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いつものこと

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だから時々勘違いしちまう。


ひょっとしたら、ひょっとするんじゃないかって。



こんだけ優しくしてくれるなら、お前は、俺の事を……



なんて、な。








全てが終わったあとも、高杉は俺を抱きしめてくれる。

頭を撫でてくれる。



だから、余計に勘違いしそうになる。




そして、俺は問う。



銀「なぁ高杉。何で?好きな奴にすればいいだろ…?」






決まって高杉は答えない。



俺がいくら何故と聞いても、好きな奴にやれよと言っても、コイツは返事ひとつしない。



それどころか、俺の話を聞いていないかのように俺の口を高杉の口で塞がれる。




だからと言って、俺に好きだの、愛してるだのという言葉は言ってこない。




だから、余計に分からない…。





だって、俺はお前の事が……。


だからモヤモヤする。


高杉は気付いてないのか?

いや、気づいてるに決まってるよな…。


たちが悪い。







高「そろそろ帰るか?」




いつもそう訪ねてくる。



いざ帰らなきゃならねぇって時になると、俺は無性に甘えたくなる。


例え想いが通じあっていなくても…。




銀「もう少しだけ…」




そう言って高杉にしがみつくと、コイツはフッと笑って俺を優しく抱きとめてくれる。



まるで駄々っ子をあやすかのように、頭を撫でたり、背中をトンットンッとしてくれたり。




嬉しいけど、複雑だ。





でもこれも、いつものこと。




銀「…もう大丈夫」


高「そうか……なら、行くぞ。送っていく」



銀「あぁ…」




乱れた服を直し、部屋を出る。




外はもう暗くなっていた。









銀「こんだけ暗いなら、お前も安心だな」


高「多少は、な」





帰り道はそんな話しかしない。



でも、俺の隣を歩いてくれる。
俺の歩幅に合わせて。







高「ほら、着いたぜ」








俺の家だ…



銀「あぁ……。送ってくれてありがとうな」


高「別に。俺がそうしたかっただけだ」




昼間と同じ会話。




それでも良いと思える。




でも、もうコイツは帰っちまうから、俺は伝えようと思い口を開く






銀「高杉、俺さ……」




だけど、いつものように途中で遮られる




言葉でさえぎられるんじゃなくて、高杉自身によって俺の言葉は遮られる…。





コイツが俺の事をぎゅっと抱きしめてくる。



こうされると、俺の気持ちを伝えたらもう会ってくれなくなるんじゃないかって思ってなにも言えなくなるんだ。




そして互いの身を離し、高杉はたった一言告げる






高「またな、銀時」




そう告げると高杉は俺に背を向け去っていく




銀「待て、高杉…!!」




口ではそう言いつつ、追いかけられないのがいつもの俺だ。




アイツは振り返りもしねぇで去っていく。





何なんだよ、アイツは…






俺はお前にとって、都合の良い男なのか?






いつものことだが、無性に泣けてきた……







銀「なぁ高杉……お前にとって俺って一体なんなんだ…?」



もう分からねぇよ…。




銀「ただのセフレなのか?それならそれで、何で優しくするんだよ……」





俺は、お前の事が好きなんだよ…





銀「お前の言う"またな"って一体いつなんだよ……。その日まで、またこの気持ちを抱えたまま過ごすのか…?そんなの…残酷すぎるだろ……高杉…」




なぁ、高杉…




銀「お前は、一体俺をどうしてぇんだよ……」








いつもそうだ。



いつもこんな気持ちになっちまう。



拒否できない俺が悪い。



そのくせ苦しがる。



でも待ってるんだ、アイツからの連絡を…。




これじゃ自分で自分の首を絞めてるようなもんだ……。


















この涙も、この気持ちも、みんな、みんな



いつものこと…――――――――。













END





作品名:いつものこと 作家名:棗-なつめ-