こらぼでほすと プラント6
地球の極東特区は静かなものだった。これといって騒ぎはないので、『吉祥富貴』は通常営業である。バーテンダーのトダカが留守だが、予約が少ないので、それほどお客様に迷惑がない。唯一の問題点だった坊主は、なぜだか酒量を控えているので口説き魔モードになっていないので助かっている。
今のところ、適当に沙・猪家夫夫が寺を訪問して坊主の生命維持はされている。ハイネがラボの泊まりから寺へ帰宅すると、家は割りと綺麗なままだったから、前日にでも八戒が片付けた様子だ。居間に入ると、坊主がビール片手に読書をしていた。
「ただいま、三蔵さん。生きてるか? 」
「おう。まだ一週間も経たないんだ。生きてるだろ。」
「俺、今日からしばらくはラボに日勤なんで世話になるぜ。」
「ラボに泊ってりゃいいんじゃねぇーのか? 」
「でも、どうせ店には出るからさ。」
「女房がいないからオールセルフだが? 」
「たまにはいいんじゃねぇーか? ママニャンの有り難味を実感させてもらう。緊急の呼び出しがない限りは、のんびりモードだ。ママニャンたちの様子を教えておこうか? 」
「いらねぇーな。」
悟空から適当に写メしたものは届いている。宇宙にぽっかり浮かんでいるコロニーだとは思えないほど自然な環境らしく、悟空たちが公園でお茶していたりする。女房には、電話もメールも出ない、と、宣言しておいたので、悟空のメールに、ちょろっと「ごはん食べてますか? と、ママが心配してる。」とか書いてあるぐらいだ。
「俺のとこにメールは届いてるぜ。亭主の様子を報せろってさ。」
「うぜぇ。」
「そう言ってやるなよ。」
ハイネも慣れたもので勝手に冷蔵庫からビールを取り出している。そして在庫が減らないように、横に置かれた箱からビールを入れる。いつもは棚に隠されているビールの在庫が冷蔵庫の横にある。それなりに一人でやってね仕様にはされているらしい。
「メシどーする? 」
「適当にチンしろ。俺はカレーライス。」
「ん? メシ炊いてあるのか? 」
「メシも冷凍してある。・・・味噌汁もあるぜ? ハイネ。」
「はい? 」
「味噌汁がないと困るだろうって種類も豊富に用意してある。」
この真夏では作り置きには限界があるので、二人前ずつくらい冷凍したらしい。どこまでも尽くす女房だとハイネも感心する。本日は土曜日で仕事もないから、もう少し宵闇が迫ったらチンするか、と、ハイネもビールで休憩する。すると玄関から足音だ。
「こんにちわ、三蔵さん。ハイネもいるのか、ちょうどよかった。」
「おう、アマギさん、お疲れ様です。」
「土用の丑が近いからウナギを買って来た。白焼きもあるから肴にもなるんで、これで一杯どうです? 三蔵さん。」
トダカから適当に顔は出しておいてくれ、と、アマギも頼まれたので顔を出した。ヤモメのアマギだと、どっちにしろ食事はするから三蔵と食べても同じことだ。休みだから、気楽な恰好でやってきた。
「いいな。今夜のメシは、それでいい。」
「アマギさんも暇なんだな。」
「まあね。肝心のトダカさんが留守だから、することがなくてさ。ハイネのほうは? 」
「俺も暇っちゃー暇。仕事はあるが急ぎはないんでさ。それに、ママニャンに亭主の様子を報せてくれって言われたんだ。・・・とりあえずビールでいい? アマギさん。」
坊主が動くことはないので、勝手にハイネが動く。とりあえずビールを運んで来て乾杯からだ。
「プラントのほうも無事みたいだ。あれだけの布陣で、何かあるとは思えないから気楽な気分さ。」
「ああ、俺もイザークたちに声はかけたから大丈夫だろう。これでも変態が、おかしなことをしやがったら凹にされるだけだ。くくくくく・・・やられりゃいいと俺は願ってるぜ。たまには痛い目に遭わせておくほうがいい。」
「うちは大使館のほうが動いてるさ。あちらにはウヅミーズラブの関係者が居るから本国から指示が出てるはずだ。悟空くん一人でも難なく排除できるだろうけどね。」
「ブルーコスモスの残党とかは? 」
「今のところは、入り込んでない。プラントはセキュリティーが硬いんで、さすがに暴れるのは無理だろう。」
「リジェネからも連絡がないから問題はないだろう。これといって観光するとこはないんだけど、のんびりするにはいいんじゃないかな。トダカさんにしても知り合いが少ないから面が割れることもないだろう。」
「そうみたいだね。ニールから上げ膳据え膳で楽させてもらってるってメールがきた。亭主が不自由してないか心配はしてたけど。」
どうやらニールは、常連で顔を出している人間にお願いメールは送ったようだ。
