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仮面ライダーGLAY 第一話コード・グレイ

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体の自由は効かないのだが神経は通っているようで、腹部への衝撃は脊髄を通
り、苦痛をしっかり脳へと伝達した。
体は「く」の字に曲がり、透明な胃液が口と鼻から込み上げてくる。
「やめでぐでぇーーーーーー!!!!」
筋肉男が続けて剛腕を振るう。
脇腹や首、顔ももう形が変わっているかもしれない・・・、もはや一方的に殴
られる痛さと恐怖しかない。
視界が滲んでいるのは恐怖のためか涙のせいかわからない・・・これで正気で
いろという方が無理である。
「ほっ、全身の骨格筋等は手術したが・・・素体のままだとやはり貧弱よの
ぅ・・・・筋力を少し強化した人間程度の攻撃でもしっかりとダメージになっ
ているようじゃな。・・・よし。ではコード・グレイの外骨格をメタモライズさ
せろ。」
「!?」
動かなかった両手が不自然な動きをした・・。
しかし筋肉男に反撃する様子は無く両手を丁度「へそ」の辺りで祈るように組
んだのだ。
するとそこに手のひら程の金属のバックルのようなものが突然現れた。
そのバックルから青い光が腰から横一文字に真っ直ぐ伸び、まるでベルトのよ
うになった。
そして更に手足が素早く動き、両腕を高らかに斜め上にあげると体は光に包ま
れた。
何が自分に起きているのかわからないが、正面の銀のシャッターには筋肉男越
しに自分が映っていたはずだが、その姿は大きな緑色の目と全身灰色の「何か」
が映っている。
「これは!!!やっぱり夢じゃ・・・・なかったのか!」
シャッターに映る自分であろう「灰色の何か」に目を奪われていると、筋肉男
の追撃が顔面に迫る。
ガツン!
目を閉じて衝撃に備えると、多少の衝撃は伝わったが痛みはなかった。
体に受ける攻撃も同様で筋肉男が乱暴に攻撃を仕掛けるがダメージは無い。
むしろ筋肉男の拳からは出血し傷口から白い骨が覗いているではないか・・・。
(これはバトルスーツのような何かなのか・・・。それともおれ自身バケモノ
になっちまったって訳か・・・・?)
先ほどまで散々痛めつけられ殺意すら湧いていた、しかし今この全く理解を超
えた現象に気持ちが完全にシフトした。
それどころか骨がむき出しの拳を何度も振り上げ攻撃をしてくる筋肉男が可哀
想な気さえしてくる・・・。
「ふむふむ・・・。良かろう。次に行こう。反撃開始を。」
赤い四つ目の声がマイク越しに室内に響くと、またも自分の意識とは別に体が
動き、今度は拳を構えた。
次の瞬間・・・・・

グボォッ!!!

自分の右腕が勢いよく動いたと思ったら、肘まで筋肉男のみぞおち辺りにめり
込んでいる。
「え・・・?」
筋肉男の口から多量の鮮血が溢れ、自身の放ったパンチが男の胸部を貫いた事
を理解した。明らかに致命傷!風士自身の意思で行った事ではないのだが、そ
の感覚は腕を通して伝わった。
固い胸骨を砕き、そのまま肉をえぐり、やがて脊柱をも砕き背中を貫いた不快
な感覚に吐き気を催すと共に戦慄した・・・。
「なんて事だ・・・俺・・・俺が・・・・」
筋肉男を貫いた腕は、振り払うように筋肉男を壁に投げ叩きつけた。
もう筋肉男は動かない。その遺体は、骨が見えていた拳の痛々しさすら生ぬる
く思える程無惨であった。
片腕だけでこの巨漢を投げつけた腕力にも驚いたが、それよりもせめて合掌し
て悼んでやりたかった・・・。
しかし、依然として首から下のコントロールは効かない。
「では次に適応期中のトライコア怪人を。」
シャッターが再び開くと今度は明らかに人間ではない半漁人の様なバケモノが、
血走った目で真っ直ぐこちらを睨んでいる。
「けっけ!適応期だからって休んで体がなまっていた所だったんだ。マッド様、
全力でヒネッちまってよろしいんですね?」
「ほっほ、構わん。ペンタゴンで改造しておるのだ。むしろ手加減などしたら
危ないかもしれんぞ?」
「お〜コワ。けけけけ、ペンタゴンコアとて所詮人間。風穴だらけにして喰っ
てやらぁ!人間の骨髄は濃い血の味がして美味いんだよなぁ・・・」
魚が笑っている・・・。人間を食べた事があるという「いかにも」なバケモノ
だ。
明確な殺意を持って襲ってくる。

ビュッ!バシィ!
自身の意思とは裏腹にまたも身体は勝手に動き、半漁人との戦闘を開始する。
半漁人の攻撃は先ほどの筋肉男とは比べものにならない程の衝撃である。
自分の動体視力も改造されているのか半漁人の攻撃は見えている。人間の速さ
ではないその攻撃は、見えている分逆に恐怖でもある。
半漁人の鋭い爪が頭に直撃すれば、いくら全身バトルスーツのような物を着て
いるからといっても只では済まないだろう。
「ギョギョ!!なかなかやりよるわぁ〜!だが終わりだ!!」
そう言うと半漁人は高く跳躍し、ドリルの様に回転しながら鋭い爪を構え向か
ってくる!
「うっうおぉ!!」
恐怖のあまり、思わず顔を背けてしまった。
しかし体は反応し、がっしりとその鋭い爪をキャッチした。
助かった・・・。と思った次の瞬間、隙だらけの半漁人の顔面にハイキックを
お見舞いした!
蹴りが直撃した半漁人の頭は、青色の体液をまき散らしながら吹っ飛んだ。
風士自身格闘技の経験など無く、自身の行為にただただ不快感と恐怖を覚えた。
「ほっ!適応期というのもあったが、トライコア怪人では歯が立たぬか・・・。
よかろう、細胞退行のない人間ベースのトライコアをぶつけてみるかの!次!」
カラカラと銀のシャッターがまた開く。
またか・・・。と、思いつつも自身をモルモットの様に扱う異形の者達に対し、
恐怖かき消すように怒りが湧いてきた。しかし消えかけた恐怖が更に強く再燃
するには時間は掛からなかった。
また銀のシャッターがカラカラと空き、その隙間からは見覚えのあるチェック
柄が覗いた・・・
「おい・・・まさか・・・やめろ・・・」
姿を現したのは風士の「同室者」だった。
「外骨格メタモライズ!」
室内に声が響くと、先ほどの風士同様、「同室者」であった女性は光を放ち、カ
マキリのバケモノへと姿を変えた。
はるかと名乗った少女はこの「同室者」を見ただろうか?
そして人間であったであろう彼女は自分の様に意識だけはあるのだろうか?
今、何を思っているのであろうか?
考えれば考える程恐ろしく、そして悲しい気持ちになる。

ガシィッ!!

バケモノに変身しきった同室者が躊躇もなく襲ってくる。
防御する腕には半漁人の時よりも更に強い衝撃が伝わり、腕が少ししびれてい
るのが分かる・・。
自分の意思とは関係のない殺し合いがまた始まる。
「やめろーーー!!!!もうたくさんだ!!!頼む!!やめてくれぇーー!!」
悲痛な叫びはすぐに鈍い衝撃音にかき消され、激しい攻防が続いて行く。
またも視界が滲んでいる。
時折シャッターに映る灰色の自分の顔。その大きな緑色の魚眼レンズからは、
出ているはずの涙が確認できなかった・・・。