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こらぼでほすと プラント18

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「逢わなかった。仕事が忙しくて、気付いたら十日経ってて・・・誰とも喋ってなくて・・・ほんと、さみしかった・・・」
「・・・電話してくればいいんだ・・・俺は、ここに居るんだからさ・・・」
「・・うん・・・でも、ママの姿は見たよ。スーパーの警備カメラの映像は観た。ママとアレルヤが買い物してた。それで早く帰りたくなった。でも、仕事が終わらなくて・・・すっごいムカってした。」
「・・・そりゃ・・大変だったな・・・お疲れさん・・・」
 緩やかな会話が続いていたが、雨の音が治まって、また雷鳴がとどろきはじめた。だが、今度はリジェネは会話に夢中で気付かない。まだ涙は零れてるが、表情は穏やかになっている。ニールが手近にあったティッシュをリジェネの鼻にあてている。
「・・・はい、チーンして・・・おまえさん、顔を洗ったほうがいいぞ? 」 
「後でいい。急いだから、お土産ないんだ。」
「・・・・いらないよ。」
「ママ、僕、お腹空いた。」
「・・・うーん・・・台所のアレルヤに、なんか作ってもらえ・・・ちょっと動けない・・・・」
「頭痛? 」
「・・・軽くな・・・」
「クスリは? 」
「・・・そこまでじゃない・・・」
「じゃあ、待ってる。」
 そこで、ようやくリジェネも部屋の隅にいるマリーに気付いた。なんだろう? この生き物? という顔のマリーに、「きみがマリー・パーファシーだね。」 とか挨拶された。
「・・・じゃなくて・・・ありがとうだろ? おまえ、マリーに救助されたんだろ? 」
「ああ、そうだった。助けてくれて、ありがとう。でも、よく、僕が居ることがわかったね? 」
「いえ、私がみつけたのではなくて、ニールママが泣き声に気付いて、私を派遣したんです。私には聞き取れませんでした。」
「え? あんな音がしたのに? ママ、とうとう脳量子波が使えるようになった? 」
 それなら、イノベーターに進化できるとリジェネは喜んだが、違う違う、と、ニールが頭を左右に振っている。
「・・・・おまえの泣き声が聞こえたんだよ・・・・ママ、たすけてって叫んだろ? ・・・・」
「うん。」
「・・・それが聞こえたんだ・・・・ママなんて叫ぶのは、子供だろうから・・・」
「だって、すごくビリビリした空気で僕に落ちてきそうな勢いだったんだもん。怖かったんだよっっ。」
「・・・間が悪かったな・・・」
「うん。」
「・・・・マリー、水とってやってくれ・・・」
 ニールの脇部屋には小さい冷蔵庫がある。そこにはポカリやらミネラルウォーターのペットボトルが保存してあるので、マリーは取り出した。ニールが飲むのかとストローをさして用意したら、リジェネに飲め、と、命じた。だが、リジェネは、ストローをニールの口に当てる。まず、ママが飲め、と、言っている。
「どうせ、何も口にしてないでしょ? 脱水症になるとドクターに点滴されるよ? ほら、チューって。」
「・・・調子が出て来たじゃないか・・・・」
「ママの世話は、僕の担当。・・・もう怖くない。ママの脱水症のほうが危険。・・・ほら、飲んでっっ。」
 顔はぐちゃぐちゃだが、それどころではないらしい。ニールは、ダウンすると何も口にしないから、とにかく口に投げ込むのが基本、と、アレルヤも言っていたが、本当らしい。なんだかんだと言って、リジェネはニールに水を飲ませている。
「マリー、ポカリない? そっちのほうが栄養がある。」
「・・いや・・さっき・・・アイスティー飲んだ・・・」
「ほんと? マリー、それ、見た? 」
「ええ、コップ半分くらいは飲んだと思います。」
「じゃあ、いいかな。お腹は? ママ。」
「・・・今は・・・無理。・・・あ、マリー・・・先にアレルヤとメシ食って来い・・・」
「はい? 」
「・・・俺は、夕立が終わらないと無理だからさ・・・三蔵さんと一緒に食べておいて・・・」
「僕はママと食べるから、後でいい。」
 リジェネは、そう言うと立ち上がって、文机の上にある箱を開けて、飴玉を取り出して口に入れた。いつものことだから、常備食を用意もしている。これで空腹は誤魔化して、とりあえずダウンしたママの看病をする。
「・・・落ち着いたんなら・・顔を洗え・・・」
「はーい。マリー、ちょっと見てて。」
 あれほど離れるのがイヤだと泣いてたのに、落ち着いたらねすったかたーと回廊を降りていった。まだ雷は聞こえているし雨も本降りだ。おや? と、マリーは首を傾げつつニールに近寄って、その手を握る。
「ニールママ、あの子はイノベイドでティエリアの兄ですよね? 」
「・・うん・・・くくくく・・・あのな、マリー。あいつはヴェーダに、ずっと居たから箱入り息子なんだよ。だから、精神年齢はティエリアより下だ。人と付き合ったのも、俺たちが始めてだから、ティエリアより社会性なんかは低い。そのつもりで付き合ってくれ。・・・すまないが、子供を相手にする感じで。」
「・・え・・・そういうもの? 子供? ニールママ、あの子は、ヴェーダで働いていたんですよ? 」
 マリーにしたら、なんでそうなるの? だ。イノベイドには散々に苦しめられた。社会性がどうとかいうのは理解不能だ。マリーの疑問にニールは微笑んで頷いている。そりゃ驚くだろう。
「・・・同じイノベイドと働いてたから・・・人と接することが最初はわからなくてさ・・・・くくくくく・・・・人間は・・・脳量子波なんて・・使えないから・・・意思疎通は会話だろ?・・・それすらわからなかったんだよ。」
 そう言われて、マリーも、はっと気付いた。確かに、イノベイド同士だとしたら、脳量子波で一瞬で意思疎通ができる。それができない状態は知らないのだとしたら、それは困ったことだろう。
「そう言えば、私は養父が言葉での会話を最初からしてくれて、それで人間との付き合いを学びました。・・・ああ、そうでした。養父が、何かと教えてくれました。」
 マリーには上司のセルゲイがいて、そのセルゲイが何かと意思疎通を図ってくれたから、少しずつ人間との付き合い方を身につけられた。セルゲイに逢った最初は、マリーだって緊張していた。そう言われれば、そうだったと頷いた。厳しい人だが、そういう意味では優しい人だった。
「・・・それを・・・リジェネは、うちでやってんだ・・・」
「わかりました。言葉で意思疎通するように心がけますね、ニールママ。・・・・うふふふ・・・でも、さっきの会話は、ほんと親子みたいでほのぼのでした。」
「・・・俺はママなんだとさ・・・どいつもこいつも・・ほんと・・・くくくくく。」
「だって、ニールママはニールママですもの。私もママという認識ですけど? 」
「・・・はいはい・・・それでいいよ、マリー。食事、リジェネの分も追加してくれるように、アレルヤに頼んでくれ・・・」
「たぶん大丈夫です。ニールママは、流動食のほうがいいですか? 」
「・・いや・・・ソバなら食える・・・」
 気圧変化が落ち着けば、体調も元に戻る。麺類なら、喉越しがいいから食べられる。そう話していたら、リジェネが戻って来て、「チェンジ、マリー。」 と、障子を開けて大声で叫んだ。