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逢いたさ故に

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祭りで賑わう人混みの中を一人歩く高杉


屋台に興味があるわけでもなくただゆっくりと歩く


ただ一人の男を探し求めて―――――



今の高杉には先ほどの殺気などすでに消えていた




数分歩き続け高杉は言葉を漏らす



『今日もハズレか…?……』



その男に逢うためにいくつもの祭りに行ったであろう発言をした




それでも意中の男を求め歩き続ける





『クソ……―――どこだ…』


苛立ちと悔しさが言葉ににじみ出た時


『――ッ!!………みつけた』


自分より背が高い銀髪
それにあの天然パーマ



(間違いねぇ…)





『銀時…』







銀時を見るのは久方ぶりだ


何年立っても見とれちまう





今すぐ駆け寄りたい



今すぐ抱きしめたい



今すぐ俺のものにしたい





だが今の俺とお前は敵


俺が近づけばお前は俺に刀を向けるだろう



俺を受け入れるわけがあるまい





でもお前に近づきたい…






だから俺は敵として近づく





この感情を殺して……





俺がお前の後ろを取れば近づけるだろ?





どんな状況でもいい



お前を感じたい





「戻りてぇなァ……昔によ…」



なんの壁もなく一緒に居れた昔がよほど楽しかったのだろう


高杉らしくない発言をした







だが意を決したように高杉はもう一度呟く



敵としてではなく ただの想い人として近づきたいという感情と

もう昔のように接することができない悔しさを押し殺し

自分にも聞こえないくらい小さな声で…





『――好きだ……銀時…』








そして気配を消し徐々に銀時へと近づく





大きな花火があがった瞬間刀を抜き銀時の後ろを取ってこう言った






『やっぱり祭りは派手じゃねぇとなァ………』






















END


作品名:逢いたさ故に 作家名:棗-なつめ-