明日も 前編
ひるなかの流星【明日も】
大輝×すずめ18歳。大学1年生。
同じ大学。すずめおじさんとまだ同居設定。
すずめは、医学部に入った大輝に、自分が釣り合わないことを気にして周りに隠そうとするが…!?
ラブありです。
現在、ブログで連載形式で載せております!今後ノベリストとどちらをメインにしていくかは分かりませんが、よろしければチェックしてみてください。
http://odawaraaki.blog.fc2.com/?sp
***
涙涙の卒業式が終わり、すずめと大輝は同じ大学に進学した。
授業を聞かなくてもそこそこ勉強の出来た大輝は、どこでスイッチが入ったのか、高校2年生の終わりごろから突然猛勉強を始めた。
やれば出来るタイプだったようで、成績もあっという間に犬飼やゆゆかを抜くほどに上がった。
そして程なくして、すずめと同じ大学の医学部を希望していることを知る。
すずめは早々に、海洋生命科学部という、海洋生命についての専門技術を学ぶ学部に進路を希望していることを話していたので、学部は違っても同じ大学に通うことが出来たら嬉しいねとお互い受験勉強にも身が入った。
海洋生命科学部は、中学、高校の教員免許の他に学芸員資格を取得することが出来るため、すずめとしては海洋生物についての研究が目的だが、それが叶わなかった時にも就職先は色々とあるようだ。
就職先に大手水産卸売会社や水族館が名を連ねているところも理想的だった。
すずめにとっては、自宅から通える距離、つまりは遠距離にならずに済むということも、打ち明けてはいないが進路の決め手になっていた。
そして、見事に大輝は医学部に、すずめは海洋生命科学部に合格。
入学当初は、大輝は実際の現場を見て回る病院当直体験、すずめは海洋生命に関係があるのかという英語の講義に、環境が変わったことによる人間関係の再構築、つまりはバタバタしていて、中々デートの時間も持てなかった。
しかし、2ヶ月も経てばお互い学部内に気の合う友人も出来て有意義なキャンパスライフを楽しんでいる。
「すずめちゃん選択科目何?」
大学内のカフェで空いた時間休憩していると、すずめが入学してから知り合った友人、嵯峨野 伊織が話しかけてきた。
目の前に座る伊織はパッと見でゆゆかを連想する、目が大きく睫毛の長い美人だ。
「ん?数学〜。すっごい苦手だけどね」
「私も〜。でもさ、教員免許一応取るなら必要かなとか思ってさ〜」
「てか、海洋生物の勉強より英語の講義のが多くない…?」
すずめがため息ながらに言うと、伊織も大きく頷いた。
「うんうん!毎日英語な気がする!」
1番仲良くなった伊織には、医学部に彼氏がいることは話したが、そもそも医学部とは建物が別のため顔を合わせることはほとんどなく、友人たちに本人を紹介する機会もなかった。
「すずめちゃん、噂のちょー優しい彼氏とは会えてる?医学部ってやっぱり忙しいの?」
「うーん、それなりには会えてるよ?」
すずめは、早く大輝の話を終わらせたくて無難に答えた。
伊織からは再三紹介してと言われているが、大輝が女性が苦手なこと以前に、すずめが自分自身大輝に釣り合っていないのではと、度々思うようになってしまっていた。
もちろん外見的なことでも。
大輝と付き合うまでは、自身の外見のことなど気にしたこともなかったのに。
例えば、キスをするとき薄眼を開けて見た大輝の睫毛が思っていたより長いこと、デートで一緒に歩いていると女の子がチラチラと大輝を見ること。
それに1度気が付いてしまうと、大輝の隣に立つことが恥ずかしくなった。
伊織はすずめのことを綺麗だと言ってくれるし、他の友人たちも同じようにすずめのことを褒めるが、女の子同士の褒め合いは非常に多く信憑性のないものだとすずめは知っていた。
サークルの飲み会では、男子に連絡先を聞かれることもあるが、それも他の女の子のついでだろうと思う。
逆に、正直にあんた扁平顔ね、というゆゆかは貴重なのである。
それに対しては、少し悲しくはあるが、自身のレベルを知っていれば自惚れることもない。
すずめが、大輝について語ることをしないと悟ると、講義について伊織は話し始めた。
***
大学に入ってから、というより、自分と付き合いだしてから、すずめは綺麗になった。
洋服や髪型、アクセサリーに気を使うようになった。
周りの奴らのすずめを見る目も明らかに変わったため、大輝の自惚れではないはずだ。
元々だって可愛い顔立ちをしているんだから、化粧なんてしなくてもいい。
そんな台詞絶対に本人には言えないけれど、大輝の心中はそんなところだ。
