タイムリミットまであと5分
イッた直後の頬を染めた色っぽい顔を他の誰にも見せたくはなかったから。
間もなくカートがスタート地点の手前に止まると、肩で息をしているすずめの腰を支えてカートを降りる。
そして、近くのベンチに腰を下ろした。
「ねえ…」
やっと息の整ったすずめは、水を飲みながら馬村に視線を向けた。
「ん?」
「ああいうとき…我慢してる…の?」
「ああいうとき?さっきの?」
「うん…だって、いつもは…」
言葉を濁らすと、赤くなって目を反らす。
「ああ…いつもはキスだけで勃つのにってこと?」
「…うん、我慢…させてるの?私」
少し肩を落として聞くと予想外の答えが返ってくる。
「羊、数えてる」
「羊!?」
「おまえのこと考えてると、こっちがヤバいから…。流されないように結構必死」
「ごめんね…」
いつも私ばっかり、と思ってはいたけれど。
「なんで?俺すげえ嬉しいんだけど…。おまえが俺とそういうことしたいって思ってくれるなら、我慢ぐらいはする」
馬村が笑ってそう言うと、やっぱりカッコいいな…と見つめてしまう。
「じゃあ…プール出たら…ちゃんとする?」
今度は本当に誘うように馬村の手を、自分の胸元に持っていく。
「…我慢してる分、手加減出来ないけど?」
胸元に置かれたすずめの手を取り、手の甲にキスをする。
「いいよ…いっぱいして」
2人は早々にプールを後にした。
fin
作品名:タイムリミットまであと5分 作家名:オダワラアキ