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こらぼでほすと プラント19

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 翌日、プラントからのシャトル便でレイはオーヴに降りた。そこから空港に移動して飛行機で特区へ戻る。ほぼ一日仕事なので、移動中に、アカデミーで使う資料に目にしているが、さっぱり頭には入らない。議長ですら自分の姿に違和感は持たなかったが、最大の難関に、これから立ち向かうから、それに気が向いている。細かなことに気付くレイのママは、もしかしたら違和感を覚えるのではないだろうか、そうなったら、どう説明すれば、ということに意識が、そっくり持っていかれている。リジェネは大丈夫だ、と、太鼓判を押したが、微妙な表情の変化すら読み取るレイのママにはバレないのか不安になるのだ。もしバレたら、正直に話すつもりだが、できれば話したくない。でも、話さなければママは何かしらの不信感をレイに感じる。それもイヤだ。うんうんと考えていたら、特区の空港に着陸してしまった。

・・・こんなことなら、トダカさんに連絡しなきゃよかった・・・・

 そう思いつつ、アライバルゲートを抜けたら、なぜだか、キラとアスランが待っていた。
「おかえり、レイ。」
 キラはニコニコと笑顔で手を差し出してくる。なぜ、キラが、ここにいるのかがレイにはわからない。
「到着の報告はトダカさんから貰ったんだ。」
「そうですか・・・何か緊急ですか? キラさん。」
「ううん、ただ迎えに来たかっただけ。ちなみにリジェネからは連絡もなんもなかったからね。」
 さいですか、と、レイは頷いたものの、人前には、あまり出て来ないキラが空港なんかに出張るのが、そもそもおかしい。アスランは、何も言わないで警護に徹している。キラが上から下に眺めて、「帰ろう。」 と、言い出した。
「とりあえず、寺まで帰ろう、レイ。僕もママの顔が見たくなったんだ。」
「わかりました。・・あの・・・キラさん。」
「それは後で。・・・大丈夫だよ? レイ・・・何も変わってないから・・・」
 それだけ言うと、スタスタと歩き出す。アスランも同じように動き出す。だが、レイは動けない。キラの言葉は、「知ってるぞ。」 という意味だったからだ。リジェネと練った計画は、何も漏れていないはずだ。それなのに、キラは知っているらしい。さすが、大明神だな、と、レイは苦笑しつつ後を追い駆けた。


 駐車場でクルマに乗り込んで、レイは口を開く。いつもならキラは助手席の人だが、今日はレイと後部座席に座っている。
「いつから、ご存知でしたか? キラさん。」
「リジェネがママと一緒に戻らないって聞いた時に、ちょっとぴこって感じた。それからレイも一緒に帰らないって判明して、なんとなく全体的に気付いた。・・・・僕は、別にいいんだけど、ママがね、気付いたら困るんじゃないかなって。それだけ。」
 独特の言い回しでキラはリジェネとレイがプラントから別行動ということで、何かしら気付いてしまったらしい。アスランは何も言わず、クルマを発進させている。
「あなたは、どう感じましたか? 」
「何にも変わらないなって思った。まあ、レイはレイだもんね。初対面で違和感はなかったから問題はないと思うよ。」
「そうですか。でも、俺のママは気付くかもしれません。」
 キラもスーパーコーディネーターで生半可な生き物ではない。記憶力とか能力としてはハイスペックではある。だが、それとは違う部分で、ニールには気付かれるかもしれない、と、レイは気にしている。精神的な部分でニールは敏感だからだ。そこいらはキラはぬるい。
「あのな、レイ。もし、ママニールは何か気付いてもスルーするんじゃないかな? おまえはおまえなんだし、中身は変わらないわけだから、そこの部分は何も言わないと思うんだ。」
「はい? 」
 運転しながらアスランが、ようやく声を出した。ニールは、ディープに世界の闇部分に存在していた人だ。だから、何かしらの違和感を感じても、レイがスルーするなら、ニールもスルーするはずだ。そういう処世術は、アスランたち以上に身につけている。自分が感じることを素直に口にする人ではない。相手から言われるまでは待ってくれる。刹那がイノベーターになったことも、刹那が言うまでは尋ねなかったし、ティエリアが肉体の再生をしたことも、ティエリアから聞くまでは何も言わなかった。だから、何も言わなければいい、と、説明した。
「キラが違和感を感じない程度なら、大したことはないはずだ。まず、おまえの態度が問題だろう。」
「そうそう、レイが隠し事がありますって顔に書いてたら、バレバレだからね。よって、これからママのところに戻るまでに気分を変えてもらう。」
「どうやって? 」
「レイ、これから、おやつ時間だから、なんか買って行こう。ママが食べられそうなものを考えて。」
「昨日今日と連続で午前中にスコールがきて、ママニールはダウンしてるんだ。だから、口に合いそうなものを差し入れすればいいと思う。どうだ? レイ。思いついてくれないか? 」
「ダウン? それで、ママは? 」
「もう起きてるさ。リジェネが、昨日ちょうど戻ったからアフターケアもされてるとは思う。」
「じゃあ、流動食なものがいいかな。あっさりしたものなら・・・どこか百貨店かスーパーに立ち寄ってください、アスラン。」
「了解。俺とキラは、クルマで待機する。それでいいか? 」
「もちろんです。」
「えええーーーーっっ、アスラン、僕も果物がいい。」
「キィーラ、店の冷蔵庫にたんまりと差し入れがあるだろ? あれを運ぶとしよう。そうだ、店の側のショッピングモールで下ろすから、買い物して店まで戻ってくれ。オーヴからの差し入れを寺に運ぶから。」
 オーヴからの差し入れは、まだ残っている。そろそろ在庫も少なくなっているので全部、寺に移動させることにした。その準備をアスランが、ニールの差し入れはレイが探すことにした。
「僕、コンビニ希望。」
「はいはい、たぶん、俺たちのほうが早く準備が終わるからコンビニくらいなら遠征できるよ、キラ。・・・レイ、もし逢うのに躊躇するなら店に出勤して夜に会えばいい。」
 時間が必要なら、そういう手も使える、と、アスランは助言もする。逢いたい気持ちが溢れたら、たぶん、何かを隠したりしていることも、吹っ飛ぶはずだ。まず、純粋に逢いたいという気持ちだけで逢えばいいのだ。
「レイ、きみの時間、リジェネは、どのくらい引き延ばすって言った? 」
「二十年です。」
 何気ないキラの質問に、レイも返事した。すると、キラは、びっくりして微笑んだ。愛があるなあ、と、アスランも感想を漏らす。
「なるほど、わかった。もう何も聞かない。」
「キラさん? 説明をするのは、やぶさかではありません。」
「ううん、もうわかったからいい。きみの身体に、リジェネたちのナノマシンを投入しても二十年は稼げない。つまり、そういうことだ。だから、このことはトダカさんだけに説明しておいて。」
 レイの肉体は、そのままでは老化が始まる。それを二十年引き延ばす方法は、肉体の入れ替えが有効だ。それぐらいは、キラにもアスランにも解る。リジェネはヴェーダの最高機密を使ったらしい。それならそれでいい。キラたちには使う必要はないことだから、詳しく知る必要もない。