1度だけ、すずめとのデート中に学部の友人に会ったことがある。
すずめは戸惑っていたが、早速連絡先を交換しようとする奴らを睨み付けると、彼女だと紹介した。
すずめは嬉しそうに笑い、よろしくお願いしますと頭を下げた。
すずめと歩いていると、振り返る男の数。
もし俺が牽制していなかったら、声を掛けてくる男が山のようにいるだろう。
すずめは、講義のあと暇な時間叔父の店でバイトをしている。
その客から、名刺を渡されているのも知っている。
もちろん、すずめが自分から連絡を取ることなど一切ないと信じているが、男にここまでされても、すずめ自身は全く気が付いていないということが、1番の問題なのだ。
そのため心配で、時間が合えば、帰りは無理でも行きだけは一緒に大学に行きたかった。
しかし、すずめは大輝と付き合っていることをどうやら隠していたいらしい。
もう何度も身体を重ねているというのに、未だに手を繋ぐだけで顔を赤らめる、まるで2年前の大輝のような恋人にしょうがないかと思っている。
自分は堂々とすずめは俺のだと言って回りたいぐらいなのに。
高校の時はその魅力に気が付いていない奴らが多かったから、大輝にとってはすずめを手に入れられたのは幸運としか言えない。
***
「いらっしゃいませ〜って、先生…また来たんですか?」
「おっ、客にその態度はないんじゃない?」
「毎日外食じゃないですか…お肉ばっかりじゃなくて、野菜も食べてくださいね」
毎日のように諭吉の店に足を運ぶ獅子尾とすずめのやり取りは、もう店の名物のようなもので、常連客にはすずめちゃんいいお嫁さんになるなぁなどと、からかわれていた。
「すずめ、8番テーブル上がったよ」
諭吉が声を掛けると、すずめが料理を取りにカウンターへ向かった。
「はーい。じゃあ先生ごゆっくり」
「おう」
「お待たせしました〜。デミグラスソースのハンバーグセットに、パエリア、本日のスープはクラムチャウダーになります。ごゆっくりどうぞ」
「はーい。ねぇねぇ君さ、◯◯大の学生?」
すずめが料理の説明を終えると、待ってましたと言わんばかりに、すずめと同い年くらいの男子3人組のうち軽そうな男が話し掛けてきた。
「えっ?あ、はい…そうですけど…」
「あっ、やっぱり?この近くだよね!?俺たちもなんだ!どこかで見たことあるなぁと思っててさ」
大輝×すずめ18歳。大学1年生。
同じ大学。すずめおじさんとまだ同居設定。
すずめは、医学部に入った大輝に、自分が釣り合わないことを気にして周りに隠そうとするが…!?
ラブありです。
現在、ブログで連載形式で載せております!今後ノベリストとどちらをメインにしていくかは分かりませんが、よろしければチェックしてみてください。
http://odawaraaki.blog.fc2.com/?sp
***
涙涙の卒業式が終わり、すずめと大輝は同じ大学に進学した。
授業を聞かなくてもそこそこ勉強の出来た大輝は、どこでスイッチが入ったのか、高校2年生の終わりごろから突然猛勉強を始めた。
やれば出来るタイプだったようで、成績もあっという間に犬飼やゆゆかを抜くほどに上がった。
そして程なくして、すずめと同じ大学の医学部を希望していることを知る。
すずめは早々に、海洋生命科学部という、海洋生命についての専門技術を学ぶ学部に進路を希望していることを話していたので、学部は違っても同じ大学に通うことが出来たら嬉しいねとお互い受験勉強にも身が入った。
海洋生命科学部は、中学、高校の教員免許の他に学芸員資格を取得することが出来るため、すずめとしては海洋生物についての研究が目的だが、それが叶わなかった時にも就職先は色々とあるようだ。
就職先に大手水産卸売会社や水族館が名を連ねているところも理想的だった。
すずめにとっては、自宅から通える距離、つまりは遠距離にならずに済むということも、打ち明けてはいないが進路の決め手になっていた。
そして、見事に大輝は医学部に、すずめは海洋生命科学部に合格。
入学当初は、大輝は実際の現場を見て回る病院当直体験、すずめは海洋生命に関係があるのかという英語の講義に、環境が変わったことによる人間関係の再構築、つまりはバタバタしていて、中々デートの時間も持てなかった。
しかし、2ヶ月も経てばお互い学部内に気の合う友人も出来て有意義なキャンパスライフを楽しんでいる。
「すずめちゃん選択科目何?」
大学内のカフェで空いた時間休憩していると、すずめが入学してから知り合った友人、嵯峨野 伊織が話しかけてきた。
目の前に座る伊織はパッと見でゆゆかを連想する、目が大きく睫毛の長い美人だ。
