不安の行方
高3になって、馬村がまた後輩女子にモテたりして、
すっかり頭からすっぽ抜けていたけれど…
再び担任が獅子尾先生になった。
この学校には普通科が1クラスしかないので
3年間クラス替えがない。
クラスのみんなは、
また獅子尾が担任になって
「センセー、よろしくなぁっ!」
「俺らを無事大学に合格させてくれよ?」
と、盛り上がっていた。
「俺が合格させるんじゃないでしょ。
自分の力でやんなさいね、知らないよ?」
またコイツらの面倒みんのかと、
面倒くさそうな顔をしながらも、
獅子尾も慕われていたクラスの受け持ちで
まんざらではない。
約一名を除いては。
「チッ。」
新学期最初の日、
担任が獅子尾だとわかって歓声があがる中、
聞こえるような大きな舌打ちをしたのは
馬村だった。
「馬村、なんでお前いつも
先生目の敵にしてんの?」
猿丸が素朴な疑問を馬村にぶつけた。
まさか生徒に、しかもすずめに手を出したから、
とは言えない。
「別に。なんとなく気に食わねえんだよ。」
「あ、あれだろ?獅子尾先生モテっから、
だから気に食わねんじゃねーの?」
「は?んなわけねーだろ!」
「あれだな、馬村欲張りだなぁ。
お前もモテてんじゃん。
獅子尾先生いなきゃ、あの女子も
俺の方に向いてくれんのに、
とか思ってんだろ?」
「は?違えよ!人の話聞け、バカ!」
でも半分図星でカチンときた。
「おぉ、マジ怖ぇ。なんだよ、冗談だろ?」
あの女子とは馬村的に言うと
すずめのことだ。
すずめが本当に自分の彼女になったとはいえ、
獅子尾の存在は大きい。
再び一緒にいるようになって、
また恋心が再燃、なんてことも
ありえなくないのだ。
馬村はイライラしていた。
獅子尾がクラスの担任になったことと、
また面倒な後輩に騒がれていることで。
当のすずめはというと、
馬村がまた後輩にモテだしたことに気を病んで、
獅子尾の存在はすっかり忘れていた。
放課後、クジで負けた馬村が
委員会にでるというので、
すずめは教室で馬村を待っていた。
「情けない顔してるわね。」
「え?」
ゆゆかに言われて鏡を見た。
確かにひどい顔だ。
「あんなに馬村くんに大事にされてて、
小うるさいメス豚どもがなんで気になるのよ。」
「わかってるんだけど…
自分よりかわいい子もいっぱいいるし。
ずっと大事にされる自信なんてないよ。」
「バッカじゃないの?
馬村くんがカワイイ子が好きなら
私が告白した時にアンタより
私を選んでるはずでしょうが!」
ゆゆかは少し悔しそうな顔をした。
「えっ…あ…うん。」
「私のあの黒歴史を
掘り起こさせるんじゃないわよ。」
「でもやっぱり何がいいのかわかんないよ。」
「いいのよ、アンタは。そのままで。
アンタより不安なのは馬村くんほうでしょ?」
「え?馬村が?不安?なんで…」
意外なことを言われて
すずめは戸惑ってしまった。
「バカね。アンタもう忘れたの?
獅子尾先生が担任じゃない!
またアンタが先生とヨリ戻さないか
先生がアンタにちょっかいかけないか、
気が気でないに決まってるわよ。」
「え~~?!それはないよ!」
「アンタが不安になるのと同じよ。
馬村くんがそれはない、と思ってても
アンタ勝手に不安になってんじゃない。」
「えっそりゃそうだけど…
えっ…どっ、どうすれば…?」
「さあ?それは自分で考えるのね。
じゃあ私先に帰るから。
どうなったかチクイチ報告しなさいよ?」
そう言ってゆゆかは教室から出て行った。
「えーーーっ」
そこまで言っといて放置?!
馬村が?不安?
何をしたら安心させてあげられるんだろう?
