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こらぼでほすと プラント19

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お昼を過ぎた頃に、トダカが寺に顔を出した。スコールは終わったところで、トダカは濡れていない。寺の居間には、アレハレとマリーと坊主が食後のコーヒータイムをしているところだった。
「おや、うちの娘さんは、一人なのかい? 」
「いいえ、リジェネが抱き枕になってます。」
「戻ってきたのか。そりゃ、よかった。・・・・レイも明日には戻るよ。連絡が入った。・・・・長いこと、ニールの世話をさせて悪かったね。」
 トダカもアレルヤたちが滞在している意味を理解している。キラたちが組織からのリクエストで働いているから、ニールのほうを助けてくれていた。
「とんでもない。うちからのオーダーで、みんなが動いてくれてるんだから、僕らも手伝うのは当たり前です。僕らにとっては田舎に帰ってる気分なんで気にしないでください、トダカさん。」
「フェルトちゃんから聞いたのかい? 」
 アレルヤは、現在、組織から抜けた形になっているので、今の組織の運用は感知していないはずだ。それを知っているのなら、滞在したフェルトから聞いたのだろう、と、トダカは尋ねた。
「いいえ、ティエリアから現在の組織の運用は聞いています。何かしら、僕らで対応できることがあれば、こちらにも容赦なく、指示が飛んできますから。」
「厳しいなあ、ティエリアくんは。・・・・ちょっとね、人革連とAEUのほうは簡単に手配できたんだけど、ユニオンは手間取っているんだよ。中古品の払い下げはされているんだが、形式番号なんかの管理が強固でね。いっそレプリカントを用意するほうが早いんじゃないかって、キラ様はおっしゃってさ。」
「「・・・・・・・」」
 トダカの言葉に、アレルヤとマリーは絶句した。もちろん、坊主は卓袱台で仕事をしているのだが、完全にスルーの状態だ。レプリカント? と、我が耳を疑う言葉だ。ユニオンにあるMAもMSも機密のカタマリで、簡単にレプリカントを作れるものではない。設計書も中身の推進力も武器も、全てが機密扱いで他所の国には公開されていない。たまに破壊されたものを他国に回収されたりもするが、ほぼ破壊されていて技術をコピーされることも少ないのだ。それを新しく作るということは、全てをキラが手にしているということに他ならない。その反応にトダカは苦笑した。キラは、主要国のメインサーバーに自分のシステムを潜り込ませて、好き勝手できる爆弾まで設置している。そうでなかったら、三大国の情報を全世界に、ぶちまけることはできない。だから、キラにしてみればフラッグの機密なんて簡単すぎて笑っちゃうね、クラスの遊びだ。
「まあ、レプリカントといっても材質も装備も全てが本物と一緒だから、本物なんだけどね。たぶん、それを使うことになるんじゃないかな。」
「・・それ・・どこで製造するつもりなんですか? トダカさん。」
「くくくく・・・内緒だよ、マリーさん。絶対に発見されないところだから安心して。アレルヤくん、これ、きみらも食べないか? プリンなんだ。」
「いただきます。それなら、お茶を用意しますね。」
 持って来たケーキの箱を開けてトダカは、三個のプリンを取り出した。他は、こちらで消費してもらうつもりだ。


 準備はアレルヤに頼んで、トダカは脇部屋に向かった。雨上がりの境内は、涼しい風が吹いている。夏の盛りで境内の木々は青々と生い茂り、雨の水滴でキラキラと輝いている。静かに脇部屋の障子を開けると、リジェネをだっこするように抱いているニールと視線が合った。
「お目覚めかね? 娘さん。」
「・・・ええ・・・すいません、泣いて寝てしまって動けません。・・・いらっしゃい、お父さん。」
「気分は? 」
「もう、頭痛も治まりました。・・・これは、いきなりで対処ができません。」
「まあ、それでも発熱もせず、気圧が落ち着けば起き上がれるのだから、マシにはなっているさ。」
「・・・そうですね。」
「どうせ、お昼は食べてないんだろ? プリンを持って来た。リジェネくんと食べなさい。」
 くーすか寝ているリジェネの肩を揺らしてトダカが起こすと、音がしそうな勢いでリジェネは飛び起きた。
「・・はひ・・・ママ・・・」
「プリン食べようか? リジェネ。」
「・・う、うん? ・・・あ・・ココア・・・」
「用意してくるよ。」
 と、立ち上がろうとしたら、アレルヤがマリーを伴って現れた。もちろん、アレルヤはリジェネの好みを知っているから、インスタントコーヒーが、ちょびっと混入したアイスココアが用意されているし他の人にはアイスティーだ。
「トダカさんがプリンを持って来てくれたんだ。」
「これなら、喉越しもいいし栄養もあるからね。さあ、少しでも食べなさい、娘さん。」
 まあ、親バカのトダカの目的は、それなのだ。ダウンすると何も口にしないニールに少しでも栄養を与えようと思うと、こまめに口に運ぶしかない。
「・・えーっと・・」
 あまり腹は減ってないニールは、頭をかいて笑っている。だが、リジェネは、すかさずプリンを持ち上げると、ニールの口にスプーンで運ぶ。容赦はいらない、口に詰めろ、というのはニール介護の基本姿勢だ。うおっと叫ぶ間もなくニールの口にはプリンが投げ込まれる。そして、アレルヤがアイスティーのストローをニールの口に差し込む。ほぼ、イジメみたいな光景だが、これは全員、スルーだ。なんせ、こうしないとニールは食わないからだ。
「リジェネくんがいると楽だなあ。」
「ほんとですねぇートダカさん。僕は、ついつい甘くなって、ハレルヤに頼むんです。」
「本当に、こうするんですね。ある意味、拷問に見えるんですが。」
「いや、こうしないと食わない娘さんが悪いんだ。下手すると飲みもしないもんだから以前は脱水しちゃってね。 医療ホッドに叩き込まれてたんだ。だから、刹那くんやティエリアくんは容赦しないことにしたんだから、娘さんが悪い。」
「了解です、トダカさん。今後は、リジェネのように私もやらせていただきます。」
「そうしてくれるかい? マリーさん。徹底的にやってくれていいから。」
「・・ちょ、ちょっとっっっ・・・トットダカさんっっ・・・」
 食わされているニールは、とんでもない宣言をしているトダカにツッコミだ。リジェネなら力技で凌げるが超兵のマリーでは、それも通用しない。無理矢理の限度を知らないマリーでは、とんでもないことになるのが予想される。
「大丈夫だよ、ニール。僕が、お腹一杯になったらマリーを止めるから。」
「・・・そっそこじゃねぇーっっっ。」
「ほら、ママ。喋ってないで、口を開けてっっ。」
 賑やかに暴れているとリジェネも、いつもに戻った気がする。たぶん、リジェネにとっても、これが日常だ。いや、日常になってしまったが正解だ。もうヴェーダで一人で作業するのが、たまらなく寂しいものだと気付いてしまった。知らない頃には戻れない。