「ん?数学〜。すっごい苦手だけどね」
「私も〜。でもさ、教員免許一応取るなら必要かなとか思ってさ〜」
「てか、海洋生物の勉強より英語の講義のが多くない…?」
すずめがため息ながらに言うと、伊織も大きく頷いた。
「うんうん!毎日英語な気がする!」
1番仲良くなった伊織には、医学部に彼氏がいることは話したが、そもそも医学部とは建物が別のため顔を合わせることはほとんどなく、友人たちに本人を紹介する機会もなかった。
「すずめちゃん、噂のちょー優しい彼氏とは会えてる?医学部ってやっぱり忙しいの?」
「うーん、それなりには会えてるよ?」
すずめは、早く大輝の話を終わらせたくて無難に答えた。
伊織からは再三紹介してと言われているが、大輝が女性が苦手なこと以前に、すずめが自分自身大輝に釣り合っていないのではと、度々思うようになってしまっていた。
もちろん外見的なことでも。
大輝と付き合うまでは、自身の外見のことなど気にしたこともなかったのに。
例えば、キスをするとき薄眼を開けて見た大輝の睫毛が思っていたより長いこと、デートで一緒に歩いていると女の子がチラチラと大輝を見ること。
それに1度気が付いてしまうと、大輝の隣に立つことが恥ずかしくなった。
伊織はすずめのことを綺麗だと言ってくれるし、他の友人たちも同じようにすずめのことを褒めるが、女の子同士の褒め合いは非常に多く信憑性のないものだとすずめは知っていた。
サークルの飲み会では、男子に連絡先を聞かれることもあるが、それも他の女の子のついでだろうと思う。
逆に、正直にあんた扁平顔ね、というゆゆかは貴重なのである。
それに対しては、少し悲しくはあるが、自身のレベルを知っていれば自惚れることもない。
すずめが、大輝について語ることをしないと悟ると、講義について伊織は話し始めた。
***
大学に入ってから、というより、自分と付き合いだしてから、すずめは綺麗になった。
洋服や髪型、アクセサリーに気を使うようになった。
周りの奴らのすずめを見る目も明らかに変わったため、大輝の自惚れではないはずだ。
元々だって可愛い顔立ちをしているんだから、化粧なんてしなくてもいい。
そんな台詞絶対に本人には言えないけれど、大輝の心中はそんなところだ。
1度だけ、すずめとのデート中に学部の友人に会ったことがある。
すずめは戸惑っていたが、早速連絡先を交換しようとする奴らを睨み付けると、彼女だと紹介した。
すずめは嬉しそうに笑い、よろしくお願いしますと頭を下げた。
すずめと歩いていると、振り返る男の数。
もし俺が牽制していなかったら、声を掛けてくる男が山のようにいるだろう。
すずめは、講義のあと暇な時間叔父の店でバイトをしている。
その客から、名刺を渡されているのも知っている。
もちろん、すずめが自分から連絡を取ることなど一切ないと信じているが、男にここまでされても、すずめ自身は全く気が付いていないということが、1番の問題なのだ。
そのため心配で、時間が合えば、帰りは無理でも行きだけは一緒に大学に行きたかった。
しかし、すずめは大輝と付き合っていることをどうやら隠していたいらしい。
もう何度も身体を重ねているというのに、未だに手を繋ぐだけで顔を赤らめる、まるで2年前の大輝のような恋人にしょうがないかと思っている。
自分は堂々とすずめは俺のだと言って回りたいぐらいなのに。
高校の時はその魅力に気が付いていない奴らが多かったから、大輝にとってはすずめを手に入れられたのは幸運としか言えない。
***
「いらっしゃいませ〜って、先生…また来たんですか?」
「おっ、客にその態度はないんじゃない?」
「毎日外食じゃないですか…お肉ばっかりじゃなくて、野菜も食べてくださいね」
毎日のように諭吉の店に足を運ぶ獅子尾とすずめのやり取りは、もう店の名物のようなもので、常連客にはすずめちゃんいいお嫁さんになるなぁなどと、からかわれていた。
「すずめ、8番テーブル上がったよ」
諭吉が声を掛けると、すずめが料理を取りにカウンターへ向かった。
「はーい。じゃあ先生ごゆっくり」
「おう」
「お待たせしました〜。デミグラスソースのハンバーグセットに、パエリア、本日のスープはクラムチャウダーになります。ごゆっくりどうぞ」
「はーい。ねぇねぇ君さ、◯◯大の学生?」
すずめが料理の説明を終えると、待ってましたと言わんばかりに、すずめと同い年くらいの男子3人組のうち軽そうな男が話し掛けてきた。
「えっ?あ、はい…そうですけど…」
「あっ、やっぱり?この近くだよね!?俺たちもなんだ!どこかで見たことあるなぁと思っててさ」