織姫と彦星
――――――
『―――ったく……くだらねぇことで呼び出すんじゃねぇよ馬鹿理事長』
理事長への愚痴をもらしながらもう誰もいないと思われる教室に戻った
ガラガラガラ―――
『さすがにこの時間じゃみんな帰ったよな。もう夕方だし…。――さてと』
俺は全員が短冊を結んだか確認する
ついでにガキどもの願いとやらを見るために
『んーと…なになに?』
"マヨリーンに逢いたい"
『……』
"お妙さんに想いが届きますように"
『ビリビリに破かれた跡がある…。志村姉が破いたんだな……』
"猟友会が早くゴリラを殺しますように"
『………』
"マヨネーズがこの世から消えますように"
『これはサドか』
"先生がもう少し真面目になりますように"
"エリザベスがみんなと馴染めますように"
"毎日米一升食べたいアル"
"先生が私に夢中になりますように"
『志村弟に桂…神楽に猿飛……っと』
あれ…高杉のがない
低杉のくせにどこにつけたんだ?
結んでないのかと思い机の中を見てみたがそこにはなかった
持って帰ったか?
捨てたか?
色々考えながら笹の葉をかき分け探してるとかなり上の方にあった
しかもご丁寧に葉で隠してやがる
素直に書いて結ぶとことか隠すところとか……可愛いよな
『にしてもどうやってこんな高い場所につけたんだ?椅子にでも乗ったのか?』
俺が背伸びしてギリギリ届く位置にあった
『さて。愛しの高杉君は何て書いたのかな?』
"銀八が俺の彦星になりますように"
…ん?
え?
『………え?――ちょ…え?…まじでか!!?!?』
しかも高杉が織姫!?
可愛いすぎるんだけどこの子…
あ やばい
今すぐ抱きしめたい
たしかアイツ一人暮らしのはずだ
俺は携帯を取り出し高杉に電話をかけた
「――はい」
『高杉か?今から家行くから待ってろ』
「は!?お前何言っ――――」
今から行くことを伝え一方的に電話を切って高杉が住んでるアパートに向かった
息を切らしながらアパートについて高杉の部屋のドアをノックする
「……」
無言でドアを開けた高杉
俺はすぐに玄関に入りドアを閉めて高杉を抱きしめた
「なっ……いきなり何するんだよ!!」
俺の腕から逃れようとじたばたしてる
そのくせ高杉の顔は赤い…
可愛すぎる…
『……彦星が織姫に逢いに来ました』
「ッ!?!…何言って―――」
『俺も好きだよ高杉』
驚いてる高杉を無視して優しく甘いキスを落とした
唇を離しもう一度キツく抱きしめる
『でも俺 1年に1回しか逢えないとか無理だから。毎日毎日逢いたいから。だからちゃんと学校来いよ?休日はココに来るからさ』
高杉の柔らかい髪を撫でながら言うと今度は高杉が俺を抱きしめ返してきた
「休日…たまには俺からも…会いに行く」
ぶっきらぼうな言い方だったけどすっげー嬉しかった
『お前本当可愛すぎ…』
きっと本物の織姫と彦星も俺たちを祝福してくれてるだろう
俺は高杉の耳元で囁く
『絶対離さねぇからな。―――俺の可愛い織姫様』
そしてもう一度キスをした―――
END