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同調率99%の少女(1) - 鎮守府Aの物語

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 ノーマルタイプのお風呂に全員で浸かっているときのこと。

「ねぇ、凛花ちゃんはどこの高校なの?」
 と那美恵に対し、答える前に凛花は質問で返した。

「……その前にさ、あなたさっきからふつーに本名で私の事呼んでるわよね。艦娘名で呼ばないの?」
「えー、鎮守府を出たらあたしはお互いを本名で呼び合って仲良くしたいなぁ。だから全員の本名を提督から聞いておいたんだよ。よろしくね、皐ちゃん、時雨ちゃん、夕音ちゃん、真純ちゃん。」
 そう呼ばれた4人は「はぁ」と勢いのない返事で返した。

 皐は駆逐艦五月雨、時雨は駆逐艦時雨、夕音は駆逐艦夕立、真純は駆逐艦村雨担当だ。4人共同じ中学校の同級生である。もう一人白浜貴子という子がいるのだが、彼女は艦娘部の部長でありながらまだ同調で合格できる艤装に巡り合っていないため、鎮守府には来ていない。
 仲間はずれは可愛そうだなぁ、と那美恵は感じていた。

「んでさ、凛花ちゃんはどこの高校?」
「私は○○高校よ。」
「うっそ!?結構名門のところじゃない!凛花ちゃんすごいねー」と驚く那美恵。
「……そうでもないわよ。ふつーよふつー。」
 謙遜してるのか、凛花はそう答えた。

 お互いのことを話し合うと、意外と境遇は似てるのだなと那美恵は思った。五十鈴こと凛花も学校で艦娘部を設立して学生艦娘を集めて活動したいと思っていたが、学校側に拒否されてしまった。そのため普通の艦娘として鎮守府Aに応募し、五十鈴として採用されたのだ。
 彼女が話すことによると、やはり顧問になるべき教員が、職業艦娘になったり艤装の技師免許を取るのを渋っていたのだ。

「そういえば、皐ちゃんたちは艦娘部作れたんだよね?先生の協力あったの?」
 話題を皐たちにふる。すると時雨が答えた。4人の中では一番しっかりしてそうな子だと那美恵は感じた。

「うちは最初にさみが、ええと皐が初期艦として艦娘になって、うちの学校に相談をもちかけたんです。で、たまたま先生の中に職業艦娘になってもよいという黒崎先生という先生がいらっしゃるんですが、その人が職業艦娘の試験を受けに行ってくれたんです。無事なれたのでうちの学校で艦娘部が作れたというわけで。
 僕達はもともと友達で、さみがやるなら自分たちも揃ってやりたいね、って話し合って部に参加したんです。」
 それに続いて村雨こと真純が言う。
「ですから私達って、さみと黒崎先生が揃っていなかったらこうして艦娘にならなかったかもしれないんですよ〜」

 皐たちの学校にはやる気ある人が揃っていた。生徒がやる気あっても教師がやる気ないとダメなのだな、と那美恵は痛感した。うちの学校もどうにかせねばと密かに思いを強める。


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 那美恵はふと、皐たちにこんな質問をしてみた。
「ね?みんな。みんなは何回出撃したことある?」
「私は4回です。」と皐。
「僕は2回です。」と時雨。
「同じく私は2回よ。」と五十鈴。
 続いて夕立と村雨が答えた。
「あたしは1回!」
「私も1回です〜」
 皐は初期艦五月雨として最初からいるだけあって、今のところすべての出撃任務に加わっている。その次に一番の仲良しの時雨、違う学校だが唯一の軽巡だった五十鈴が続く。

「ね?深海凄艦と戦うのって、怖くない?」
 それは艦娘として戦う少女たちにとって、根源とも言える、第三者が抱く当然の質問だった。
 皐は時雨たちと顔を見合わせて、そののち答え始めた。
「私も最初は怖かったです。けど、同調していざ深海凄艦と会って戦ってみると、その怖いっていう感じがあまりしなくなるんです。きっと艤装が私達のそういう怖いって感情をうまくカバーしてくれるのかなぁと思います。
 ……まったく怖くなくなるわけじゃないですけど、そういう気持ちの部分でも艤装に守られているから、艦娘っていうただの少女でも戦えるんだなぁって思います。不思議に出来ていますよね〜。」

 一番経験がある皐の言葉は、彼女のぽわ〜っとした雰囲気に似合わず、那美恵の心になんとなく重く響くものがあった。それは時雨たちも那美恵と同じ気持を抱いているように見えた。
 その後皐から話をさらに聞くと、彼女は鎮守府A着任以前、初期艦研修で限りなく本物に似せたダミーの深海凄艦と数回模擬戦闘をしているとの過去の経験を明らかにした。採用されて実戦にいきなり挑むことになりやすい普通の艦娘や学生艦娘とは異なり明らかに利がある。頼りなさげに見える皐が艦娘五月雨として普通に戦えるのは、初期艦として艦娘としての経験が一歩抜きん出ているおかげもあるのかと、那美恵は思った。



 その後6人は思い思いの会話をし、心身ともにリラックスして疲れを癒やした。

 スーパー銭湯を出て鎮守府へ戻る道すがら、6人は駅に隣接しているデパートでお菓子などを買い込み、鎮守府へ戻った。その日は6時過ぎまで鎮守府内でおしゃべりをして6人は家に帰っていった。
 提督は最初のうちは同じ部屋で6人の様子を見て時々会話に参加していたが、付き合いきれないと言って部屋から出ていき鎮守府内の見回りをしに行った。
 提督は責任者であるため、全員が帰らないと鍵を閉められないので最後まで残るはめとなった。