「くくくく・・・なあ、聞いてくれよ、アマギさん。味噌汁もメシもおかずも、ちゃんと冷凍保存されてるんだぜ? これで不自由があると思うか? それに適当に八戒だって顔を出すんだし、三蔵さんに不自由があるとは俺には思えない。」
「それ、違うんだ、ハイネ。ニールが寂しいんだってさ。」
「それ、俺にも言ってた。毎日、顔を合わせてる亭主の顔がないと寂しいって。どこまでイチャコラしてんだろうな? ここんち。」
ハイネとアマギは似たようなメールをもらっていた。おもに、ニールが亭主がいなくて寂しいということらしい。側でわーわーと言われても坊主はスルーだ。畳に寝転がって読書している。坊主のほうは寂しいとは思っていない。ただ、自分で何もかもやるというのが面倒なだけで、女房の顔がなくても問題はない。ちょっと物足りないなぐらいの気分であるらしい。
ホテルは、そのままの状態にして午後から議長宅へ訪問することになった。カジュアルではあるが、一応、軽いジャケット着用ぐらいのことになる。タリアとルナマリア、シン、レイはザフトの制服に着替えた。正装に近いから、このほうが何かと便利だからだ。
「今夜は、あちらで宿泊になると思います、トダカさん。」
「しょうがないね、タリアさん。」
何かしら邪なことを考えていたとしても、さすがに、このメンバーで、ご無体は難しいからトダカも素直に頷いた。レイにとっては一応、実家だ。直に顔を合わせるのは久しぶりだから話もある。
「部屋だけはたくさんあるので寝るには困りません。」
「レイの部屋ってのもあるのか? 」
「ありますが、俺はアカデミーへ入学してからはザフトの寮住まいで、ほとんど帰ってません。もう片付けられているかもしれません。」
「あるんじゃない? レイ。ギルが、わざわざ片付けるとは思えないわよ。」
「そうでしょうか。」
長いこと、議長宅には戻っていないので、どうなっているか不明だ。議長宅は公邸と私邸があり、今回は私邸のほうへ訪問する。レイが子供の頃は暮らしていた屋敷だ。
「レイんちも歌姫さんとこみたいに広いのか? 」
「オーナーのところよりは狭いよ、悟空。ここは土地が限られているからな。別荘なんかはない。」
「風呂とかは広いのがある? 」
「いや、そういう風習がないんだ。だから、各部屋にシャワーブースと浴槽があるタイプだ。泳ぎたいなら、近くのプールへ行くか? 」
「そうだな。そろそろ身体を動かしたい。歩くだけだと退屈でさ。」
「明日の午後なら時間がある。」
「なあ、ママ。ちょっとプールで泳ごうぜ。」
今のところ、適当に沙・猪家夫夫が寺を訪問して坊主の生命維持はされている。ハイネがラボの泊まりから寺へ帰宅すると、家は割りと綺麗なままだったから、前日にでも八戒が片付けた様子だ。居間に入ると、坊主がビール片手に読書をしていた。
「ただいま、三蔵さん。生きてるか? 」
「おう。まだ一週間も経たないんだ。生きてるだろ。」
「俺、今日からしばらくはラボに日勤なんで世話になるぜ。」
「ラボに泊ってりゃいいんじゃねぇーのか? 」
「でも、どうせ店には出るからさ。」
「女房がいないからオールセルフだが? 」
「たまにはいいんじゃねぇーか? ママニャンの有り難味を実感させてもらう。緊急の呼び出しがない限りは、のんびりモードだ。ママニャンたちの様子を教えておこうか? 」
「いらねぇーな。」
悟空から適当に写メしたものは届いている。宇宙にぽっかり浮かんでいるコロニーだとは思えないほど自然な環境らしく、悟空たちが公園でお茶していたりする。女房には、電話もメールも出ない、と、宣言しておいたので、悟空のメールに、ちょろっと「ごはん食べてますか? と、ママが心配してる。」とか書いてあるぐらいだ。
「俺のとこにメールは届いてるぜ。亭主の様子を報せろってさ。」
「うぜぇ。」
「そう言ってやるなよ。」
ハイネも慣れたもので勝手に冷蔵庫からビールを取り出している。そして在庫が減らないように、横に置かれた箱からビールを入れる。いつもは棚に隠されているビールの在庫が冷蔵庫の横にある。それなりに一人でやってね仕様にはされているらしい。
「メシどーする? 」
「適当にチンしろ。俺はカレーライス。」
「ん? メシ炊いてあるのか? 」
「メシも冷凍してある。・・・味噌汁もあるぜ? ハイネ。」
「はい? 」
「味噌汁がないと困るだろうって種類も豊富に用意してある。」
この真夏では作り置きには限界があるので、二人前ずつくらい冷凍したらしい。どこまでも尽くす女房だとハイネも感心する。本日は土曜日で仕事もないから、もう少し宵闇が迫ったらチンするか、と、ハイネもビールで休憩する。すると玄関から足音だ。
「こんにちわ、三蔵さん。ハイネもいるのか、ちょうどよかった。」
