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好きになる理由

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担任の安藤に呼び出され、一年い組の学級委員長の彦四郎は職員室に座っていた。

「彦四郎。聞きましたか?
「…?いえ、何も聞いておりません。

突然質問されたが身に覚えが全くなく、彦四郎は適当に返事をした。
ただ担任の様子を見る限り、イライラしているのできっとは組のことだろうとは思った。

「我々一年い組のよい子達は、二週間前に裏々山へマラソンに行きましたね?
「はい。厚着先生の授業で行って参りました。
「今日、一年は組が裏々山のマラソンに行ったそうですよ。

裏々山のマラソンとは、体力をつけるために学期中に何回か行われる実技の授業だ。
忍術学園からスタートして裏々山の頂上で折り返してゴールは忍術学園の正門というもの。
目安として中間地点とゴールではクラス全員が到達したタイムを測っている。
相変わらず授業遅れてるなーと彦四郎が頭の片隅で思っていた時、

「彦四郎!
「は、はい!
「あの時、あなた方一年い組は中間地点の裏々山の頂上に着くまでにどれくらい時間がかかりましたか?
「えっと…、確か二時間と十分でした。

先生から言われたタイムを細かく覚えていた彦四郎はそう伝えた。
すると安藤からまた大声で名を呼ばれた。

「彦四郎!
「は、はい!
「なぜそんなに時間がかかってしまったのですか!?
「えー!
「山田先生から聞いたのですが、一年は組のタイムは二時間を切っていたそうですよ!

(そうなのか…。あのしんべヱがいるのに…。

こうして彦四郎はガミガミ安藤から叱られることになった。

(いつもならい組だって二時間かからない。けど、あの時は……。
作品名:好きになる理由 作家名:KeI