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こらぼでほすと プラント2

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あまり炎天下での活動はやめてくれ、と、坊主だけでなくハイネからも注意されたので、日中は家のことやら買い物なんかの時間にしている。午後に、少し境内の草むしりをやっていたら、リジェネが境内から飛び出していった。何事だろう? と、ニールは首を傾げたものの、まあ、大したこととは思っていなくて、そのまま草むしりを継続する。夏場は、少しサボると、あっという間に草が伸びる。二週間も留守をすると、とんでもないことになっていそうだから、なるべく今のうちに根っこから抜いているのだ。出発は、三日後とのことで、その日の午後に空港からオーヴへ飛び、夜のシャトル便で移動する。翌日の午後辺りにプラントに到着する予定だ。荷物は簡単な着替えだけで、あとは現地調達でもいいか、という気楽なことになっている。あちらの季節は常春なので、着替えの心配はいらない。ドレスコードのある食事なら、服はレンタルできるから、そういうことになった。

「ニールッッ。」と、叫ばれて顔を上げたら山門の前辺りに、アレハレが立っていた。そして、となりには見知らぬ女性だ。
「あれ? 連絡なかったぞ? アレハレ。」
 タオルで汗を拭いつつ立ち上がったら、あちらも歩み寄ってきた。降下の連絡も何もなかったので、突然で、びっくりだ。
「ティエリアが、この後、ニールたちが留守をするっていうから顔だけ見に来たんだ。・・・・こっちは、マリー・パァファシー。僕と同じ超兵。今、一緒に旅をしてるんだ。」
 本当は、夏休みをのんびりさせてもらおうとアレハレは予定していたのだが、プラントツアーで二週間、留守になると聞いて、まず、顔だけ覗きにやってきた。ニールたちが留守する間に、バイクで特区を旅行してみよう、と、マリーと話しているのだという。
「はじめまして、ニールママ。マリーです。別名は、ソーマ。どちらでも呼びやすいほうで。」
 一応、ニールのほうも話には聞いていたので動じない。マリーも二つの人格があるから、こういうことになる。
「今は、マリーさんなんだろ? そのうち、ソーマさんが喋ったら、そっちで呼ぶよ。はじめまして、マリーさん。ようやく動けるようになったんだな。お父さんのほうはいいのか? 」
「はい、父もリハビリ施設に移って自力で動けるようになったので、少し休みを貰いました。・・・ニールママ、アレルヤたちから聞いていた通りの方で嬉しいです。ソーマのことも理解してくれるなんて。」
「ああ、アレハレで、俺は慣れてるからさ。なんか空気とか変わるから、なんとなくわかるんだよ。とりあえず、冷たいもんでも用意するから入ってくれ。」
「うん、リジェネが迎えに来て家に駆け込んだよ? たぶん、用意してるんじゃないかな。」
 なるほど、と、ニールも合点がいった。脳量子波で来客に気付いたから迎えに出たらしい。そういうことなら、ひと声かけてくれればいいのに、と、文句を吐いたら、「気付けよ、それぐらい。」 と、ハレルヤからツッコミだ。
「いきなり走られたら、わかんねぇーよ、ハレルヤ。」
「てか、こんな暑いとこで働くな。ぶっ倒れるぞ。」
「大丈夫だ。ほら、マリーさん、こっちだ。入ってくれ。」
 アレルヤとハレルヤが、ころころと入れ替わっても、ニールは動じない。いつものことだ。そして、アレハレ二人に、「おかえり。」 と、声をかける。
「ただいま、ニール。」
「じじい、たでーま。俺は、ビールがいい。」
「はいはい、好きなものを飲め。マリーさんは、アルコールのほうがいいか? 」
「いえ、ノンアルコールでお願いします。」
「了解、泊るんだろ? おまえら、客間。マリーさんは奥の脇部屋でいいか? 」
「私、ニールママと一緒がいいです。」
「はあ? 」
「だって、いつも楽しそうにアレルヤとハレルヤがお話するんですもの。私も添い寝させて欲しいです。」
「それなら、ニール、客間で、みんなで寝ようよ。僕もニールと一緒のほうがいい。」
「そうだ。リジェネにばっか抱き枕されるのも癪だ。俺が抱き枕になってやんよ。」
「いや、おまえらはいいよ。でも、マリーさん、女性なんだけど? てか、おまえら、マリーさんと一緒のほうがいいか? 」
「野宿の時は、同じテントだけどね。そういう関係ではありません。あと、ニールは、フェルトも抱き枕にしてるじゃない? マリーもされてみたいんだって。」
「・・・・うふふふふ、ちょっと憧れますね。」
「いや、さすがに初対面の人は、俺が勘弁して欲しい。」
「じゃあ、みんなで。」
 なぜ、うちに来る女性陣は、そういうことを平気で言うのだろう、と、ニールは首を傾げる。確かに、子供たちは、ついつい抱き枕にしているが、なるべく、お断りはしているのだ。だが、誰もニールの言うことなんて聞きもしやがらねぇーのだ。家の玄関を入ると、リジェネが、「遅いっっ。」 と、仁王立ちしていた。
「おまえ、迎えに行くなら行くって叫べよ、リジェネ。」
「だって、タクシーで近くまで来てたんだもん。・・・それより、ママ。飲み物、何がいい? みんなは、ママと同じものね。」
「準備はするよ。ハレルヤはビールって言うし・・・マリーさん、ジュースとアイスティーとアイスコーヒーと麦茶ぐらいは、すぐに用意できるけど、何がいい? 」
「ムギチャ? 」
「特区のお茶。アイスティーの一種だ。」
「じゃあ、ムギチャをお願いします。アレルヤは? 」
「うーん、僕はアイスコーヒーかな。」
 ガヤガヤと居間に入ると、坊主は書類仕事をしていた。こんにちわ、と、アレハレが挨拶して、マリーも紹介する。
「おまえの女か? 」
「違いますよ、僕の友人。僕には、ティエリアがいます。ニールの出発を見送ったら失礼します。マリー、三蔵さんが、ニールの旦那さんなんだ。とってもラブラブでさ。」
「あら? ニールママって・・・」
「うん、肉体関係なしだよ。二人とも、ノンケさんだから。でも、ラブラブでさ。僕らがいても、いちゃこらしてくれるから中てられて大変なんだ。」
 説明しているアレルヤに、「やってねぇー。」「してねぇー。」と、寺の夫夫双方からツッコミが入っているが、そういうのもスルーだ。リジェネは、うんうんと頷いている。
「イチャコラ度合いで言うと、一番なんじゃないの? ママ。僕、他のカップルとか夫夫と比べてもダントツだと思う。」
「うちには、そういうもんはないと思うけどなあ。おまえは? リジェネ、ソーダにするか? 」
 リジェネは台所で手伝いつつ、そう言うので、ニールのほうは、呆れたように反論している。
「僕は・・・アイスミルクティー。」
「お菓子、持っていってくれ。」
「了解。」
 台所のお菓子置き場から適当なのを引っ張り出して、リジェネが卓袱台に置く。ここの卓袱台は広いので、坊主の仕事の邪魔にはならない。すぐに、ニールが飲み物も運んで来る。各種いろいろだが、作り置きしているので、あっという間だ。
「クセはないと思うんだけど。ダメならアイスティーと交換するから。ハレルヤ、柿ピーでいいか? 」
 そして、亭主の前にはほうじ茶が置かれる。まだ、午後の早い時間だから、晩酌タイムではないからだ。
「じじい、今日は仕事か? 」