腰を揺らすが、馬村は足の指を口に含むと、さらに指を愛撫した。
「我慢出来なかったら、自分でしてみろよ」
「やぁ…っだ、おねがい…」
涙で瞳を潤ませて懇願するが、すずめの願いは聞き入れてはくれない。
さらに、足に与える愛撫を強くしていくと、焦らされすぎてどうしようもなくなったすずめは、仕方なく自らの手を下着に伸ばした。
「はぁん…っ、やぁ、見ないで…っ」
腰を振りながら、下着の上から人差し指でコリコリと女性器を愛撫すると、じんわりと下着が濡れてくる。
「あぁ…っ、ふっ…ん」
「ほら、自分で胸も触って…」
「あぁっ、はぁ…ん」
プッツリと立ち上がる乳首をスリップの上から愛撫する。
シルクのスリップは、何もつけていないかのような薄さで、乳首を弄ると素肌に直に触れているような快感を得られた。
胸への愛撫を加えると、下着を擦る指が激しさを増し、下着の上からでも、クチュクチュという音が聞こえる。
「も…ダメっ…イっちゃう…っあぁ!」
自身の指で達することは出来たが、身体の奥深くはまだ疼いていて。
「はぁ…ん、早く…」
すずめは誘うように、馬村の熱くなった性器に触れる。
「すずめ…可愛い過ぎ」
すっかり機嫌の直った馬村は、足を上げて太ももの内側にキスをする。
「もぅ、やだ…」
「ごめんって、ちゃんとしてやるから」
すずめは、やっと欲しかったものが与えられて、喜びに震えた。
「てか、馬村くんもすずめちゃんも、見せつけ過ぎなのよ!」