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繋がり

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ここに駆けつけてくれた人物は桂と辰馬だった。




桂「銀時!高杉!…やはり、ここだったか…!」


辰「ま、間に合ったのか…?」



予想外の人物の登場に戸惑う高杉



高「ヅラ…?辰馬…?なんでお前らここに…」


銀「俺が連絡したんだ。高杉を探してくれって」


辰「まぁ、一番に見つけたのはやはり銀時だったがのう」



そう言って荒い息を整える。



桂「銀時、見つけたのなら連絡をしてくれ…。急に連絡がつかなくなって一瞬最悪の事態を想像してしまったぞ…」


銀「あぁ…悪い」


桂「まったく…。坂本が船を出してくれて助かった。」


辰「いやぁ、ヅラが場所を指定してくれたから来れたんじゃよ。流石のわしでも江戸中探し回るのは骨が折れる」


高「お前ら…」


辰「あ、そうじゃ、高杉…、」



いつも以上の笑顔で辰馬が言う。



辰「歯ぁくいしばれ」


高「は?」






その瞬間


ドスッ―――――



鈍い音がした…




高「っ!?!?」


銀「ちょ、えぇ!?高杉吹っ飛んだよ!?辰馬ぁ!?何してんの!!」


桂「これ坂本、なに先走っっているのだ」



辰馬に殴られ倒れた高杉を起こす桂



高「ヅ、ラ…」


桂「ヅラじゃない、桂だぁあああああああ!!!!」




バキッ―――――



再び嫌な音がした



銀「は!?今更!?お前さっきまで何の反応もしてなかったのに今それで殴るの!?ちょ、高杉!大丈夫か…?!?」


慌てて駆け寄る銀時
すると高杉が焦ったように言う



高「銀時…っ後ろ…!」


銀「っ!?」



振り返ると同時に銀時の両頬を辰馬と桂が殴りつける



辰・桂「この、大馬鹿者がぁぁあああああ!!!!」



銀「ぐべらぁぁぁぁぁ!!!」



そんな悲惨な状況に頭を抱える高杉……







思いっきり殴ったおかけなのか清々した顔の二人


銀「なん、で…俺まで……」


抗議の言葉を言おうとしたが、これもまた二人の行動によって遮られてしまう



桂「本当に…この大馬鹿者どもが…っ」


辰「まっこと…おまんらは阿呆じゃ…」





銀「え…っ」


高「…っ!?」




先ほどとは打って変わって、声を震わせた二人に銀時と高杉は抱きしめられていた。




銀「ちょ…え、どうしたの…」


高「お前ら…」



殴られた事など忘れ驚く二人。




桂「どれだけ…心配したと思っているのだ…」


銀「え…俺のことも?」


辰「あたりまえじゃ!おまんはいつも一人で先に行く。ヅラじゃないが、最悪の状況を想像したぜよ…」




二人の言葉を聞いて困ったように笑う銀時




辰「だいたい、おまんが悪い!!高杉!」


高「…?」


桂「そうだ…!貴様もだ高杉!心配させるな馬鹿者が…」



高「しん、ぱい…?」



辰「あたりまえじゃろ!仲間なんじゃ、心配するにきまってるぜよ」




高「なか、ま…」




桂「何故、いつも頼ってこない」


辰「何故一人で抱え込む」


辰・桂「死ぬなんて許さんぞ…!」




高「!!!!」




銀「ははっ…ほらな、高杉。言ったろ?」



高「あぁ…ほんと…だな…っ」






ガシガシと高杉の頭を撫でる3人。





辰「何泣いてるんじゃ~高杉」


桂「手間のかかる奴だまったく」


銀「違いねぇ」



泣いてるのか笑ってるのか分からない表情ではあったが、この4人がこんな風に感情をぶつけ合ったのは久方ぶりだった。






―――――――――
――――――
―――




銀「ほら、そろそろ帰ろうぜ」



日が落ちきる前に銀時が言う。




高「帰るって言ったって…」


辰「わしんとこに来んか?」


桂「あぁ、今はそれが一番安全もしれんな」


銀「あー、俺んとこでもいいぜ?俺がいれば真選組の奴らも手だして来ないだろうからな」


高「……助かる」





3人「・・・・・・・・。」



高「な、なんだ?」





銀「おい、聞いたか」


桂「あぁ、聞いた」


辰「おまん、お礼なんて言えるようになったんかぁ!成長したのぉ高杉!!!」




ドスッ―――――――――




あーあ…と銀時と桂は苦笑し辰馬は崩れ落ちる






銀「さーて…、とりあえず今日のところは何処か宿にでも泊まらないか?」


桂「それはいい。そうしよう」


高「何してやがる。置いて行くぞ」





今夜泊まる場所の相談をしながらさっさと歩いていく3人。





辰「ゲホッ………そりゃ…ないぜよ…」






そんなやり取りをしながらも楽しそうな4人。










宿へと向かう道中、高杉がやや俯きながら足を止め口を開く。





高「なぁ…」



どうした、と高杉に注目する3人。






高「いつか、俺たちがそれぞれ成す事を成した時、また…4人で暮らせたらいいな」





一瞬目を見開く3人。だか途端に顔を見合わせ笑いあい、優しい顔のまま彼に視線を送る。





桂「あぁ、そうだな」


辰「約束じゃ」


銀「また一緒に暮らそうぜ、高杉」





弾かれるように顔を上げた高杉の視線の先には、昔と何ら変わらない仲間たちの顔があった。




ほら行くぞ、と強引に高杉の肩を抱き寄せたのは紛れもない、銀時だった。






辰「あ!ずるいぞ銀時!わしも!」



空いている方の肩を抱く辰馬。



ほれ、ヅラも来いと辰馬が言うと、いつの間にか男4人で肩を組みながら歩いていた。





辰「あ、高杉、一緒に住むのは勿論かまわんが、銀時とばかりイチャイチャしたら寂しいぜよ~」


高「なっ…」


銀「あ~そりゃ保証できないな~だって俺ら愛し合っちゃってるし~、なー高杉♪」


高「あ!?おま…っ」


桂「いやいや、わからんぞ?べたべたと暑苦しい銀時に愛想をつかすかもしれんからな」


銀「えぇ!?そうなの!?そんな事ないよな高杉!?」


辰「銀時に飽きたらわしんとこに来い高杉!アハハハッ」


桂「おぉ、俺のところでもいいぞ?いつでも歓迎してやる」


銀「お~ま~え~ら~…!!!」






他愛のない話で盛り上がる3人を横目に、幸せそうに笑う高杉。




高「…ありがとう」








聞こえていないのか、はたまた聞こえていないフリをしたのか、先ほどより強く抱かれた肩に安心感を抱きながら今度こそ前を向いて歩き出す。







これを腐れ縁と呼ぶのだろうか。だとしても、この繋がりは二度と手放すまいと心に決めた4人であった――――。








END
作品名:繋がり 作家名:棗-なつめ-