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こらぼでほすと プラント2

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「いいや、明後日から出かけるから休みだ。何かリクエストあるなら用意するぞ? あ、和食より洋食なものがいいのかな? マリーさん。」
 飲み物を配達すると、食事の好みの話になる。見た目には、西洋人形みたいな女性だ。だから、そちらのほうがいいのか、と、思ったのだが、実際は違うらしい。
「いえ、人革連で働いていたので、問題はあまりないです。和食は、あまり経験がないのですけど。中華や洋食が多かったですね。」
「たぶん、特区の料理なら問題はないと思うよ、ニール。あまりクセがないから。」
「僕、冷たい豚しゃぶとかがいい。」
「俺、しょうが焼きがいいな。」
「僕は・・・それなら、シーフードサラダとか食べたいよ。」
「ああ、ニールママの出し巻き卵が食べたいです。アレルヤが、おいしいって絶賛してましたっっ。」
 いろいろとリクエストを聞いていると、いつものメニューでいいらしい。そういうことなら、適当にするか、と、ニールも、うんうんと頷く。
「悟空は? 」
「バイト。明日ギリギリまでだってさ。アレルヤ、キラたちには連絡してるのか? 」
「ううん、まだ。バイク借りて、特区の西にドライブするつもりだから、あとで連絡する。せっかくだから走らせておきたいんだ。」
「マリーさんは? 」
「後ろに乗せようと思う。」
「この炎天下にか? それなら、クルマを借りていけ。あれなら、クーラー効かせられるから安全だろ? 」
「えーーーーせっかくなのにぃぃぃ。」
「でも、日中は三十度超えるから、バイクはきついんじゃないか? ハイネがラボにいるから持って来てもらえばいい。」
「あの、ニールママ、わたし、超兵ですから、暑さは耐えられると思います。」
「ダメダメ、マリーさん。女の子は日焼けとか気にしないと。それに、特区の夏は湿気が多いから温度だけじゃないんだ。リジェネでも、炎天下に出てるとのびてるんだぜ? 」
「当たり前でしょ? ママ。僕は、コーディネーターみたいな身体の調整はしてないんだもん。・・・でも、アレルヤ、僕もクルマのほうをお勧めするよ。この暑さって大変だから。キラだってイヤって言ってるぐらいだからさ。」
「うーん、どうしょうかなあ。」
 ニールにプレゼントされたバイクには乗りたいのだが、気温と湿気は確かにきつい。せっかくだが、今回は諦めたほうがよさそうだ。すると、マリーが折衷案を繰り出した。
「ねぇ、アレルヤ。あまり遠くまででなくて近いところまではバイクで出かけて、あとから遠出はクルマですれば、どうかしら? 朝のうちの一時間か二時間くらいなら温度も湿気も大丈夫でしょ? ニールママが戻るのは二週間後ですもの。最初にバイク。次にクルマ。また、バイクって乗り換えればいいんじゃないの? 」
「近いところか・・・マリー、水族館とか遊園地は興味ある? 」
「見たことないから、わからないわ。」
「じゃあ、この周辺のとこへ行ってみようか? それなら一時間か二時間の距離に、たくさんある。」
「そうね。そういう観光施設って行ったことがないし。」
「前に案内してもらったのが、いくつかあるんだ。海に泳ぎに行ってみてもいいかな。この間、オーヴで海水浴をしたんだけど、あれは楽しかった。泳げなくても、浮き輪で浮けばいい。」
「ああ、オーヴのは楽しかったな。そうだよ、アレルヤ。そういうのなら、近くにいろいろあるよ。片道二時間以内で十分に辿り着けるし、そっちで泊ればいいんだ。まあ休憩は必要だけどさ。・・・アスランに教えてもらえば、いいとこあるはずだ。」
 ニールも、それほど詳しくはないが、海水浴ができる場所はあるだろう。リゾートホテルでも泊って、のんびり海水浴を楽しむなら、暑さも問題はないはずだ。
「いっそそれなら、カガリんとこの別荘に行ってくれば? 」
「そこまで遠くなくてもいいよ、リジェネ。今回は、特区を楽しむつもりだから。特区の西の世界遺産とかはクルマで行ってくる。ガイドブックをチェックしたら、いろいろとあるんだ。」
「あるねぇ。きみたちなら富士山とか登山もできるよね? 」
「うん、それ、試そうと思ってるんだ。僕ら、高い山なんて上からしか見たことないからさ。」
「僕もないなあ。」
「ニールの体力が戻ったら、行けるものなのかも試したいって思っててさ。ハレルヤも、やる気だしてるから、そっちは任せるつもり。」
「え? 登山? 俺が? 」
「そう、特区の西には、古いお寺とか教会が、たくさんあるし、自然の景観も綺麗なものがあるらしいんだ。まあ、登山は、まだ無理だろうけど、観光なら、なんとかなるでしょ? 」
「なるけど、今年の夏は無理だぞ。戻ったら、寺の仕事があるからな。」
「もちろん、そっちは手伝うよ。」
「いや、手伝わなくていいから、マリーさんを案内してやれ。初めてなんだろ? 」
 と、ニールは言ったのだが、マリーのほうは寺の日常を体験する気満々だった。いろいろとアレハレから聞いて、楽しみにしているらしい。
「手伝いますよ? ニールママ。わたし、こういう生活は経験がないので楽しみです。料理も教えてください。」
「え? 」
「普通の日常というものを体験してみたいんです。ほら、わたしも超兵で、民間人の日常というのは知りませんから。」
「あーそうか。でも、うち、野郎ばっかだぞ? 」
「うふふふ・・・軍人に男女なんてありません。ビシバシ鍛えてくださいっっ。雑巾で長い廊下を走るって、どんななのか楽しみでした。体力には自信があります。」
 そう、うっかり忘れているが、マリーも超兵だ。民間人な生活なんて体験していないから、楽しいらしい。そういうもんなのかな、と、ニールは苦笑した。両方を知っているから、それが楽しいと言われても、そーかな? という感想だ。
「あれ、面白いよ? マリー。競争しようね? 」
「ハンデはいただくわよ? アレルヤ、ハレルヤ。初心者なんだから。」
「もちろん。勝ったほうが、アイスクリームを奢るってぐらいの賭けにしよう。」
「いいわねぇ。それは燃えるわ。」
 これはこれで楽しいらしい。まあ、そういうことなら、プラントから帰ったら、お盆ウィークの繁忙期の手伝いは頼むことにする。どうせ、帰ったら草むしりやら掃除やらが控えているので、助っ人は有り難い。
「とりあえず、アスランにバイクとクルマの手配は頼んでおけ。整備してもらわないと。」
「そうだね。」
 アレルヤが、アスランに手配を頼んだら、すぐに返信がきた。どうやらキラのほうは、アレハレたちの動きを把握していたらしい。出勤前に顔を出す、という返信なので、まあ、打ち合わせをしてもらえばいいか、と、ニールも頷く。
「あ、おまえら、着替えは? マンションから取って来るか? 」
「そうだね。マリーのは、どうしょう? 」
「うーん、フェルトのじゃ小さいな。本宅に尋ねてみようか? 」
 アレハレたちの着替えはマンションに一式、保管してあるので問題はないのだが、マリーの分はない。荷物は、小さなカバンで、長期のものとは思えない。
「適当に買い足そうと思ってたんですけど。場所柄の衣服は現地調達でいいかなって。」