すずめは、うーん、うーんと考え込んでしまった。
すっかり頭からすっぽ抜けていたけれど…
再び担任が獅子尾先生になった。
この学校には普通科が1クラスしかないので
3年間クラス替えがない。
クラスのみんなは、
また獅子尾が担任になって
「センセー、よろしくなぁっ!」
「俺らを無事大学に合格させてくれよ?」
と、盛り上がっていた。
「俺が合格させるんじゃないでしょ。
自分の力でやんなさいね、知らないよ?」
またコイツらの面倒みんのかと、
面倒くさそうな顔をしながらも、
獅子尾も慕われていたクラスの受け持ちで
まんざらではない。
約一名を除いては。
「チッ。」
新学期最初の日、
担任が獅子尾だとわかって歓声があがる中、
聞こえるような大きな舌打ちをしたのは
馬村だった。
「馬村、なんでお前いつも
先生目の敵にしてんの?」
猿丸が素朴な疑問を馬村にぶつけた。
まさか生徒に、しかもすずめに手を出したから、
とは言えない。
「別に。なんとなく気に食わねえんだよ。」
「あ、あれだろ?獅子尾先生モテっから、
だから気に食わねんじゃねーの?」
「は?んなわけねーだろ!」
「あれだな、馬村欲張りだなぁ。
お前もモテてんじゃん。
獅子尾先生いなきゃ、あの女子も
俺の方に向いてくれんのに、
とか思ってんだろ?」
「は?違えよ!人の話聞け、バカ!」
でも半分図星でカチンときた。
「おぉ、マジ怖ぇ。なんだよ、冗談だろ?」
あの女子とは馬村的に言うと
すずめのことだ。
すずめが本当に自分の彼女になったとはいえ、
獅子尾の存在は大きい。
再び一緒にいるようになって、
また恋心が再燃、なんてことも
ありえなくないのだ。
馬村はイライラしていた。
獅子尾がクラスの担任になったことと、
また面倒な後輩に騒がれていることで。
当のすずめはというと、
馬村がまた後輩にモテだしたことに気を病んで、
獅子尾の存在はすっかり忘れていた。
放課後、クジで負けた馬村が
委員会にでるというので、
すずめは教室で馬村を待っていた。
「情けない顔してるわね。」
「え?」
ゆゆかに言われて鏡を見た。
確かにひどい顔だ。
「あんなに馬村くんに大事にされてて、
小うるさいメス豚どもがなんで気になるのよ。」
「わかってるんだけど…
自分よりかわいい子もいっぱいいるし。
ずっと大事にされる自信なんてないよ。」
「バッカじゃないの?
馬村くんがカワイイ子が好きなら
私が告白した時にアンタより
私を選んでるはずでしょうが!」
ゆゆかは少し悔しそうな顔をした。
「えっ…あ…うん。」
「私のあの黒歴史を
掘り起こさせるんじゃないわよ。」
「でもやっぱり何がいいのかわかんないよ。」
「いいのよ、アンタは。そのままで。
アンタより不安なのは馬村くんほうでしょ?」
「え?馬村が?不安?なんで…」
意外なことを言われて
すずめは戸惑ってしまった。
「バカね。アンタもう忘れたの?
獅子尾先生が担任じゃない!
またアンタが先生とヨリ戻さないか
先生がアンタにちょっかいかけないか、
気が気でないに決まってるわよ。」
「え~~?!それはないよ!」
「アンタが不安になるのと同じよ。
馬村くんがそれはない、と思ってても
アンタ勝手に不安になってんじゃない。」
「えっそりゃそうだけど…
えっ…どっ、どうすれば…?」
「さあ?それは自分で考えるのね。
じゃあ私先に帰るから。
どうなったかチクイチ報告しなさいよ?」
そう言ってゆゆかは教室から出て行った。
「えーーーっ」
そこまで言っといて放置?!
馬村が?不安?
何をしたら安心させてあげられるんだろう?
すずめは、うーん、うーんと考え込んでしまった。