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こらぼでほすと プラント14

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キラは携帯端末をパコパコと動かしていた。何かを調べているらしい。アスランのほうは、自分の携帯で、寺から連絡のあったブツを確認している。ビールとおやつなら、近くのスーパーで買い揃うから、途中で購入すればいいな、と、予定を考えている。本日、『吉祥富貴』は、予約がなかったので休業となった。いつもなら、スタッフだけ出勤して近況の報告なんかをやるのだが、それも、これといってないので、集まる必要もなかったからだ。
「キラ、少し立ち寄る場所があるから、出かけようか? 」
「今夜のメニューは? 」
「まだ聞いてない。シンが買い出しに出るはずだ。」
「僕、そうめんがいいな。ママの野菜たっぷりのやつ。」
「うーん、たぶん、ママニールが作れる状態なら可能だと思うんだが・・・・どうだろう? 」
「作ってくれると思うな。ずーっと、家事してなかったから、やりたいんじゃない? 」
 アスランとの会話をしながら携帯端末を弄っているキラは、まだ、そこに集中している。ちょろりとアスランが覗き込むと、どこかとリンクした状態だ。
「どこ? 」
「ヴェーダ。・・・・でも、繋がらない。そして、レイは行方不明。どう思う? アスラン。」
 意味深な質問に、アスランは、ちょっと上空に視線を浮かせて、顎を撫でる。リジェネとレイが、二人揃って連絡がつかないということは、何かしら繋がっている可能性がある。
「もしかしたら、と、考えてる? 」
「そう、テロメアの長さを改善できる方法があるとしたら、あそこにはあるかもしれない。イノベイドは、それを活用してる。最新医療技術よりも、さらに何世代か先の技術があってもおかしくない。・・・もし、リジェネが協力するならレイは先に進める。」
 キラもアスランも、レイの事情を知っている。ラウ・ル・クルーゼは、レイの年齢の頃には、すでに仮面をつけていた。だから、時間は推測できる。
「それ、リジェネから何か、言われた? 」
「はっきりとは言われてないけど、ヴェーダに帰ったら、しばらく連絡には出ないって言われた。・・・つまり、ヴェーダの中で忙しいから、僕に付き合ってる暇はないってこと。・・・だから、そうなのかなって。」
 キラは、そういうカンがいい。リジェネの言葉と態度で、何かしら気付いたらしい。それはアスランにとっても喜ばしいと思えるものだ。このままでは、レイは数年で滅びてしまう。どんなに長く見繕っても、ムウ・ラ・フラガの年齢には達しない。何かしらの方法や技術や知識があって、それを引き延ばせるというなら、リジェネに、こちらから頼みたいことだ。
「それなら有り難いことだ。」
「リジェネはね、ママのためだから、僕らからの感謝なんていらないって言うよ? アスラン。あの子が、それをしようと思うのは、ママが悲しむからだ。・・・・だから、僕はリジェネとレイが報告してくれたら頷くぐらいで済ますつもり。今後、ヴェーダに必要な物資なんかは用意させて貰う。それは提案する。」
「そうだな。連邦が把握していない工廠やラボに必要なものは、こちらで手配させてもらおう。・・・・さて、それじゃ、出かけてくれるかな? 」
「うん、あ、ママに、そうめん頼もう。必要なものがあるなら、僕らで買えばいいんじゃない? 」
「まあ、そうなるな。」
 難しい話は終わりだ。仮定の上の話だが、キラが気付いたのだから、実際も、そういうことなのだろう。だから、アスランは資材の手配を予定しておく。キラのほうは携帯端末で、「ママ、今晩、そうめん野菜盛り盛りがいいっっ。」 と、叫んで立ち上がって、アスランに携帯を渡す。実際に買い物をするのはアスランだから、実務者レベルで話し合っていただくことにした。



 僕は、悟空と墓地の掃除に出るから、と、アレルヤは外へ飛び出していった。マリーは留守番だ。それも重要なので、大人しく雑誌を眺めている。確かに、特区の夏の湿気と暑さには閉口するものがある。じっとりと湿気が纏わりついて、息苦しい感じすらする。この部屋は空調をかけているので、ほのかに涼しい。シンはマリーたちが到着すると、一端、家に戻ると出かけた。本当は、アレルヤと空港に出迎えるつもりだったのだが、ラクス・クラインから引き延ばして合流して欲しい、と、お願いが入った。全員が、一気に集まるより入れ替えていくほうがママニールが寂しがらないから、ということだったので、それに従ったのだ。
 うーん、と、ニールママが寝返りを打って目を覚ました。ぼぉーっとして、すぐにマリーの視線に気付いた。
「お目覚めですか? ニールママ。」
「・・おう・・おかえり、マリー。・・・ん? ああっっ寝過ごしたっっ。」
 柱の時計を確認して飛び起きようとしたから、強引に上から布団を押さえる。急激な動作は厳禁なのを、うっかり忘れるらしい。
「飛び起きてはいけません。・・・ゆっくりと。」
「・・ああ・・ごめん・・・メシ、ラクスが運んでくれたはずだけど・・・食ったか? 」
「はい、いただきました。ラクス・クラインは、私たちが戻るより先に帰ったので、顔は合わせてませんが。」
「・・うん・・仕事が入ってるらしい・・・で、マリーさんは? 」
「ニールママの添い寝をしておりました。」
 というか、周囲三メーター以内に居ること、と、アレルヤに言われたので、のんびりしていた。ぐっすりと寝かせるには誰かが必要なのだと言われたのだ。確かに、よく眠っていたので、マリーも気楽に過ごさせてもらっていただけだ。
「そんなの、いいんだよ。昼寝ぐらいなら、一人でもいいんだ。・・・アレルヤは? 」
「墓地の掃除に悟空と出ています。・・・・飲み物は? もし召し上がれるなら食事もあります。ニールママ用の食事が用意してあるんです。」
 流動食に近いものが、ニール用と書かれた箱に入っていた。疲れているだろうから、あっさりしていて栄養のあるものを用意したらしい。
「・・・うん・・・ちょっと食おうかな。・・・どうだった? 特区の旅行は? 」
「面白かったです。まだ、全部は廻れてませんが、小さな国なのに見所は満載ですね。特区で一番高い富士山は登山しましたが、あれぐらいなら散歩です。」
「そう? 三千メーター越えてただろ? 」
「でも、五合目まではクルマですから、昇るのは半分ですよ? 太陽が昇るのを見るために、前日に上りましたから、ゆっくりでした。雲海の中に太陽が昇るのは美しい光景です。・・・いつか、一緒に観ましょうね? ニールママ。写真はお見せできるけど、実際の景色は体感しないと。」
「うーん、いつかな。とりあえず、ご近所のウォーキングから付き合ってくれ。」
 まだまだ、ニールの体力では登山なんか無理すぎる。今のところは、ご近所のウォーキングがせいぜいだ。ゆっくりと起き上がって、背伸びをしたら、携帯端末が鳴った。キラからで、「そうめん野菜盛り盛りっっ。」 と、叫ぶとアスランと変わる。
「・・え?・そうめんはあるんだが・・・野菜とか全滅なんだ。買出しに行くつもりだが?・・ああ・・・うん、じゃあ迎えに来てくれよ? 30分後だな?・・・わかった・・・」