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オダワラアキ
オダワラアキ
novelistID. 53970
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あなたの優しさに包まれて 前編

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だから、馬村さんのように早いうちに診察を受けておくことはいいことだと思いますよと、医師は付け加えてまた問診票に目を落とす。

「基礎体温表付けていらっしゃるんですね?そちらも見せて頂けますか?」
「はい…」
「馬村さんは、この表見る限りですと、高温期と低温期が綺麗に分かれていますので、排卵はしているようですね。まだ詳しい検査をしていないので何とも言えませんが、もし検査だけではなく妊娠も希望されるようでしたら、年も若いですしまずはタイミング法からになると思います」
「検査…だけでも、いいんですか…?」

すずめは、不妊専門のクリニックに行くならば不妊治療を始めるという覚悟をしないとならない、そんな気持ちでいた為にかなりのストレスを感じていたが、医師が最近は結婚前に検査のみする人も増えていますよと柔らかく笑って言ってくれたことに、ほっと肩をなで降ろした。

「今は、まだ決められないので、とりあえず検査だけで…あとは夫と相談します」
「分かりました。出来ましたら、ご主人様にも検査を受けて頂きたいので、次回はご一緒に来院して頂けますか?」
「主人の検査…ですか?それは…その…」
「精液検査ですね。来院して頂いてから採取するか、ご自宅から採取した精液をお持ちいただくかになります。奥様が戸惑う気持ちも分かりますが…不妊の原因は女性だけにあるわけではないんですよ?比率的には、女性4割、男性4割、残る2割は原因が分からない場合です。ですから、男性にも検査を受けていただくことは非常に重要なことなのです」

すずめはこのあと、子宮頸がんやクラミジアによる感染症の検査、超音波エコー検査で卵巣や子宮の状態、血液検査でホルモン値が正常であるかを診るという。
結果も本日中に分かるということで、その後に今後の治療方針を決めていきたいということだった。



夜仕事から帰宅した大輝は、ただいまも言わずに、病院はどうだったかと聞き、病院でのことが気になっていていつもよりも大分早く帰ってきたのだとすずめは気付く。
「で、検査結果は異常なかったんだな?」
「うん、不妊の原因となるような病気はないみたい。ちょっと安心したよ」
「そうか…病院はもう行かないのか?」
「あの…ね、先生、大輝にも検査受けてほしいって…」
すずめは言いにくそうに検査内容を説明するが、大輝も驚きを隠せないでいた。

医師の説明では、3日ほど禁欲し病院の採精室にて、マスターベーション法で取ってもらうか、家から専用のカップにいれて持ってきてもらうかだが、家からだと採取後1時間以内に病院に持ってきてもらわなければならないのと、人肌で温めながら持ってきてもらわなければならないということだった。

「そこまでしなきゃダメなのか…」

大輝の一言に言いようのないショックを受ける。

(やっぱり、そこまで真剣に子どものこと考えていないのかな)

(親戚とかに子どもはまだなの、って聞かれるのかなり辛いのに。私一人の問題じゃないのに…)

(周りの友達は…簡単に子ども出来てるのに)

「大輝は…こなくていいよ…」

それだけ言うと、すずめは焦点の合わない目でぼんやりと床を見た。

問診票に書けなかった箇所。
夫は治療に協力的ですか?




後編へ続きます。
落ちるところで終わってすみません。