ひとりじめ
「これで馬村にぬいぐるみもらったの、2つ目だ。」
1つ目は偽彼女のお礼に水族館行った時。
機嫌とりのペンギン。
「ペンギンの横に2つ並べて置こう。」
「それもプレゼントに数えんのかよ。」
「お古でも、馬村がくれたことには
違いないじゃん?」
「あっそ///。」
「一緒の中学校じゃなかったけど、
小さい頃に同じものが好きだったって
何か嬉しいしさ。」
普段あんまり甘いことを言わないだけに、
そういうこと言われるとグッとくる。
やっぱり2人きりじゃなくてよかった。
抑えらんなくてコイツ失うとかだけは避けたい。
でもキスぐらいなら…
と、もう一度しようとした時、
ドタドタドタドタッ
「すずめーーーーっ!」
バーン!と勢いよくドアが開いて、
うるさいのが帰ってきた。
「あ、大地。」
「お前ぇぇ、今日は負けねえからな!
続き!しようぜ!」
大地がアイツの腕に手を回して
ゲーム機のあるリビングに
連れて行こうとする。
ピクッ
「てめえ、大地。勝手に入ってくんな。」
オレは思わず、大地の手にチョップして
2人を引き離した。
「なんだよ!大輝だけ
すずめ独り占めとかずるいぞ!」
「独り占め?///」
ていうか、オレの彼女なんだから何が悪い。
「父さんも、大輝がすずめを
独り占めしてるって言って、
俺に連れてこいって言ったんだぞ!」
「は?」
親父のヤツ!!
「馬村?降りよっか?」
諦めたようにアイツが言った。
自分の選んだ女が
家族に気に入られるのは嬉しいが、
取り合いになるとかどんだけだよ。
「しょうがねえな。」
軽くため息をついて一緒に階下に降りた。
やっぱり今度は誰もいない時に
連れてこようと思った馬村だった。