「おう、アマギさん、お疲れ様です。」
「土用の丑が近いからウナギを買って来た。白焼きもあるから肴にもなるんで、これで一杯どうです? 三蔵さん。」
トダカから適当に顔は出しておいてくれ、と、アマギも頼まれたので顔を出した。ヤモメのアマギだと、どっちにしろ食事はするから三蔵と食べても同じことだ。休みだから、気楽な恰好でやってきた。
「いいな。今夜のメシは、それでいい。」
「アマギさんも暇なんだな。」
「まあね。肝心のトダカさんが留守だから、することがなくてさ。ハイネのほうは? 」
「俺も暇っちゃー暇。仕事はあるが急ぎはないんでさ。それに、ママニャンに亭主の様子を報せてくれって言われたんだ。・・・とりあえずビールでいい? アマギさん。」
坊主が動くことはないので、勝手にハイネが動く。とりあえずビールを運んで来て乾杯からだ。
「プラントのほうも無事みたいだ。あれだけの布陣で、何かあるとは思えないから気楽な気分さ。」
「ああ、俺もイザークたちに声はかけたから大丈夫だろう。これでも変態が、おかしなことをしやがったら凹にされるだけだ。くくくくく・・・やられりゃいいと俺は願ってるぜ。たまには痛い目に遭わせておくほうがいい。」
「うちは大使館のほうが動いてるさ。あちらにはウヅミーズラブの関係者が居るから本国から指示が出てるはずだ。悟空くん一人でも難なく排除できるだろうけどね。」
「ブルーコスモスの残党とかは? 」
「今のところは、入り込んでない。プラントはセキュリティーが硬いんで、さすがに暴れるのは無理だろう。」
「リジェネからも連絡がないから問題はないだろう。これといって観光するとこはないんだけど、のんびりするにはいいんじゃないかな。トダカさんにしても知り合いが少ないから面が割れることもないだろう。」
「そうみたいだね。ニールから上げ膳据え膳で楽させてもらってるってメールがきた。亭主が不自由してないか心配はしてたけど。」
どうやらニールは、常連で顔を出している人間にお願いメールは送ったようだ。
「くくくく・・・なあ、聞いてくれよ、アマギさん。味噌汁もメシもおかずも、ちゃんと冷凍保存されてるんだぜ? これで不自由があると思うか? それに適当に八戒だって顔を出すんだし、三蔵さんに不自由があるとは俺には思えない。」
「それ、違うんだ、ハイネ。ニールが寂しいんだってさ。」
「それ、俺にも言ってた。毎日、顔を合わせてる亭主の顔がないと寂しいって。どこまでイチャコラしてんだろうな? ここんち。」
ハイネとアマギは似たようなメールをもらっていた。おもに、ニールが亭主がいなくて寂しいということらしい。側でわーわーと言われても坊主はスルーだ。畳に寝転がって読書している。坊主のほうは寂しいとは思っていない。ただ、自分で何もかもやるというのが面倒なだけで、女房の顔がなくても問題はない。ちょっと物足りないなぐらいの気分であるらしい。
ホテルは、そのままの状態にして午後から議長宅へ訪問することになった。カジュアルではあるが、一応、軽いジャケット着用ぐらいのことになる。タリアとルナマリア、シン、レイはザフトの制服に着替えた。正装に近いから、このほうが何かと便利だからだ。
「今夜は、あちらで宿泊になると思います、トダカさん。」
「しょうがないね、タリアさん。」
何かしら邪なことを考えていたとしても、さすがに、このメンバーで、ご無体は難しいからトダカも素直に頷いた。レイにとっては一応、実家だ。直に顔を合わせるのは久しぶりだから話もある。
「部屋だけはたくさんあるので寝るには困りません。」
「レイの部屋ってのもあるのか? 」
「ありますが、俺はアカデミーへ入学してからはザフトの寮住まいで、ほとんど帰ってません。もう片付けられているかもしれません。」
「あるんじゃない? レイ。ギルが、わざわざ片付けるとは思えないわよ。」
「そうでしょうか。」
長いこと、議長宅には戻っていないので、どうなっているか不明だ。議長宅は公邸と私邸があり、今回は私邸のほうへ訪問する。レイが子供の頃は暮らしていた屋敷だ。
「レイんちも歌姫さんとこみたいに広いのか? 」
「オーナーのところよりは狭いよ、悟空。ここは土地が限られているからな。別荘なんかはない。」
「風呂とかは広いのがある? 」
「いや、そういう風習がないんだ。だから、各部屋にシャワーブースと浴槽があるタイプだ。泳ぎたいなら、近くのプールへ行くか? 」
「そうだな。そろそろ身体を動かしたい。歩くだけだと退屈でさ。」
「明日の午後なら時間がある。」
「なあ、ママ。ちょっとプールで泳ごうぜ。」
作品名:こらぼでほすと プラント6 作家名:篠義