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こらぼでほすと プラント10

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「無理でしょうね。今回だって、本当はシンとレイが招待ということだったんですが、イザークたちも顔を出してくれてるし、トダカさんは大使館のほうにも手配をしてくれてます。なんだかんだで、大人数になっちゃうらしいですから。一人で旅行なんて無理無理。」
「モテモテですね? レイのママさん。」
「いえいえ、俺が危なっかしいので心配してるみたいです。レイが、その筆頭です。」
「リジェネくんは? 」
「あれは、まだ親離れしてないので、ベタベタなんです。失礼なことは言いませんでしたか? ちょっと言葉は下手なので。」
「いえ、そちらは大丈夫です。あなたのことが心配だから、私に大きな釘を刺していましたよ。あの子は組織の? 」
「ええ、そっちのです。特区の常識とかは、からっきしで・・・ただいま留学中というとこです。」
「そうですか。・・・・ところでレイのことですが、同居をされる予定はありませんか? もし、そちらの住居が手狭なら増築の手伝いはさせていただきたいのですが? 」
「同居はできないらしいです。アカデミーでの実習やら研究で家を空けることも多いので、帰らないと俺が寝られなくなるから、ということでした。その代わり、時間がある時は、うちで泊ってるし長期休みなんかは同居してるような感じです。・・・手狭か・・・ギルさん、それはあんまり意味がないですね。」
「え? 」
「キラたちも、みんなで寝泊りしてることもありますが、客間に雑魚寝してます。あれでいいらしいので、部屋数は問題はないでしょう。」
「レイも? 」
「レイは、俺の抱き枕なんで俺の部屋で寝てます。たいがいは、俺とレイとリジェネが俺の部屋。他は客間です。」
「ご亭主は? 」
「亭主は、自分の部屋で寝てます。・・・うち、どっちもノンケで一緒には寝てないんです。」
「は? レイのママさん? その・・・ご夫夫でしたよね? 」
「はい、寺の夫夫ということになってますが、そういう意味ではありません。俺が危ないので同居するようにしてくれただけです。」
「では、何もないのですか? 」
「ないですねぇ。そういうことをしたがるのはハイネのほうですが、ハイネもノンケで清らかに寝てます。」
「つまり、男性とのセックスは経験がない? 」
「はい、ありません。ずっと体調が悪かったので、女性とも皆無です。そういう気分には盛り上がらないみたいで・・・いろいろと誘ってはもらうんですが・・・あははははは。」
 あはははは・・・じゃねぇーよ、と、シンならツッコミするが、議長様はびっくりだ。これだけフェロモン垂れ流しのニールに、誰も手を出さないらしい。
「すごい方だ。」
「は? 」
「私は、あなたの色気にクラクラしたというのに。ご亭主の忍耐力は凄すぎる。」
「いや、うちの亭主は男はダメなんで、俺が、どう口説こうとやりたくないらしいので。」
「口説いても? 」
「酔っ払って、何度か誘ってみたんですが、絶対にイヤだって拒否されました。まあ聖職者だし。・・・・俺、フェロモンとか垂れ流してませんよ? ギルさん。」
「あの、レイに、そういう気持ちは? 」
「レイにですか? うーん、別に試したいというなら付き合いますが、俺としては子供だと思ってるんで、そんな気にはなりませんねぇ。」
「タリアは? 」
「あ、さっき誘われました。断りましたが。」
「レイのママさん、それをフェロモン垂れ流しというのです。」
 解ってない、わかっちやいねぇーよ、おまえさんという態度で議長様は長く息を吐き出した。
「いや、たまには遊べばどうだ? っておっしゃったんです。相手がないと言ったら、相手はしてやるって。冗談の掛け合いですよ。俺、人妻とかは気分的にイヤなんで。」
「人妻じゃなければオッケーですか。」
「そうなりますが、どうも生き返ってから、そっちの欲がなくなったみたいで、盛り上がらないんです。体力が戻ってからの話です。今のところ、そこまでの体力がありません。」
「体力が戻ってから私がプロポーズしたら? 」
 もちろん、ニールとしてはオッケーしてもいいのだが、周辺の顔を思い出して笑い出した。
「俺には亭主がついているので、おまけで、それもついてきます。それでもよければ? です。その亭主は暴力的で言動も酷いですが、耐えられますか? ギルさん。」
「は? 別れないのですか? 」
「今のところ、俺にしか世話ができないので、それを放り投げることはできないらしいので。ついてくるでしょう。」
 お嫁入り道具のひとつとして坊主がついてくる。坊主の上司からも、世話の放棄はしてくれるな、と、頼まれているから、それを手放すつもりはないのだ。ただ、プラントにはパチスロもパチンコもなさそうだから、亭主は渋ってニールの嫁入りは破壊するかもしれない。
「それでは意味がありません。あなたのご亭主は、聖職者で極東の大陸に本拠地のある方だ。その方に、こちらに暮らしていただくのは無理というものです。」
「そうですか。では、諦めてください。・・・俺も、あの嫁入り道具は放したくありません。・・・・さて、お話を戻しましょうか? レイのことで、何かあったらギルさんを頼ってもいいということでしたね? それなら、ひとつ、お願いがあります。」
「なんですか? 」
「レイは、いずれプラントに戻ることは確定しています。その時は快く迎えてやってください。いずれ、レイはパパのところへ戻ります。それまでは好きにさせてやって欲しいんです。」
 『吉祥富貴』は、いずれ本拠をプラントに移すということはハイネからも聞いている。そうなると、コーディネーターたちは、プラントへ移住することになる。それまでは、レイが『吉祥富貴』に所属するつもりなら、そうしてやって欲しいと思っていた。それまでは、ニールが一緒に暮らして日常の楽しみを味あわせるつもりだ。期間限定のものだから、強制的に帰らせるようなことはしないで欲しいと思っている。
「もちろんです。その時、もし、ご亭主と別れておられたら私のプロポーズも受けてください。儚い願いだと感じておりますが、宣言だけはしておきましょう。」
 ニールの両手を掴んで議長様はプロポーズなんぞかましている。いずれというのか、どれくらいか、今のところはわからない。ただ、十年かそこらだろうと思っている。そうなったら、議長も役を降りて市井の人に戻る事になる。その時に世話好きのニールがいて、レイもいてくれたら素敵だと想像して微笑んだ。
 そこからは、レイについての話になって、あっという間の20分だった。